秋変調 暖かいからこそ雪が降る
54年ぶりに秋の初雪となった東京。寒気の強さばかりに注目が集まるが、日本の南から流れ込んだ暖かい空気が低気圧を発生させ、雨雲を作った。暖かさのなかに寒さがあると雪が降る。
夏でも上空は氷点下
時ならぬ雪となった原因のひとつは、関東地方の上空に強い寒気が流れ込んだことです。
これは茨城県つくば市にある高層気象台で観測された上空の気温をグラフにしたものです。青線は11月24日午前9時、赤線は平年値です。
上空にいくにつれて気温が下がっています。注目したいのは黄線で囲った部分で、気温は地上から上空1500メートルにかけて氷点下、平年よりも7度から8度低くなっています。
一方、それよりも上(緑丸)では平年と同じ、上空5000メートル以上ではむしろ平年より高くなっています。
上空5000メートルよりも高い所では一年を通して氷点下ですから、夏でも空高い所では雪で、雪が途中で融けたものが雨です。24日は地上から上空1500メートルにかけてほとんど氷点下だったため、雪が融けずにそのまま地上に達しました。
寒気といっても、地上から高さ1500メートルまでの気温が最も重要で、関東地方の雪はこの気温をいかに正確に予測するかにかかっています。
11月の気温は「北冷西暖」
今月はいつもより暖かいでしょうか?寒いでしょうか?
北日本の気温は平年より低く、とくに北海道の寒さが際立っています。一方、西日本と沖縄の気温は平年より高く、石垣島では19日に30.1度を記録し、統計史上最も遅い真夏日となりました。
強い寒気が北日本に流れ込む一方で、西日本には暖かい空気が流れ込む。ちょうど東日本は冷たい空気と暖かい空気の境目にあたっています。気温の差が大きい所には低気圧や前線が発生しやすいため、11月の関東地方は降水量も多いです。
暖かいからこそ雪が降る?
雪が降るときは必ずといっていいほど、関東の南に低気圧があります。暖かい空気と冷たい空気が接すると低気圧が発生し、関東地方に雨雲が広がります。雨雲の元となる暖かい空気があってこそ、雨や雪が降るのです。
11月に東京で雪、温暖化に逆行するような出来事に思うけれど、本来ならば冬型の気圧配置が増えて、11月の東京は晴れる日が多くなる時期です。今年のように日本列島に冷たい空気と暖かい空気が同居するようなときは天候が狂いやすい。
明日(27日)は再び、低気圧が日本列島を通過し、全国的に天気が崩れるでしょう。今回は暖かい空気が勝るので、雪にはなりません。