米国のデフォルトは回避、今後への影響
米国のデフォルトはぎりぎりになって回避された。まさにチキンレースとなり、野党・共和党が最後の最後におれて、与党・民主党が粘り勝ちした格好なのかもしれないが、無益な争い、というより有害な争いは勘弁してほしいところである。
米議会上院は、米政府に来年2月7日まで国債発行を認めると同時に、閉鎖中の政府機関を再開するため1月15日までの暫定予算案を本会議で採決し可決された。下院でも可決し、オバマ大統領の署名により成立した。
こうして最大の懸念材料となっていた米国のデフォルトは回避されることになったが、2週間以上に渡り続いていた政府機関の一部閉鎖による影響も無視はできない。政府機関は、法案に大統領が署名後ただちに再開すると伝えられている。
FRBが発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、「政府機関閉鎖と債務上限協議を主な要因とする不透明感の増大を指摘する向きも多かった」との報告があった。ただし、経済への影響はそれほど深刻な問題にはならないだろうとの見方もある。直接的な影響は限定的であったとしても、間接的な影響も存在する。そのひとつが経済指標に関するものとなる。
10月4日に発表される予定であった9月の米雇用統計の発表は22日となる。また、10月集計分の発表は11月8日に延期されるとか。問題となりそうなのは集計期間中に政府機関が閉鎖となってしまった10月分の数字となる。遡っての集計がどれだけ可能なのか。特に家計調査に基づく失業率の数字がどうなるのかも気になるところ。特に雇用に関する経済指標はFRBの金融政策にも影響を与えうる。
そのFRBであるが、市場参加者の多くはすでに年内でのテーパリング開始は困難との見方を強めている。しかも、今回の妥協案となる予算案は1月15日まで、国債発行については2月7日までという暫定的なものであるため、2014年1月28日、29日に開催されるFOMCでのテーパリング開始決定も難しいかもれない。1月末で任期終了となるバーナンキFRB議長は、自らの任期中に出口への道筋をつけることはできず、イエレン次期議長にそれを委ねることになる可能性も出てきた。