米国でビットコイン/ブロックチェーン関連特許を取得することはできるのか

(写真:ロイター/アフロ)

バンク・オブ・アメリカが11件のビットコイン関連(より正確に言えば、仮想通貨関連)特許を米国で出願していた件については既に書きました。このうち1件に非最終拒絶(暫定的拒絶)が通知されており、それ以外はまだ審査結果待ちになっています。また、ゴールドマン・サックスの仮想通貨関連特許出願も拒絶されたことも書きました(査定確定後に継続審査要求(RCE)が出され、それに対しても非最終拒絶が通知されています)。仮想通貨関連の特許取得はそう簡単ではなさそうです。

米国においてビットコイン/仮想通貨/ブロックチェーン関連の特許権取得を目指す上で特に問題となるのが、通称Alice判決による影響です。抽象的アイデアを一般的なコンピューターで実装しただけでは(新規性・進歩性の話以前に)特許の対象としないという米国特許庁の審査基準です。一般に、この理由で拒絶されるとなかなか挽回するのは困難と言われています。

では、暗号通過関連の特許出願はすべて「抽象的アイデアを一般的なコンピューターで実装した」ものとして拒絶されてしまうかというとそんなことはありません。Google Patentsでbitcoinをキーワードとして検索すると最近登録された米国特許が何件かみつかります。

その一つがスタートアップ企業Coinlab社によるUS9298806(System and method for analyzing transactions in a distributed ledger)です。昨年の7月に出願され、Track One(早期審査)が請求されてそのまま拒絶されることなく、今年の3月に登録されています。

Coinlab社はシアトルのビットコイン関連スタートアップで、東京に拠点を持つビットコイン交換所のマウントゴックス社の北米事業を引き継いだ会社でもあります。ご存じのようにマウントゴックス社のCEOマルクカルプレス氏は不正により顧客のビットコインを盗み取ったということで逮捕・起訴されています(最近保釈されたそうですが)。

ビットコインの特徴はその匿名性にありますので、盗まれたコインがどこに流れたかを調べるのは困難です。しかし、実際にはアドレスを使い回す人がいたりすることから、ある程度の追跡は可能です。その追跡を行なうためにCoinlab社はOdenというツールを開発していました(「おでん」に由来する名称かどうかは不明)。そこで使用されているヒューリスティックなアルゴリズムがこの特許の元のようです。

ということで、暗号通過関連やブロックチェーン関連の発明であっても、単に従来の金銭関連事務手続を暗号通過で置き換えましたというだけでなく、技術的に特徴があり、かつ、新規性・進歩性があれば、米国でも特許化できる可能性はあると言えます。もちろん、これは日本でも同様です。

強力な特許を取るにはテクノロジーの潮の変わり目を狙うのが大鉄則です。既に出願されていて公開前の発明も数多くあるとは思いますが、まだしばらく暗号通過関連やブロックチェーン関連発明特許化のウィンドウは開いているのではないかと思います。