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「又吉直樹×中田敦彦トークショー」レポート

ラリー遠田作家・お笑い評論家

2013年12月7日、都内書店にてピースの又吉直樹さんオリエンタルラジオの中田敦彦さんのトークショーが開催されました。

又吉さんは随筆集『東京百景』(ヨシモトブックス)を、中田さんは自伝的小説『芸人前夜』(ヨシモトブックス)を出版。それを記念して行われたイベントでした。

トークショーの冒頭、又吉さんが中田さんの著書を絶賛します。

「面白いし、すごい。『活字ハイ』(活字を読んで気持ちが高揚すること)を感じさせる」

さらに、著書にも表れている中田さんの仕事への取り組み方を褒めたたえます。

「自分の目的・目標を定めて、ちゃんと調べて、努力して、クリアしていく。芸人でそんな人、ほかにおらへん」

その後、中田さんが又吉さんの著書の感想を言おうとした瞬間、又吉さんはニコッと微笑んで「次、僕が褒められる番」とおどけていました。

中田さんは又吉さんの本を読んだ感想は「(又吉は)めちゃくちゃ人に好かれる人だな、と思った」。中田さんは、自分がかわいがっていた後輩芸人の1人であるパンサー・向井(慧)さんを又吉さんに奪われたことがショックだったそうです。

又吉さんは後輩に優しく、いつも光を浴びていない若手に対して「君は大丈夫」と声をかけて励ましています。あまりの慈悲深さに、中田さんは又吉さんを"若手を救うキリスト"とたたえていました。

そんな又吉さんは、中田さんを「三島由紀夫に似ている」と思っているそうです。「完全を求める完璧主義者なんだけど、だんだん周りがそのことをイジるようになる」というところに共通点がある、とのこと。

中田さんが深夜のファミレスで又吉さんに大喜利を教えてもらった話、又吉さんが相方のすすめで下町じゃないところに引っ越すことになった話など、興味深い話が盛りだくさんで1時間のトークショーはあっという間に終わりました。

そんな2人の新著は、それぞれの個性と才能がいかんなく発揮されていて、今年出たお笑い芸人本の中でも屈指の名作。おすすめです。

作家・お笑い評論家

テレビ番組制作会社勤務を経て作家・お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行っている。主な著書に『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『この芸人を見よ! 1・2』(サイゾー)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある。マンガ『イロモンガール』(白泉社)では原作を担当した。

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