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「やっとかという感じでした」 才色兼備、2017年イチオシテニス選手 尾崎里紗インタビューPart3

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
17日に開幕する全豪オープンでグランドスラムデビューする尾崎(写真/神 仁司)
17日に開幕する全豪オープンでグランドスラムデビューする尾崎(写真/神 仁司)

プロテニスプレーヤー・尾崎里紗(WTAランキング100位、1月2日付け)が、テニス4大メジャーであるグランドスラムの初戦・オーストラリアンオープン(全豪オープン、1月16日にメルボルンで開幕)に本戦初出場を果たす。彼女にとっては、22歳でのグランドスラムデビューとなる。

2012年12月にプロ転向した尾崎は、ジュニア時代から注目されてきた選手だが、昨年11月に初めて世界のトップ100に入り、自己最高の92位(2016年11月14日付け)を記録した。そして、ついにグランドスラムの出場権を初めて獲得した。(グランドスラム本戦は128ドロー。予選枠や大会推薦枠を除いて、目安として世界のトップ108人が、本戦ストレートインできる)

2017年イチオシテニスプレーヤーである尾崎に、最近の活躍を振り返ってもらい、そして、2017年シーズンへの意気込みを語ってもらった。

得意のハードコートで調子を上げていた尾崎は、ニューヨークで開催された2016年USオープンテニスで、初めてのグランドスラム本戦出場を目指して戦った。

――USオープン予選では、1、2回戦共にストレート勝ちで、決勝に進みました。2014年オーストラリアンオープンテニス以来、2度目の予選決勝でした。今度こそ本戦に上がるぞという気持ちが強かったのではないでしょうか。

尾崎:WTAで勝ってきたし、ランキングも上がってきて、十分にチャンスはある感じでした。

――予選決勝では、尾崎さん(当時115位)が第18シードで、対戦相手は第28シードのジェシカ・ペグラ(139位、アメリカ)。第1セットは、尾崎さんが、第1、5ゲームをブレークして6-4で先取しました。

尾崎:第1セットは緊張せずにできました。

――しかし、0-6、3-6で逆転負けを喫しました。どうしてプレーが消極的になってしまったのでしょうか。

尾崎:ん~、何が何だかわからなくなっちゃった。あんまり覚えていないんですけど……。なんか急に(ポイントを)取れるイメージが無くなってしまった。私が引いたせいで、相手がウィナーをバンバン取るようになった。

――尾崎さんのフォアハンドストロークのスウィングは、きれいでかつダイナミックで、一番の武器だと思います。ただ、尾崎さんのプレーの悪い兆候は、まずストロークが浅くなる。フォアのスウィングが小さくなって、手首だけでボールをこすり過ぎて、勢いよく飛ばなくなっていました。

尾崎:あんまり覚えていないですけど、そうだったと思います……。

――予選決勝では、セカンドサーブのポイント獲得率が40%で、非常に低かったです。

尾崎:セカンドでは、すごく打たれるという意識がありました。

――あと1セットを取れれば、グランドスラム初の本戦に出場できる試合を、逆転負けで落としてしまって、どうでしたか。

尾崎:またか、という感じでした。また大事なところで、勝てなかったというか、いいプレーができなかったという感じでしたけど、そこまでたぶん引きずらなかったかもしれない。ラッキールーザー(もし本戦で欠場者が出たら、予選決勝で負けていても繰り上がることがある)として待っている期間が長かったので、もう早く帰りたいな~と思っていました。どうせ無理だしって(苦笑)。

――秋の2016年アジアシーズンでは、3大会で1回戦負け。WTAタシュケント大会(ウズベキスタン)で2回戦。この頃良くなかった原因は。

尾崎:9月中旬に熱を出して、寝込みました。東レ(パン パシフィック・テニス)の時も、まだ熱があって、そこから結構長引いて、タシュケントの時には熱は下がったけど、せきがすごかったです。体調を崩してしまって、もったいなかったんですけど……。

――WTAタシュケント大会2回戦では、第4シードの日比野菜緒さん(当時78位)に5-7、1-6で負けました。実は、日比野さんは、尾崎さんに初めて勝ったのが自信になったと言っていました。

尾崎:出だしは私が5-2、5-3ぐらいでリードしていたんですけど、そこからまくられて、私に体力が無くて、全然走れなくて終わってしまいました。

――WTA香港大会では、グランドスラムで7回優勝した第2シードのヴィーナス・ウイリアムズ(14位、アメリカ)と初対戦して4-6、1-6で敗れました。36歳の元世界ナンバーワンと対戦してどうでしたか。

尾崎:サーブはあまり強く打ってなかったみたいです。でも、セカンドサーブが緩いのに、すごい弾んで苦労しました。なんか軽く打っているだけなのに、身長が高いせいか、すごく弾んでいました(ヴィーナスの身長は185cm)。(ヴィーナスに)構えられて打たれたボールの精度がすごかったです。(テニスコートの)コーナーに全部くる感じでした。

――10月下旬に、尾崎さんのWTAランキングは117位でしたので、2017年オーストラリアンオープンの本戦ストレートインをするためには(ストレートインの目安はだいたい108位)、追い込みが必要でした。どんな気持ちでオーストラリア遠征(ITF賞金総額5万ドル、2大会)に臨みましたか。

尾崎:勝って世界の100位以内に入りたいというのもあったんですけど、ITFの大会が出場するのが久々で、第1シードとして2大会プレーするのが決まっていたので、チャンスはあるし、この2週は絶対優勝しないといけないとすごく思いました。

――ITFベンディゴ大会で優勝して、賞金総額5万ドル大会では初優勝でした。

尾崎:ホッとしました。2年前にも出場していた大会だったんですけど、準優勝だったのでちょっと意識しました。1週目で優勝できないと、2週目はもっと苦しくなるので、絶対1週目は優勝しようと思ってやりました。

――ランキング106位になって、ITFキャンベラ大会(5万ドル)でも優勝。2週連続優勝した気持ちは。

尾崎:この週も絶対優勝したいと思ってましたが、1週目よりは気持ちの持ち方が難しかったです。最近では、ITF大会を2週戦うというのが、環境的にすごくきつかったです(苦笑)。(WTAツアーでのいい待遇と違って)何でも自分でやらないといけないし、ホテルも良くないし。2週目の方が私のテニスが良くなくて、苦戦することも多かった。(ITFでプレーするのは)もう嫌だと思いながら(苦笑)、何とか粘って頑張りました。

――11月7日付けのWTAランキングで、初めてトップ100を突破して、94位に入りました。自己最高のWTAランキング92位(11月14日付け)も記録。ツアー選手の仲間入りができましたね。

尾崎:最初は嬉しいのもあるんですけど、やっとかという感じでした(笑)。私的には。ホッとじゃないですけど、もっと早く入れるだろうと思っていたんです。この2年間苦戦しちゃって、やっと入れました。

(つづく)

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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