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NY原油6日:続落、根強い供給過剰とドル高への警戒感

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油4月限 前日比1.15ドル安

始値 50.89ドル

高値 51.22ドル

安値 48.88ドル

終値 49.61ドル

前日に続いて世界的な過剰供給が意識される中、続落した。

米ベーカー・ヒューズ社発表の米石油リグ稼動数は前週比-64基の922基となり、リグの稼動数が減少傾向を維持していることが再確認されている。ただ現実問題としては、シェールオイルの増産傾向には全く変化がみられず、米原油在庫の増加傾向も続いているため、リグ数の減少を手掛かりに買いを入れる動きは鈍かった。寧ろ米雇用統計の発表をきっかけにドル相場が急伸したことが嫌気され、立会い開始後はほぼ一本調子に値位置を切り下げ、約1週間ぶりの安値を更新している。

ベネズエラのチャベス石油相は、同国の産油量が日量300万バレルに近づいていることを明らかにしている。同国の石油輸出国機構(OPEC)に対する報告では、昨年12月時点で273万バレルとされていたが、今年に入ってから増産傾向を強めていることが窺える。ベネズエラは、原油市況対策で減産の必要性を訴えているが、こうした中で自国は逆に増産に踏み切っていることで、政策的な生産調整の実現可能性が疑われる状態になっていることもネガティブ。

手掛かり難からボックス気味の相場展開が続いているが、今なお強力な需給緩和圧力が報告されている中、反発力は限定されよう。需給バランスの歪み是正の動きが強くなっていることは間違いないが、この時期から原油相場が反発してしまうと、需給均衡化をもたらすのに十分な生産調整が進まず、今後の反発力が限定されてしまうことになる。中長期的にはボトム圏に近づいているのは間違いないが、短期スパンでは依然として戻り売り対応の方に魅力を感じる。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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