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ノート(28) 早々と最高検に白旗を揚げて“完落ち”する若手検事たち

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~逡巡編(13)

勾留5日目

自省の念

 この日は日曜日で拘置所も休みであり、弁護人との接見はなかった。取調べ官にとっては、被疑者との人間関係を深めたり、被疑者を追い込んで重要な供述を得たり、供述調書へのサインを求める絶好のチャンスだ。

 中村検事による取調べも、午後2時ころから消灯時間である午後9時ころまでの間、夕食を挟んで約6時間、これまでよりも2時間ほど長めに行われた。

 「今日は何か考えてきてくれたかな」

 中村検事は、穏やかにそう切り出した。前日、前々日と、取調べの最後に「よく考えてみてほしい」などと言って締めくくっており、僕の気持ちが大坪さんや佐賀さんを刺す方向に傾くことを期待していたからだった。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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