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英国のEU国民投票 8.5ポイント残留派がリード 世論調査前会長が分析

木村正人在英国際ジャーナリスト
英のEU離脱問題 国民投票 投票日(写真:ロイター/アフロ)

大手世論調査会社YouGovのピーター・ケルナー前会長が最終の8つの調査結果から、残留派が8.5%ポイント、約250万票差でリードしていると大胆に予測しました。誤差はプラスマイナス6%ポイントだということです。

出所:各種世論調査より筆者作成
出所:各種世論調査より筆者作成

ケルナー前会長は選挙予想では定評がありましたが、昨年の総選挙で保守党の単独過半数を予想できず、辞任しています。筆者はケルナー前会長から何度も取材しています。保守党と労働党のリアル・ポリティックス、英国の政治史に詳しく、オンライン世論調査の分析を加えて、的確な分析を披露してくれます。

8つの世論調査を平均すると残留52%、離脱48%です。オンライン調査は離脱の方が強くでるので、ケルナー前会長は残留51~55%、離脱45~49%とウェイトをかけます。それに海外領土のジブラルタル2万3千人、海外居住者20万~30万人が残留に投票するとみると0.2~0.3%程度、残留派を押し上げます。

これで残留51.2~55.3%、離脱44.7~48.8%。それにスコットランド独立住民投票でも見られた現状維持の逆バネ効果を2%ポイント加えると残留51.2~57.3%、離脱42.7~48.8%となります。残留と離脱の差は8.5%ポイントになります。これは250万票に当たるそうです。

ケルナー前会長は「感情(心)は離脱を後押しするが、仕事や生活費に与える影響を理性(頭)が懸念している。世論調査には心が答え、実際に投票は頭で判断するのか?逆バネ効果があるのなら、残留に有利に働く」と分析しています。

しかし電話調査では残留が多めに出る傾向があるので、「離脱が勝利する可能性もある」と前回の失敗に懲りてさすがに慎重です。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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