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人間より上手!? 新型プリウスの駐車アシスト機能が凄い!

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

発売から1ヶ月で10万台を受注した人気モデル、新型プリウスのAグレード以上に標準装備されるIPA(インテリジェント・パーキング・アシスト)という駐車アシスト機能が凄い。

プリウスにはこれまでもパーキング・アシストは設定されていたが、先代のそれはリアカメラ等の映像をナビ画面に表示し、そこにガイド線を重ねて表示して画面上で駐車位置を選択して…という手順で行う方式だった。駐車位置を画面上で微調整しつつ設定するため時間もかかり、「これなら自分で…」と思うような完成度だった。

しかし新型で採用したIPAは、ボディを囲むように装着されるソナーを用いる方式となった。そもそも駐車時に障害物を検知して警告音を鳴らすために使っていたこのソナーを用いて、車庫入れや縦列駐車での空きスペースを探すのだ。

詳しい操作は動画を参照していただければと思うが、車庫入れの場合は開いているスペースの前で停車して、ハンドル右にあるIPAのボタンを押せば、あとはガイダンスに従ってアクセル・ブレーキ操作だけ行えばハンドル操作はクルマの側が行ってくれる。しかもユニークなのは、車庫入れ時には左右に駐車するクルマとの間隔が均等になるように止め直すことまでしてくれること。

また縦列駐車の場合も同様で、開いているスペースの横でIPAボタンを押せばガイダンスが始まるので、ドライバーはアクセル/ブレーキを操作するだけ。しかも縦列駐車の場合は、出庫する際にもアシストを行ってくれるという優れモノだ。

動画では説明を聞いた直後に操作しているので、まだぎごちなさもあるが、トヨタのエンジニアいわく「慣れてしまうと短時間で確実に駐車できる」とのこと。実際、筆者も体験したが、慣れれば自宅の車庫への駐車等(条件によっては機能が使えない場合もあるが)でも簡単に使えるものとして重宝しそうだと感じた。

最近では海外の最新モデル等では、駐車をクルマから降りた状態でスマホで行えるものがあるほか、駐車場内で空きスペースを探して駐車してくれるものまで登場しつつある。当然ながら、無人での駐車時におけるトラブルに対して、誰が責任をとるのか? などの問題があり、日本ではそうしたルールを含めてまだこれから検討されていく段階ではあるが、そうした中で新型プリウスのIPAは、現状のルール下において使用可能な「ほぼ自動」の装備として優れた仕上がりだったといえる。

なお、このIPAに使うソナーを用いて、駐車場でのアクセルとブレーキの踏み間違い等を防止する機能も働いている。

操作をクルマまかせにするとさらに運転能力が低下するのでは? という意見もあるが、苦手な人にとっては簡単かつ正確な駐車を可能とするだけに、ありがたい装備であることも間違いない。また日頃数え切れないほどの自動車に乗って使って慣れ親しんでいる自動車ジャーナリストである筆者でも、実際に使ってみて、これは“使える便利なシステム”だと感じたのだった。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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