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5年後になくなっているもの…電話番号に電子メールに…

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
米国の家賃支払などで使われるマネーオーダー小切手
米国の家賃支払などで使われるマネーオーダー小切手

KNNポール神田です!

わずか5年前、世界はまったく違う場所だった。2010年、iPadはデビューしたばかり、Kickstarterは資金調達の様相を変えることになる新しい形のベンチャーキャピタリズムを生み出し、Squareはどんな規模の売り手でもモバイル端末にカードを通すだけで支払いを受け取れるようにした。後戻りはしていない。

次の5年間で、現在想像もしていない製品やサービスが出てくることは間違いない。

出典:5年後になくなっているもの5つ

として、5年後に無くなっているもの5つをとりあげられている…。ざっくりとまとめると下記のものが5年でなくなるという。

1.小切手

20%以上が紙の小切手を書いて支払いをしたことがない

2.USBメモリー

モバイル通信ネットワークが人口の90%をカバーする

3.パスワードや鍵

スマート端末が鍵になり、生体認証と組み合わせる

4.リモコン

2020年には大量の新しいデバイスがインターネットにつながる

5.紙ベースの署名と紙ベースの手続き

将来は、あらゆる取引が「クラウド契約」によってアクティブに管理されるようになる。

米国での価値観でいうと、家賃を支払うのにいまだに「小切手=マネーオーダー」を家主に送るという習慣があるから当然、早く無くして欲しいという意味あいがきっとあったのだろう。他にもいろいろと意見はあるが、あと5年も経過すると完全に無くなることはないまでも、絶滅危機種となりえるものはたくさんある。

ケータイ電話の登場で絶滅機種となったのは、NTT ISDN公衆電話、赤電話、アドレス帳、電話番号簿、ポケベル、電話関連。スマートフォンの登場で持ち歩きから完全にベンチスタートとなったのが、時計、カメラ、計算機、ペン、電卓、地図など。新たな媒体がデファクトとなるとそれに関連するものが、一気に一般的な価値を消失してしまう。

今後5年で日本の絶滅危機種となるだろうメディア5つ

米国と比較する意味で自分の身の回りの環境を独断と偏見で考えてみた。

1.電話番号

2.電子メール

3.amazonの段ボール

4.ドメイン名

5.ハードディスクドライブ

そして、その理由はこうだ…。

1.電話番号

「メッセンジャーがあれば電話番号は不要」…とFacebookメッセンジャーのMAUが8億突破でデビッド・マーカス副社長が曰く、電話番号というよりも、音声通話をする機会は本当に減った。今や電話をかけてくるのは、テレアポ業者か、訃報だけになっている。すでに電話番号はGoogleの二重認証のための認証番号としてしか機能しない。Skypeや他の番号のほうが完全に安上がり。着信専用電話があれば事足りるので、Wi-Fiモバイルルーター&着信専用のようなものでしばし場つなぎしてもらったほうがよいかも。

2.電子メール

20世紀のインターネット時代の主役だった、電子メールもSPAM化されて、プロモーションにフィルタリングされるような内容ばかり…ウィルスの感染経路とかにもなりえるので、緊急時とまったくつきあいのない人のファーストコンタクト程度になってしまいいつしか他の手段へと代替化される運命に…。

3.amazonの段ボール

amazonのドローン宅配や自動運転が話題だが、5年で従来の方法を変えるのはまだまだ現実的ではない。しかし、我が家での最大のゴミは、amazonの段ボールである。注文する度に梱包されるあのダンボール。これだけ宅配便の人が、こちらの在宅時間指定で来てくれるようになったのだから、その場で中身だけを渡してほしいのだ。もちろん『梱包なし』を選べばポイント還元するなどで一気に普及が可能だ。倉庫からの物流が可能なamazonだから流通できる配送箱を開発したほうがコストダウンにつながるだろう。

4.ドメイン名

昨年、knn.comという20年使用していたドメイン名をSedo.comで売出し、escrow.comで売買したが、ドメイン名がなくなっても、何も不自由に感じることがなくて驚いているほどだ。さすがにメールアドレスとして登録していたサービスの引越しは大変だったが…。引越し見積りで大量に来る引越し業者のうち誰か、メールアドレスやブログの引越し、ドメイン名の引越しもサービスとしてやれば良いのにと思うほど。あの手間を考えれば、光ファイバーの新規回線くらいならすぐに契約するのに。ドメイン名が例え、暗号のような長いドメインだったとしても、SEOさえ効いていれば、「◯◯で検索してください」のワードでランディングできるからだ。ドメイン名はレガシーな電子メールのアドレス名くらいでしか役にたたなくなっている。

5.ハードディスクドライブ

長年にわたり、データ・ストレージとして活用してきたハードディスクドライブだけど、写真やビデオのデータはすべてGoogle Photosに自動アップロード、音楽データは、Google Play Musicに5万曲までアップロードが可能。さらに月額サブスクリプションが終了してもGoogle Play Musicは自分のアップロードした楽曲を無料で利用できる。騙されたとおもって、無料の30日間にアップロードして確かめてみるとよいだろう。

他にもevernotedropboxGoogle ドキュメントなど、仕事も会社のデータはセキュアなサーバでないとあぶなかっしくて利用しない。ローカルには、潤沢なメモリ空間と最低限の非常時バック・アップ用のSSDさえあればという状況になりつつある。

本当は5つと言わず、もっといらないものがでてくるだろう。MicrosoftのSurfaceのキャッチコピーである「これさえあれば何もいらない」は、「IDさえ証明できれば何もいらない」時代がやってきそうだ。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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