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NY金4日:小幅続落、ドル年初来高値更新で一時1,200ドル割れ

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比3.50ドル安

始値 1,203.80ドル

高値 1,208.40ドル

安値 1,197.70ドル

終値 1,200.90ドル

ドル高を受けて買い玉整理の動きが強く、続落した。ただ、6日に2月米雇用統計の発表を控える中、様子見ムードも強く下げ幅は限定された。

旧正月明けの中国現物需要の消化が一巡する中、アジア・欧州タイムは1,200ドル台中盤で方向性を欠く展開になった。やや押し目買い優勢でスタートしたものの、為替がドル高方向に振れる中、欧州タイム終盤からニューヨークタイムにかけては売られる展開になっている。6日に欧州中央銀行(ECB)金融政策会合を控える中、量的緩和プログラムの詳細発表に対する警戒感が、ユーロ売り(ドル買い)を促した模様。また、ADP発表の2月民間雇用者数が前月比+21.2万人と健全な伸びを示すと同時に、1月分が速報の+21.3万人から+25.0万人まで大幅に上方修正されたことも、「ドル高→ドル建て金相場下落」のフローを促している。対ユーロでドルは年初来高値を更新しており、こうした中でドル建て金相場を買い進む動きは鈍かった。もっとも、マーケットでは労働省発表の雇用統計を見極めたいとの向きも多く、1,200ドルの節目割れから値崩れを起こす事態にまでは至らなかった。米株式相場が続落したことも、金相場の下げ幅を限定した。

目先は、6日の米雇用統計が最大の焦点であることは間違いない。市場予測では、非農業部門就業者数は前月比+23.5万人となっており、特に悪い数値は想定されていない。ただ、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「賃金上昇→インフレ率上昇」のフローを利上げ判断において重視する姿勢を示している以上、それに加えて平均賃金の上昇や労働参加率の低下など、雇用者数の増加以外にも良好な内容が要求されることになる。

一方、ECBの量的緩和は金相場に対してポジティブ材料として機能する場面も見られたが、足元ではユーロ安(ドル高)要因として、ネガティブ材料との評価が優勢になっている。当然にユーロ建て金相場に対しては強力な支援材料になるが、これで欧州地区の金現物需要が大きく拡大するような動きがなければ、ドル建て金相場のダウントレンドを加速させる材料になっても、アップトレンドに転換させる要因にはならないだろう。

アジア現物買いに一服感が広がる中、引き続き1,200ドルの節目割れを打診する展開がメインシナリオになる。米指標の大幅悪化、金融当局者のタカ派発言といった動きが限定されれば、ドルやCRB商品指数などに対する割高感を是正する形で、ダウントレンドが維持される可能性が高い。まずは、米雇用統計発表をきっかけに、その流れが加速する否かを見極めたい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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