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ワールドカップイヤーの先駆け

松原渓スポーツジャーナリスト

★ワールドカップイヤー

2014年は4年に1度のワールドカップイヤーだ。

6月12日から7月13 日にかけて、ブラジルで開催される予定の今大会で、グループCに入った日本はコロンビア、ギリシャ、コートジボワールとともに決勝トーナメント進出をかけて戦うことになっており、ザックジャパンの前回のベスト16を超える躍進に期待が高まる。

イタリア・ACミランに新天地を求めた本田圭佑を筆頭に、海外組の活躍にも注目が集まる。とはいえ、本大会に向けた最終的なメンバー選考においては海外・国内問わず、いかにコンディションを上げられるかが鍵となりそうだ。

4年に1度の祭典は、日本サッカーのその後の4年間を決めることになる。

緊張感と高揚感に満ちた1ヶ月間が今から待ち遠しい。

★★★

その男子日本代表に先駆けて、W杯に臨むチームがある。

U-17日本女子代表だ。

U-17日本女子代表は、3月8日からコスタリカで開催されるFIFA U-17女子W杯(17歳以下のナショナルチームによる女子サッカーの世界選手権大会)に出場が決まっている。

予選となった昨年のAFC U-16女子選手権2013で、因縁のライバル北朝鮮をPKの末に下した日本は、アジア王者としてワールドカップに臨む。

この年代は、トップの「なでしこジャパン」、20歳以下の「ヤングなでしこ」のさらに下の「リトルなでしこ」と呼ばれる若い世代。7年後の東京オリンピックではまさに軸を担う年代だ。今大会で若きダイヤの原石が光り輝き、発掘されることを期待している。

1ヶ月後に迫ったW杯本大会に向け、U-17日本女子代表は現在遠征中のアメリカで行われている「2014 U-17 Women's NTC Invitational」(ニュージーランド、中国、アメリカ、日本の4ヶ国で行われる大会)に参加し、大会に向けた最終強化を図っている。

★7年後の東京オリンピックを担う新世代

女子日本代表は2011年の女子W杯で日本が優勝した後、世代交代が上手くいっているとは言い難い。

空前のなでしこブームを迎えたW杯翌年に日本開催で行われたU-20女子W杯では20歳以下の”ヤングなでしこ”が3位という好成績を収め、若い選手たちが女子サッカー人気を牽引していってくれると確信した。しかし、その後、当時のメンバーで現在のなでしこジャパン”候補”に昇格した選手はいても、定着した選手はいない。

当時のヤングなでしこメンバー達の中で、現在チームでレギュラーに定着している選手が少ないことも一つの原因といえるだろう(2014年のなでしこリーグでは、ぜひそういった選手達が上の世代を凌駕する気迫、ポジション奪取への気持ちを全面に押し出して見せてほしい!)。

加えて、新生ヤングなでしこはAFC・U-19女子選手権で4位となり、3位までが得られるU-20女子W杯(2014年8月5日〜8月24日@カナダ)に出場する権利を得られず。貴重な国際大会での成長の場を失ってしまった。

成長が停滞しているように映る理由としては、名実ともに女子サッカー強豪国の仲間入りを果たした日本に対し、アジアのライバル国が負けじと実力をつけてきたこともあるし、日本に対して守ってカウンターを狙う戦い方を徹底してきていることもあるだろう。

トップのなでしこジャパンは、その対策として、これまでのポゼッション重視のスタイルに加えて、ロングボールを使った縦に早い攻撃をオプションとして強化している。

下の年代に目を転じると、テクニックを備えた選手達が台頭していることもあり、日本のポゼッションは他国を圧倒している印象だ。だがしかし、ポゼッションサッカー一辺倒ではいずれぶつかる他国の”日本対策”に対処できなくなってしまうかもしれない。

U-17W杯で、日本は最大の持ち味である技術を生かしたサッカーで圧倒するのか、それとも。

今大会では、強豪国の一つであるU-17アメリカ女子代表が、北中米カリブ海大陸予選で敗退したため出場しない(常勝を義務づけられた強豪国は、プレッシャーも大きい。アメリカも日本同様、新たな試練を乗り越えるべく苦労しているのだ)。

ライバルがひとつ減ったことは、日本にとってチャンスとも言える。

チームを率いる高倉麻子監督は、年代別代表を含め日本を率いてW杯を戦う初の女性監督。

女子サッカー創成期のなでしこジャパンのMFであり、20年を超える指導歴もあり、選手からの信頼は厚い。

ちなみに、世界を見渡すと、ドイツ、アメリカ、スウェーデンなど、女性監督で好成績を収めている強豪国も多い。アジア圏を筆頭に、レベルが拮抗してきている今の女子サッカー界では、指導者の育成がチームの命運を大きく左右する。

その意味でも、高倉監督にはぜひ女性指導者の先陣を切ってほしい。

ワールドカップイヤー
ワールドカップイヤー

U-17の今後の予定は以下。

・2月21日(金)~23日(日)

国内トレーニングキャンプ(千葉)

・3月5日(水)~7日(金)

直前トレーニングキャンプ(静岡)

FIFA U-17女子ワールドカップ コスタリカ2014

・3月8日(土)~4月6日(日)

【予選グループC組】

・<第1戦>3月16日 14:00〜(日本時間17日5:00) vsスペイン

・<第2戦>3月19日 20:00〜(日本時間20日11:00)vsパラグアイ

・<第3戦>3月23日 17:00〜(日本時間24日8:00) vsニュージーランド

・3月27日 決勝トーナメント準々決勝

・3月31日 決勝トーナメント準決勝

・4月04日 決勝トーナメント決勝・3位決定戦

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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