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2月に雪は少数派

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
東京は春が近づくと雪が多くなる(ペイレスイメージズ/アフロ)

2月4日は立春、暦の上では春が始まるが、東京は2月が最も雪が降りやすい。でも、2月に雪日数が多くなるのは少数派。冬型の気圧配置による雪ではなく、低気圧による降水が雪になるからだ。

大雪が多いのは1月、それとも2月?

1月も、2月も寒さはあまり変わりません。でも、雪の降り方には少しずつ変化が現れてきます。

新潟県上越市高田 1月と2月の降雪・積雪くらべ(1981-2010 平年値)
新潟県上越市高田 1月と2月の降雪・積雪くらべ(1981-2010 平年値)

これは新潟県上越市高田の1月と2月の降雪と積雪をみたものです。一度に降る雪の量は1月が多く、逆に積雪は2月が多くなっています。これは高田に限らず、日本海側の多くの地域で同じ傾向を示します。

日本海の海面水温は2月に最も低くなるため、同じ強さの寒気でも2月の方が一度に降る雪の量が少なくなります。

2月に雪は少数派

2月に雪日数が増える都道府県は?(全国の気象官署の雪日数しらべ)
2月に雪日数が増える都道府県は?(全国の気象官署の雪日数しらべ)

全国の気象台では雪が降った日を記録していて、雪日数として公表しています。2月は日数が少ないため単純な比較はできませんが、全国的に1月が一番多くなります。でも、栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、三重県、奈良県、大阪府は2月が最も多いのです。

天気予報の番組で「東京は2月が雪シーズン」といわれる理由がこれです。

雪日数は文字通り雪が降った日のことで、積もる、積もらないは区別していません。東京の場合、2月の雪日数は3.7日ですが、1センチ以上の降雪があった日(積もった日)はわずか0.9日です。2月の東京は一週間に一度の頻度で雪が降るものの、積もるのは4回に1回と極端に少ない。

東京は低気圧による降水が雪になるため、気温が氷点下になりにくく、水分の多い雪が降ることで、積もらないことが多いのです。

春になるためのハードル

春が近づくと雪が増える東京。一見すると矛盾しているように思うけれど、低気圧が本州に近づくのは冬型の気圧配置が弱まった証拠です。

2月の雪は春になるために越えなければならないハードルのようなもの。それは日々の生活に、人生にもつながることかもしれません。

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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