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3つの台風が日本に接近 大雨に厳重警戒を

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

(※2016年8月の記事です)

19日に台風9号と10号が、20日に台風11号が発生しました。いずれも日本に影響を与える台風となる見通しで、上陸する台風も出てきそうです。

7月下旬から10個の台風

今年は台風1号の発生が7月3日と遅く、2号の発生も7月下旬になってようやくで、台風の少ない状態が続いていました。ところが、その後は次々と台風が生まれ、1か月もたたないうちに10個の台風が発生しています。

台風は熱帯の熱を、北へ運ぶ役割があります。台風の発生が少なかったということは、普段より熱帯に熱が余っていた可能性があるとも言えます。

その熱が次々と積乱雲を生み、台風発生ラッシュの一因となっていると考えられます。

11号は東北・北海道へ接近

台風11号の進路予想図。
台風11号の進路予想図。

台風は、号数通りにやってくるとは限りません。

最も遅く台風となった11号が、まず明日(21日)にかけて、東北の太平洋側や北海道へ進みます。台風として勢力を維持し続けた場合は、上陸するコースとなりそうです。

先日の台風7号の大雨に加え、北海道は前線による雨が降っていて、そこに台風11号の大雨が加わります。非常に危険な状況になる地域が出てくることが予想されます。

9号は関東へ接近

台風9号の進路予想図。
台風9号の進路予想図。

台風9号は北上を続けて、月曜日(22日)に関東付近に接近、上陸するおそれがあります。

明日(21日)の夜から断続的に雨となり、火曜日にかけて関東甲信・東海では、大雨となる所がある見通しです。

さらに、台風はその後、東北や北海道に進み、北日本にさらなる大雨を降らせることになります。

台風11号・9号とも、極端に強くはなりませんが、それは風の話です。小さめに見える台風が、災害級の大雨を降らせることは珍しくありません。

当然、落雷や瞬間的な突風のおそれもあり、海では高波が押し寄せます。

10号は迷走する可能性も

台風10号の進路予想図。
台風10号の進路予想図。

台風10号は、珍しい進路で、しばらく南西方向へ進みます。

「夏の台風は迷走しやすい」と言われます。

秋は、日本付近の上空にある強い西風に流され、ある程度コースが読みやすいのに対して、上空の風が弱い夏は、台風が風に乗れず迷走することがあります。

台風11号・9号は、日本の東海上にある強い高気圧のふちを回る南からの流れに乗って北上しますが、台風10号はこの流れに乗れず、日本の南をさまよう状態となります。

海水温の高い海域に進むことで、今より発達することも考えられます。

その後の進路は、非常に読みづらいですが、沖縄や九州方面に進む可能性がある一方、本州に戻ってくるという予測も、シナリオの一つとして入ってきそうです。

「災害級」は近辺かもしれない

一連の台風により、災害級の大雨となる所が出てきそうです。

残念ながら、今の時点では、それが「どこ」とまでは、しぼり込めません。

が、それはつまり、これを読んでいるあなたの近辺かもしれないということです。

最新の情報を仕入れつつ、危険を避ける行動をとっていただきたいと思います。特に夏休みなどで、自然の中に入るかたもいるかと思いますが、自ら危険に近づく行為は控えるようにお願いします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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