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16年ぶりの首位は、革新的なマーケティングの奏功がカギ。2015年新車登録台数

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

すでに昨年の12月11日に公開した「メルセデス・ベンツ、16年ぶりの首位へ。」で記した通り、メルセデス・ベンツが2015 年新規登録台数で過去最高記録を更新するとともに、国内純輸入車およびプレミアムブランドにおけるNo.1 を獲得したと本日付けで発表された。

日本自動車輸入組合による2015年の新規登録台数において、メルセデス・ベンツ日本株式会社は前年比7.1%増の6万5,159台(2014年:6万834台)を達成した。

本日付けの他のニュースの中には、これまで16年に渡って首位を守ってきたフォルクス・ワーゲンがその座を明け渡した理由に、ディーゼル不正問題を挙げているところも多いが、これも以前の記事でも触れているように、メルセデス・ベンツはすでに上半期の時点で4500台の差をつけて首位にあったことやフォルクス・ワーゲンの商品ラインナップ的にも今年は新モデルが少なかったこともあり、かりにディーゼル不正問題がなかったとしても首位の死守は難しかったのではないかと推測する。一方でメルセデス・ベンツは昨年、13回も新車発表会を開催したほど商品ラインナップ的にも新モデルが多かったので、昨年以上に台数を積み上げたといえるだろう。

加えて以前の記事にも記したが、メルセデス・ベンツは昨年、高効率なガソリンエンジンを始め、クリーンディーゼルであるBlueTECや、プラグインハイブリッド、そして日本初のクリーンディーゼルハイブリッド等、最新パワートレイン搭載モデルを続々と導入したほか、新世代コンパクトモデル群(A/B/CLA/GLA)の販売も台数を大きく押し上げた。

しかしそれ以上に筆者が注目しているのが、やはり他のブランドとの大きな差を感じるマーケティング面での取り組みだ。すでに2012年からメルセデス・ベンツ日本は独自のマーケティング展開をしている。そして2015年は「メルセデス・ベンツをより身近に感じて頂くため」の活動として、ブランド情報発信拠点「Mercedes me Tokyo HANEDA」を7月に、「メルセデス・ベンツ 三井アウトレットパーク 木更津」を10月にオープンした。また「Perfume」と新型AクラスのテレビCMは、公開約1ヶ月でYouTube視聴回数330万回を突破するなどしており、これまでとは異なるユーザーへの発信を様々な形で行ったことも大きい。

こうした手法は、現社長の上野金太郎氏の就任前後の2012年から始まったもの。メルセデス・ベンツ日本が独自のマーケティングを展開しはじめ、これを年を追う毎に様々な手法で確立してきたといえる。

商品の良さこそが業績を伸ばす核であることは間違いないが、その商品の良さを誰に対して、どれだけ、どのように伝えようとするかという点において、メルセデス・ベンツの取り組みは注目できる。それに加えて英断だったのが、過去のブランド・イメージと決別して展開した新たな取り組みだろう。メルセデス・ベンツ=高級車、という図式からは想像もできない2012年のアニメは、凝り固まった何かを打破した感がある。またその後の展開もユニークさやインパクトある内容となっており、常に話題を喚起してきた。結果、メルセデス・ベンツのブランド・イメージは今ではかなり変化したはずで、これまでのターゲットだけでない、より広いユーザーにリーチしたといえる。

そしてこれは現在、自動車業界だけでなく世の中的にも注目されるマーケティングのひとつとなった。そうした意味では、メルセデス・ベンツの日本におけるマーティングは、日本の自動車マーケティングにおいて新たな展開を築いたと見ることもできる。

では果たして今年は、どのような商品でどのような仕掛けをして、どれだけの台数となるのだろうか? これまでよりもさらに注目を集める1年となりそうだ。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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