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熱戦のコパ・アメリカでブレイクする必見のニュースターは?

河治良幸スポーツジャーナリスト

6月11日(日本時間12日朝)にチリで開幕する南米サッカーの祭典コパ・アメリカはアルゼンチンのメッシ、ブラジルのネイマール、コロンビアのハメス・ロドリゲスといった世界的なスターの競演が注目されるが、大会では必ずと言っていいほどニュースターが誕生している。

その可能性を秘める多くの若き才能が登録メンバーに名を連ねるが、ここでは3人に厳選して紹介する。どの選手が最も輝きを放つのか、大会に注目してほしい。

■デ・アッラスカエタ(ウルグアイ/クルゼイロ)

21歳にしてブラジルの名門クルゼイロで10番を背負うアタッカーは右足の超絶的なボールタッチと狙い澄ましたビジョンを武器としており、キックの直前までラストパスかシュートか分かりにくいキックフォームを備える。

味方からパスをトラップする時には相手に詰められても、それを利用するかの様にファーストタッチで逆を取り、スペースに抜け出してしまう。プレッシングを強みとするチームにとっては厄介この上ないタイプの選手だ。

左ウィングから中に切り込むプレーもレパートリーだが、最も力を発揮するのは中盤の攻撃的なポジション。プレーメーカーとして成熟しつつあるロデイロと共に、堅守速攻が伝統だったウルグアイに革命を起こすポテンシャルは十分にある。

エースのスアレスがブラジルW杯の出場停止処分だけに、前回王者が再び躍進すれば、この若き逸材が大ブレイクを果たしているかもしれない。

■アンヘロ・エンリケス(チリ/ディナモ・ザグレブ)

戦術家のサンパオリ監督が名称ビエルサのスタイルを発展的に継承し、優勝候補にもあげられる開催国はバルガスとサンチェスという2トップが存在するが、直線的にゴールを狙う彼らの特徴は南米中に知れ渡っている。

そのチリにとって秘密兵器とも言える存在が21歳のエンリケスだ。緩急自在のドリブルから強靭なボディバランスを活かし、パンチのきいたミドルシュートを放つ。

スピードに乗った状態からのシュートだけでなく、ボールキープから反転しながらゴールの隅を狙うなど、正確で強力なキックは豊富なシュートのバリエーションをもたらす。

空中戦のセンスも高く、ややワイドのポジションから逆サイドのクロスに合わせるヘディングシュートは相手DFやGKも対応しにくい。2トップが健在なら開幕時はジョーカー的な役割になるが、決勝トーナメントに入るころにはスタメンに名を連ねていてもおかしくない。

■ヘスス・コロナ(メキシコ/トゥベンテ)

母国の有名なGKと同じ名前だが、体格は全く対照的で164cmと小柄だ。しかし、その体を補って余ある俊敏性で敵陣をワイドに駆け回り、ボールを持てば狭いスペースを飄々と抜けて決定的なプレーにつなげる。

ボールタッチが非常に細かく、前を向くと守備者は安易には懐に飛び込めない。しかし、少しでも間合いを開ければ周囲のアタッカーに絶妙なパスを繰り出すなど、駆け引きに優れた実行力の高いテクニシャンだ。

今回はドス・サントスや“チチャリート”ことハビエル・エルナンデスがおらず、個人で違いを生み出す貴重な存在であり、チャンスメークからフィニッシュまで絡める能力を発揮すれば、招待国のメキシコを躍進に導く大会のエースにもなりうる。

モンテレイからオランダのトゥベンテに移籍して2シーズン目、課題だったフィジカルコンタクトも強くなり、リーグ9得点をあげた。来季はさらなる活躍、そしてステップアップが期待されるが、その前にメキシコ代表でひと暴れすれば価値が上がることは間違いない。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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