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NY金28日:ドル高一服で小反発、ギリシャ情勢への警戒感も

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金6月限 前日比比2.50ドル高

始値 1,187.10ドル

高値 1,192.00ドル

安値 1,179.60ドル

終値 1,188.10ドル

為替市場でドル高圧力が一服する中、小反発した。

全般的に新規手掛かり難から狭いレンジ内での取引になっているが、ドル高一服で更に売り込むような動きはみられず、本日は下げ一服となっている。米新規失業保険申請件数は前週比+7,000件の28万2,000件となり、市場予測27万件を上回った。ただ、12週連続で30万件を下回っていることもあり、労働市場に対してネガティブな見方を広げるような動きには至らなかった。このため、ニューヨークタイムは再び投機売りが膨らむ場面もみられ、一時1,179.60ドルまで値位置を切り下げ、前日安値を下回った。ただ、そこから更に売り込むような動きまではみられず、引けにかけては小幅ながらプラスサイドを回復する展開に。

前日は主要7ヶ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でギリシャ危機解決に向けての合意が見られるとの観測が広がったが、本日はそうした楽観的な見方に疑問の声が上がり、ギリシャ債利回りは再び上昇している。ギリシャ政府報道官は、5月31日までの合意を望むとしているが、債権者側が望む緊縮策の強化については新たな進展はみられず、未だ合意点に達せない状況に。6月に入ると国際通貨基金(IMF)向けの債務支払いも開始されるが、デフォルト回避を確実視できないことも、金価格をサポートしている。

もっとも、ギリシャ発で突発的なリスクオフの動きが見られないのであれば、ドル高連動で下値切り下げを打診する展開が維持されよう。来週は雇用関連で重要統計が相次いで発表されるが、ここ最近の米指標の雇用項目を見る限り、サプライズとなるような強い数値は想定しづらい一方、大きく悪化を示すリスクも限定されている。改めて米利上げ観測を織り込む動きが強まる中、ギリシャリスクを考慮に入れても、更に下値切り下げを狙える相場と評価している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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