全国学力テスト結果「公表」に向けて前進と予想する
「学力テスト結果公表に慎重意見」と伝えたのは10月21日のNHKニュースだったが、どうも「公表」のシナリオが先行している気がする。
全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果公表については、静岡県の川勝平太知事が下位校の校長名を公表すると批判されて上位校の校長名を公表するというドタバタ劇があったばかりだ。そうした公表圧力を受けてか、文部科学省(文科省)は21日に有識者会議を開き、この問題を議論している。
NHKニュースが伝えたように、会議では公表に否定的な意見が相継いだ。一方で、公表の制度化を求める声があるのも事実である。
21日の有識者会議で文科省が示したアンケート結果でも、都道府県知事の44%が学校別結果の発表に賛成している。この数字だけでは、「反対が半分以上か」と早合点してしまいそうだが、反対は24%と賛成を大きく下まわっている。つまり、賛成の声のほうが多いのだ。
しかし、問題は「公表」ではない。いまのまま全国学力テストをつづければ、静岡県知事がやったような強硬手段は手を代え品を代えでてくることはまちがいない。
全国学力テストが競うためのものになっているのは誰の目にも明らかだ。どう公表の仕方を工夫したところで、比較の材料にされる傾向は強まっていく。
全国学力テストを比較の材料ではなく、文科省が最初にいっていたように「学力の現状を把握するため」のものにするなら、全校対象ではなく、サンプル調査でじゅうぶんなはずである。有識者会議でも、論議しなければならないのは、この問題のはずである。
にもかかわらず、そこに文科省は触れようともしない。文科省の本音が「競わせるための全国学力テスト」だからにほかならない。
11月末までに文科省は来年度以降の公表方法をまとめるらしいが、競わせるのが本音なのだから、公表については前向きのまとめがでるにちがいない。