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被災地「ありがとう」英国「忘れない」 ロンドンで音楽の架け橋プロジェクト

木村正人在英国際ジャーナリスト
歌声の架け橋がつないだ被災地と英国(筆者撮影)

東日本大震災から5年。ロンドンのイズリントン・アッセンブリー・ホールで14日夜、被災地からの「ありがとう」と英国の「忘れない」をつなぐ「架け橋プロジェクト」コンサートが開かれ、約600人が集まりました。

ロンドンを拠点に活動する歌手の鈴木ナオミさんはちょうど5年前、肝機能不全で白血球が減少し、体調を崩していました。震災直後、被災者から「音楽で被災者を救って」というメッセージがツィッターに寄せられました。

その被災者は震災で自宅が全壊しましたが、毎日弾いていたベースが瓦礫の中から見つかったそうです。鈴木さんは被災者と共同で歌詞を書き、その後、被災地やロンドンでメモリアル・コンサートを開いてきました。

廣田丈自さんとテムズ・ダイコの演奏(筆者撮影)
廣田丈自さんとテムズ・ダイコの演奏(筆者撮影)

鈴木さんが坂本九さんのヒットソング「上を向いて歩こう」、東北復興支援ソング「Smile at me」などを歌いました。バイオリニストのダイアナ湯川さん、尺八と民謡、大太鼓のマルチ・ミュージシャン廣田丈自さんとテムズ・ダイコ、津軽三味線の一川響さんが共演し、福島里の子会の10~18歳の6人が日本舞踊を披露しました。

福島里の子会の馬場千佳さん(10)=福島大学附属小学校4年=が「福島は復興しています。これまでのご支援ありがとうございました」と英語であいさつすると、会場から温かい拍手が送られました。

鈴木さんは「私自身、被災地と関わることで生かしてもらいました。震災から5年が経ちましたが、絶対に私たちは被災地で暮らす人々のことを忘れてはいけないと思います。今日は被災地からの『ありがとう』を英国に伝えたかった」と話していました。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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