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秋の味覚に影響? 戦後最悪の日照不足

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
8月の日照時間は西日本で平年の半分以下(気象庁まとめ)

戦後最悪の日照不足で秋の味覚に影響

店頭に野菜がない!トマトやキュウリ、レタスなど野菜が軒並み高値で、スーパーでは献立に悩む人を多く見かけます。もともと、お盆を過ぎると夏野菜が終わり、今は野菜の端境期になるころですが、産地のリレーがうまくいっていないようです。

8月の日照時間<平年と比べて・暫定値> 都道府県別ランキング
8月の日照時間<平年と比べて・暫定値> 都道府県別ランキング

これは8月の日照時間を都道府県別にみたものです。全国で最も日照時間が多かったのは北海道で、平年の約1.3倍、次いで千葉県、東京都と続きます。日照時間が多かったといっても、北海道を除けば、関東地方は平年並みで、特別によく晴れた8月とはいえません。

一方、全国で最も日照時間が少なかったのは山陰地方です。鳥取県に限らず、西日本の広い範囲で、日照時間は平年の半分以下にとどまりました。戦後最悪の冷夏といわれた1993年(平成13年)をさらに下回り、8月としては1946年(昭和21年)以降、最も少なくなりました。

長雨と低温の影響は野菜だけでなく、水稲にも広がっています。大分県・福岡県・鳥取県・佐賀県・山口県(8月29日現在)の5県に「いもち病警報」、16府県に注意報が出されました。いもち病は農家が最も恐れるイネの病気で、収穫量の減少と食味の悪さを引き起こします。大分県への発令はじつに21年ぶりだそうです。

また、農林水産省がまとめた8月15日現在の水稲の生育・作柄概況によると、北日本や関東地方では作柄はおおむね良好ですが、西日本では出穂した水稲の割合が平年より少なくなっている県が目立っています。

9月は台風の影響あり?

この西日本を中心とした日照不足、長雨はいつまで続くのでしょうか?

最新の1か月予報(8月30日から9月29日まで)によると、北日本や沖縄では晴れの日が多く、西日本でも平年と同様に晴れの日がある見込みです。この予想をみるかぎりでは天候は少しずつ、回復に向かう可能性が高くなっています。

1か月予報<日照時間> 8月28日気象庁
1か月予報<日照時間> 8月28日気象庁

しかし、9月1日は台風の厄日といわれる二百十日。これから1か月ほどが一年で最も台風の影響を受ける時期です。このところ台風が鳴りを潜めていますが、そろそろ活動を再開する気配です。近いうちに、台風の影響を受ける可能性があり、まだまだ西日本の天候が好転するとは言い切れず、秋の味覚は当分、高値の花となりそうです。

【参考資料】

気象庁、1か月予報(8月28日発表)

農林水産省、平成26年産水稲の8月15日現在における作柄概況(8月27日公表)

農林水産省、イネいもち病防除の徹底について(8月29日)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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