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ソフトバンク「スマ放題」7月1日から、データ定額プランは実質値上がり?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です。

ソフトバンクもNTTの後を追い、同じ価格での2,700円で「国内音声通話完全定額プラン」を2014年6月7日(土)に発表。2014年6月11日(水)より事前予約申し込みで、2014年7月1日(火)より開始。

「スマ放題」は、基本使用料だけで国内音声通話が通話時間・回数・相手先を問わず定額でご利用いただけるほか、お客さまのデータ通信利用状況や用途にあわせて選べるバリエーション豊かな「データ定額パック」を提供します。「データ定額パック」は、各パックに設定されたデータ量を使い切れなかった際、その分を次月に繰り越すことができる「データくりこし」を利用することで、データ通信を無駄なく効率的に使うことが可能です。なお、家族でデータ通信量を分け合いたいというお客さまには「家族データシェア」を提供します。また「スマ放題」をよりお得にご利用いただけるサービスとして、「家族おトク割」「長期継続ボーナス」「U25ボーナス」も提供します。

出典:新料金サービス「スマ放題」、7月1日より提供開始

最近のソフトバンクの後出しジャンケン型プラン発表は、後出しながらも、同じ金額とか、同じ条件なので、感動が少ない。特に、音声通話に関しては、ソフトバンク同士であるとか、イー・アクセスやウィルコムの誰とでも定額プラン(934円10分以内、月500回まで)で、音声通話専用の分割なしゼロ円電話を持っているので、まったく、この「スマ放題」のプランは気にならなかった。しかし、量販店の店頭で雑談ながら聞いた話が、実際におやおや?という疑問が湧いている状況だったのでお知らせしておきたい。ポイントは、データ定額プラン現在は、1GBあたり742.8円ということだ。

現在、iPhoneで契約したデータ定額プランは、1GBあたり742.8円

ソフトバンクの4Gデータし放題フラット+

「パケットし放題フラットfor4G LTE」7GBまで5,200円。7GBを超えた場合は128kbpsに低速化

http://www.softbank.jp/mobile/iphone/price_plan/white-plan/packet/

1GBあたりの単価は、742.8円(5,200円÷7GB)

7GBを超えた倍の低速化回避のための追加購入は2GBごとに、+2,500円(My SoftBankからお申し込み)

1GBあたりの単価は、855.5円(5,200円+2,500円÷9GB)

追加分の1GBあたりの単価1,250円(2,500円÷2GB)

http://www.softbank.jp/mobile/support/procedure/data_traffic/

新料金サービス「スマ放題」に適用されるデータ定額パック料金

こちらが、7月1日の「スマ放題」のデータ定額パック
こちらが、7月1日の「スマ放題」のデータ定額パック

データ定額パック2 2GBまで 3,500円 

1GBあたりの単価、1,785円

データ定額パック5 5GBまで 5,000円 

1GBあたりの単価、1,000円

データ定額パック10 10GBまで 9,500円 

1GBあたりの単価、950円

データ定額パック15 15GBまで 12,500円 

1GBあたりの単価、833.3円

データ定額パック20 20GBまで 16,000円 

1GBあたりの単価、800円

データ定額パック30 30GBまで 22,500円 

1GBあたりの単価、750円データ定額パック(シンプルスマホ)200MBまで 2,000円 1GBあたりの単価、10,000円 データ定額パック(3Gケータイ) 使い放題 3,500円 1GBあたりの単価、3,500円 ※データ通信量が超過した場合、請求月末まで通信速度を送受信時最大128Kbpsに低速化します。 1GBごとに1,000円お支払いいただくことで通常速度での通信がご利用いただけます。 追加の1GBあたりの単価、1,000円

今まで、「パケットし放題フラットfor4G LTE」だった人は、7GBまでで5,200円だったものが、2GBまで3,500円のデータ定額パック2 もしくは、5GBまでで5,000円のデータ定額パック5へのプランの選択が考えられるだろう。パケットが余っている人にとっては、このプランは若干の固定費削減につながりそうだ。

しかし、1GBあたりで見てみると実は値上げに見えてくるプランなのだ。1GBあたり742.8円だったもの(パケットし放題フラットfor4G LTE)が、新データ定額パック2ならば、1GBあたり1,750円(235%値上がり)、パック5ならば、'''1GBあたり1,000円'(134%値上がり)''と割高になってきているのだ。そして、7GBを超えると、My SoftBankからの申し込みで、9GBで7,700円(7GBまで5,200円+2GB追加2,500円)1GBあたりの単価で855.5円(115%)となる。次は2GB単位なので11GBまでで、1,0200円となる。1GBあたり単価は、927.2円(124%)。

実際10GB分ならば、プランはないが、7GBまで5,200円+2GB追加2500円+※単価1GB1,250円=8,950円となる。1GBあたりの単価895円(120%)になっているはずだ。

しかし、新データ定額パック10とすると、1GBあたり950円(127%)と常に割高なのだ。おそらく、尋常ではない月間30GBまでの、新データ定額パック30 22,500円でも、1GBあたりが750円(100.9%)と、1GBあたり742.8円と、若干(1GBあたり7.2円)であるが、割高なのだ。30GBのプランよりも、7GBのプランが安いなんてありえない!

これは、実質的にデータ定額の値上がりと考えて良いのではないだろうか?

現在、「パケットし放題フラットfor4G LTE」ユーザーは、7GB制限で、1GBあたり742.8円で使っている。※実際には各種複雑な割引でこの金額以下となっているはずだ。

音声で通話し放題にしようとすることによって、パケット料金は、最大'''1GBあたり1,750円'(235%値上がり)''になってしまう。実質的なデータ定額の値上がりプランと考えることもできる。データをフルに活用する人にとっては、この新「データ定額パック」は割高なデータ料金体系になってしまう。

しかし、データ使用料が、2GBに到達しない人、音声をたっぷり使いたい人にとっては、データ定額パック2で3,500円に変えた方が、7GBまでで5,200円のプランよりも完全に1,700円分、お得といえるだろう。

この価格であれば、格安SIMの乗り換え検討と十分に競合できる価格である。

唯一気になったのが、店頭の担当者のいう現状での「パケットし放題フラットfor4G LTE」は8月31日までは基本何も変わらないが、それ以降は何も決まっていないという言葉だった。ソフトバンク側に問い合わせてみたところ、そういう話は聞いていないということ。複雑な販売ルートやノルマがあるので、一概に言えないが、後出しジャンケンで「スマ放題」は2,700円になった。しかし、その裏で、「データ繰越し」もできるようになったけれども、実質データ定額の値上がりというのは、後出しジャンケンのルールをぶち壊してしまっていないか?

ユーザーのメリットを追求するための、後出しジャンケンでいて欲しいものだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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