Yahoo!ニュース

「やっとプロとしてのスタートラインについた」才色兼備イチオシテニス選手尾崎里紗インタビューPart4

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
逃げ恥の恋ダンスのポーズをする尾崎。今シーズンの活躍が楽しみだ(写真/神 仁司)
逃げ恥の恋ダンスのポーズをする尾崎。今シーズンの活躍が楽しみだ(写真/神 仁司)

プロテニスプレーヤー・尾崎里紗(WTAランキング100位、1月2日付け)が、テニス4大メジャーであるグランドスラムの初戦・オーストラリアンオープン(全豪オープン、1月16日にメルボルンで開幕)に本戦初出場を果たす。彼女にとっては、22歳でのグランドスラムデビューとなる。

2012年12月にプロ転向した尾崎は、ジュニア時代から注目されてきた選手だが、昨年11月に初めて世界のトップ100に入り、自己最高の92位(2016年11月14日付け)を記録した。そして、ついにグランドスラムの出場権を初めて獲得した。(グランドスラム本戦は128ドロー。予選枠や大会推薦枠を除いて、目安として世界のトップ108人が、本戦ストレートインできる)

2017年イチオシテニスプレーヤーである尾崎に、最近の活躍を振り返ってもらい、そして、2017年シーズンへの意気込みを語ってもらった。

いよいよオーストラリアンオープンの開幕が近づき、尾崎のグランドスラムデビューはまもなくとなり、彼女が大舞台でどんなプレーをするのか楽しみだ。

――2016年年末のオフシーズンのトレーニングや練習はどんなメニューなのですか。

尾崎:私は、(テニスコートの)ベースラインから下がってボールを打ち気味だったので、なるべく下がらずに、テンポが早くても、ちゃんとベースライン付近で打てるように練習しています。だいぶ慣れて来て、ラリー(グランドストロークのボールの打ち合い)ではできるようになってきました。まだポイント練習はやっていないので(12月下旬取材時)、そこでどれだけできるかです。

――滋賀でトレーニングをしたようですが、フィジカルを強化したんですか。

尾崎:そうです。今は、体幹を鍛えています。ナショナルの女性トレーナーの北村さんにお願いするようになったんです。大きい筋トレというよりは、重さを使わずに動作の細かい部分を見てもらっています。重りを使うと、まだ動作が崩れてしまうんで、できる範囲でやっていますが、キツイです(笑)。

今まで気づいていなかったことが何個かあって、フォアのひねり動作があまりうまくないと指摘されました。ごまかしてひねっていたというか(笑)、体幹が崩れてしまっていて正しいフォームで真っ直ぐひねれていなかったんです。

トラックで400mを走るのは何本もできるんですけど、テニスの試合のように行って戻るという切り返しの動作が入ると、すぐにばてちゃうというのが課題です。パワーマックスで測って、乳酸の溜まり具合がわかった。テニスの動作に近い動作の持久系が苦手というのがあります。これから走り込みです。

――オフシーズンにも、メンタルトレーナーの太田祐也さんからトレーニングは受けるのですか。

尾崎:(2016年)11月までで、ひとまず終わりました。メンタルトレーニングを受ける前よりかは、試合に負けた後の切り替えできて、ずっと(気持ちが)悪いままにならないようになりました。イメージトレーニングも結構していたんですけど、そのおかげで(自分より)格上の選手に勝てたり、接戦になったり、ランキングで怖がったりしないようになりました。

――2016年12月8日には、オーストラリアンオープンの本戦ストレートインが正式に決まりました。ついにグランドスラムデビューですね。

尾崎:これまでは予選からで、(負けて)本戦が始まる前に帰っていたけど、やっとちゃんと出場できる。やっとプロとしてのスタートラインについた感じがして、それがやっぱり嬉しかったです。(初出場は)楽しみの方が大きいです。頑張っていいプレーをしたいな。(2012年ジュニアの部でベスト8に入ったので)一番結果が出ていて、オーストラリアンオープンは相性がいいと思います。

――現在、尾崎さんの同期、いわゆる日本女子テニスの“1994年組”が頑張っています。日比野さんをはじめ、穂積絵莉さんと加藤未唯さんは、WTAツアーのダブルスで優勝しました。二宮真琴さんも、先輩の青山修子さんと組んでダブルスでツアー優勝しました。2017年は、“1994年組”が日本女子テニスの中心になっていくと思いますが、どうですか。ズバリ“1994年組”の選手達は、どんな存在ですか。

尾崎:ジュニアの頃から、一緒の海外遠征も多く、頑張って来たメンバーです。(1994年組が)グランドスラムの舞台に立っているというのは、シングルスでもダブルスでも、やっぱり刺激になるというか、そういうのは感じます。テニスは個人スポーツなので、みんなで、というのはあれなんですけど、この年代が頑張っていけたらなと思います。

――WTAツアーレベルに定着するためには、何が必要だと思いますか。

尾崎:ファーストサーブのポイント獲得率が高くないと、私は勝てていないので、サーブの次のボールで(相手を)追い込めるようにしないといけないと思います。ラリーにもち込めればと思うんですが、ラリーになってもまだできないことが多い。ストロークの質ももっと上げたい。100位に入って思うのは、結構まだできていないことが多いのに、100位に入れたということです。のびしろがあるというか、まだ直すことがいっぱいあるので、上がれる可能性もあるのかな、と。なんか全然100位という感じのテニスじゃないと、自分では思っているので、まだ上にいけるとは思っています。

――尾崎さんの最大の武器は、フォアハンドストロークだと思いますが、どういうフォアに進化させたいですか。

尾崎:スピンでエッグボール、(相手のベース)ライン付近に落ちるボールが、相手はみんな打ちにくいので、そういうものにしたい。練習のラリーでは、すごくいいボールが打てているので、それをどう試合で発揮できるかですね。あと、(対戦相手の)甘いボールを逃さないようにしたい。

――2017年シーズン、プロ5年目の目標は? 

尾崎:ランキングは高く設定して、年末に50位に入りたいなと思っています。入るには、やっぱりグランドスラムで勝たないといけない。1回戦で負けてしまうと、(ランキングポイント)10点で終わってしまうので、グランドスラムで2回、3回勝てるようにしたいです(2回戦進出なら70点、3回戦130点、4回戦240点)。あと、(WTA)ツアーでタイトルを取りたいです。ハードコートが得意なので、ハードコートの大会で、どこかチャンスがあればと思います。

(おわり)

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

神仁司の最近の記事