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ロシア 謎の新型戦車をついに完全公開

小泉悠安全保障アナリスト
モスクワのトヴェルスカヤ通りを進む新型戦車T-14

1年半振りにモスクワにやって来た。

5月9日の戦勝記念パレードを取材するためである。

今回はクレムリンすぐそばのホテルをとったのだが、タクシーの運転手が「やばい、もうすぐパレードのリハーサルで通りが閉鎖されちゃうよ」という。

え、リハーサルって今日だったっけ、と凄まじいスピードで飛ばすタクシーの座席にどうにか掴まりながら宿まで届けてもらい、荷物を放り込むとトヴェルスカヤ通りへ急いだ。

赤の広場正門にまっすぐ続く目抜き通りで、パレード本番やそのリハーサルとなるとここに出番を待つ戦車や装甲車、ミサイルなどがびっしり並ぶ様は壮観である。

夜7時過ぎ、郊外のアラビノ演習場で待機していたパレード部隊がトヴェルスカヤ通りに入って来た。

まずは故障車を回収するための工兵部隊、次に故障に備えた予備、そして本隊という順番なのだが・・・

「あれ、今なんか見たことがない榴弾砲が通ったぞ」

妙に角張った砲塔は明らかにロシア軍現用の2S19ムスタ-S榴弾砲ではない。

割と「しれっ」という感じで現れた2S35コアリツィヤ-SV
割と「しれっ」という感じで現れた2S35コアリツィヤ-SV

かといって今回のパレードに登場する新型の2S35コアリツィア-SV榴弾砲は直前まで砲塔にカバーをかけたまま訓練しており、その外観が分かっていなかった。

そうこうしている間に今度はやはり新型のT-15重歩兵戦闘車がやってくる。これもカバーはされていない。

これらのカバーは本番で外すのだろうと思っていたら、ロシア軍はこの日のリハーサルからカバーを外すことにしたらしい。

T-15重歩兵戦闘車
T-15重歩兵戦闘車
夜になってから撮影したクルガーニェッツ25歩兵戦闘車
夜になってから撮影したクルガーニェッツ25歩兵戦闘車

そしてついに、これまで謎に包まれていたT-14戦車がやってきた。

実用戦車としては世界で初めて無人式の砲塔を採用した革新的な戦車だが、その外観もまるでSFメカのようである。

とりあえず本稿では第一報として、今回のリハーサルで全貌を明らかにした新型戦車T-14の姿をご紹介する。

(ちなみに本稿を書いてる最中に窓の下を問題のT-14が轟音を上げて通過していったので、窓から撮影してみたものも付す)

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ホテルの窓から見たT-14戦車
ホテルの窓から見たT-14戦車

(2015/5/6追記)

ここでは紹介しきれなかったその他の写真や、翌日に行われた飛行展示訓練については筆者の個人ブログにまとめて写真を掲載した)

安全保障アナリスト

早稲田大学大学院修了後、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員、国会図書館調査員、未来工学研究所研究員などを経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター特任助教。主著に『現代ロシアの軍事戦略』(筑摩書房)、『帝国ロシアの地政学』(東京堂出版)、『軍事大国ロシア』(作品社)がある。

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