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ブログは世界を救う 学校給食ブログで1700万円超の寄付集めた英少女がアフリカ訪問

木村正人在英国際ジャーナリスト

英スコットランド地方の小学校で給食の写真を撮影してブログを連載し、一躍有名になった少女マーサ・ペインちゃん(10歳)を覚えておられる方もいらっしゃるかと思います。

マーサちゃんが今年4月に学校給食ブログを始めたのは、一人当たりの国民総所得(GNI)が290米ドル(約2万4564円)という貧しいアフリカ・マラウイの子供たちに学校給食用の調理場をプレゼントしたいという思いからでした。

7000ポンド(約94万3000円)だった寄付集めの目標が、お粗末な学校給食が白日の下にさらされるのを恐れた地元自治体がマーサちゃんのブログを一時差し止めた騒ぎのおかげで、なんと7635人、12万6701ポンド54ペンス(約1706万9110円)に達しました。

この中から、まず、2万1000ポンド(約282万9000円)を投じてマラウイに学校給食の調理場が建設され、年間を通じて2000人分の給食が提供されることになったそうです。

マーサちゃんは英BBC放送スコットランド放送局の番組で家族とともにマラウイを訪問、自分の学校給食ブログがきっかけで建設された調理場を視察しました。マーサちゃんは「みんなが歌を歌ってくれて私のことをじっと見つめるので、ドキドキしちゃった」と番組の中で話しています。

マラウイの子供たちにとっては大きなクリスマス・プレゼントになったと思います。

マーサちゃんの学校給食ブログが注目を集めたのは5月8日にエントリーされた学校給食があまりにみじめだったからです。

http://neverseconds.blogspot.co.uk/2012_05_01_archive.html

ピザ一切れとコロッケ一つにスウィートコーン。そしてデザート代わりのキャンディー棒。マーサちゃんが「コロッケ一つで、午後の授業に集中することなんて無理よ」と書き込んだところ、同情が集まりました。

しかし、学校給食の内容が批判されていると感じた地元自治体が校長を通じてマーサちゃんに学校給食を撮影しないよう求めました。マーサちゃんが「もうブログをアップできなくなりました。みなさん、さようなら」と打ち明けたところ、批判が殺到しました。

マーサちゃんのブログはさらに注目を集めて、人気料理家ジェイミー・オリバーさんもソーシャル・メディアのTwitterで支援を表明しました。寄付も跳ね上がり、地元自治体は結局、マーサちゃんのブログ再開を認めざるを得なくなりました。

マーサちゃんのブログにはドイツやスペイン、米国、日本、台湾の子供たちからも学校給食の写真が投稿されるようになりました。

やはり日本の学校給食は秀逸です。

日本から12月2日に開かれた学校給食甲子園についての投稿をご覧ください。

http://neverseconds.blogspot.co.uk/

マーサちゃんも自分のブログがこれだけの反響を巻き起こして、実際にマラウイの子供たちに学校給食の調理場をプレゼントできるとは思っていなかったかもしれません。

ブログは世界を変えています。つぶいたろうもマーサちゃんを見習って、こつこつブログをアップしようと思います。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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