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「2013年3月末の日本国債(短期債除く)の保有者」

久保田博幸金融アナリスト

6月19日に日銀は2013年1~3月期の資金循環統計を発表した。これによると2013年3月末時点の家計の金融資産は1570兆5990億円(2012年12月末速報値1546兆7085億円)に増加した。

この資金循環統計を基に、2013年3月末時点の国債保有者別の残高と全体に占める割合を自分で算出してみた。ただし、これは国庫短期証券を含んだものではなく、国債・財融債のみの数値を個別に集計し直したものである。一般的に国債の保有者の割合としては、こちらの数値が使われることが多い。

3月末の国債(国債・財融債のみ)の残高は、807兆1421億円(同784兆9632億円)と前回の12月末から22兆1789億円増加した(速報ベース)。国庫短期証券を加えると約969兆円となる。参考までに日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく時価ベースとなっている。

銀行など民間預金取扱機関 314兆9018億円(12月末300兆2249億円)、39.0%(同38.2%)

民間の保険・年金 222兆3979億円(同211兆7344億円)、27.6%(同27.0%)

日本銀行 93兆8750億円(同90兆9024億円)、11.6%(同11.6%)

公的年金 62兆9924億円(同67兆9244億円)、7.8%(同8.7%)

海外 35兆2469億円(同34兆8580億円)、4.4%(同4.4%)

投信など金融仲介機関 32兆1704億円(同37兆4568億円)、4.0%(同4.8%)

家計 24兆2126億円(同24兆4656億円)、3.0%(同3.1%)

財政融資資金 9034億円(同8691億円)、0.1%(同0.1%)

その他 20兆4417億円(同16兆5276億円)、2.5%(同2.1%)

前回の2012年12月末に比べて、残高が大きく増加していたのが銀行など民間預金取扱機関で14兆6769億円増、続いて民間の保険・年金銀行の10兆6635億円増、その他が3兆9141億円増、日銀の2兆9726億円増となっていた(速報ベースでの比較)。 その他の増加には、非金融法人企業(主に民間の事業会社)が4兆4903億円も増やした影響が大きい。

これに対して減少していたのが、投信など金融仲介機関で5兆2864億円の減少、公的年金で4兆9320億円の減となっていた。

この時期はまさにアベノミクス効果も発揮されて、次元の違う金融緩和などへの期待から円安修正が進み、株は上昇した。この間に銀行や生保を主体に国債の残高を積み上げていた。反対に投信などは国債のウエイトを低下させたものとみられる。

国庫短期証券を含んだ数字で見ると、今回海外は全体の8.4%のシェアとなり、過去最高を記録した9月末の9.1%からさらにシェアダウンした。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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