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iPhoneの2016年モデル、特徴は大容量化と薄型化 ただし投資家はiPhoneの成長に悲観的

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

海外メディアの報道によると、米アップルが今年発売する「iPhone」の次期製品には、従来の2倍のストレージ容量を持つモデルが登場する見通しという。

「iPhone 7」に大容量モデル

アップルは今年秋に「iPhone 7」シリーズを市場投入すると見られている。

中国のテクノロジーニュースサイト、マイドライバーズや米マックルーマーズなどの報道によると、その上位版となる「iPhone 7 Plus」には、ストレージ容量が256GBのモデルが用意される。

現行モデルである「iPhone 6s」シリーズは、4.7インチ画面の「6s」、5.5インチ画面の「6s Plus」ともに、同じ3種のストレージ容量(16GB、64GB、128GB)がある。

これに対し、今年登場するiPhone 7 Plusにはより大容量の256GBのモデルが加わる。一方で4.7インチ型のiPhone 7には256GBは用意されない。これにより画面サイズが異なるiPhoneの2モデルは、その違いがこれまで以上に明確になるという。

またマイドライバーズは、iPhone 7 Plusには容量が3100mAhのバッテリーが搭載されるとも伝えている。現行のiPhone 6s Plusに搭載されているバッテリーは2750mAh。つまりiPhone 7 Plusのバッテリー容量は約12.7%大きくなるという。

このほかマックルーマーズは、iPhone 7シリーズでは3.5mmヘッドフォンジャックが廃止され、現在充電やパソコンとの接続に使われているLightningコネクターがヘッドフォンジャックを兼ねるとも伝えている。

これによりiPhoneの厚さはより薄い6.0mm〜6.5mmとなり、防水設計が施される可能性もあるという。

4インチの「iPhone 6c」も登場か

iPhoneの新モデルについては、これ以外にも様々な観測が流れている。その1つが、画面サイズが4インチの「iPhone 6c」が4月に登場するというもの。

実はこのニュースを最初に伝えたのも前述のマイドライバーズ。それによると中国で、iPhoneの通信サービスを提供しているチャイナモバイル(中国移動)が昨年末に行ったプレゼンテーションで、新製品の発売計画を示すスライドが映し出され、その4月の欄にiPhoneの記載があったという。

iPhone 6cについては、アップルの新製品やその発売時期を独自の調査で当ててきたことで知られる台湾KGI証券のアナリスト、ミン・チー・クオ氏も自身の調査ノートで言及している。

同氏によると、スマートフォンの画面はここ最近大型化しているが、消費者の間では小さなサイズの端末を求める声も少なくない。

アップルはこうした需要を睨み、2013年に発売した4インチ型「iPhone 5c」の後継モデルを計画しているのだという。同氏は、4インチiPhoneの新モデルはiPhone 5sと似ているが、ディスプレイはiPhone 6や同6sと同様に端の部分が若干カーブしているとも報告している。

iPhone、初の前年割れか

なお、米ウォールストリート・ジャーナルによると、投資家らは現行のiPhone 6sシリーズについて、売れ行きが芳しくないのではないかと懸念しているという。その根拠の1つとなっているのが、アップルが昨年7〜9月期の決算発表で示した昨年10〜12月期の業績見通し。

この時同社は、10〜12月期の売上高が1年前に比べて4%増加するとの見通しを示した。この4%増という数値は10〜12月期の伸び率として過去15年で最も低い水準。

またiPhoneの電源管理用チップを製造する英ダイアログ・セミコンダクターは昨年12月、その10〜12月期の業績見通しを11%下方修正したという。

これらのことから投資家らは、昨年10〜12月期におけるiPhoneの販売台数が前年同期比で2%増にとどまり、1〜3月期は同5%減少すると予測している。

もしこれらの予測が正しければ、iPhoneの四半期販売台数は、2007年に初代機が登場して以来、初めて前年実績を下回ることになるとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

はたして投資家の予測は正しいのだろうか。すべてが分かるのは1月26日。アップルはこの日、昨年10〜12月期の決算を発表する予定だ。

JBpress:2016年1月6日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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