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雪予報 「スパコン」と「人」の予報の違い

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
18日午後から19日 都心の時系列予報(気象庁18日11時発表)

今季初の「南岸低気圧」の影響で、関東甲信地方は、内陸部を中心に積雪となるおそれがあります。

東京も平年より半月ほど早い初雪の可能性があり、もし初雪になれば、クリスマス前に降る初雪は8年ぶりです。

まずは、気象庁発表の18日夜の天気分布予報をご覧ください↓。

18日夜の天気分布予報(気象庁11時発表)
18日夜の天気分布予報(気象庁11時発表)

雨と雪の境目がちょうど東京都心あたりになっています。

次に、スーパーコンピュータ(以下スパコン)による18日夜の予想をご覧ください↓

コンピュータによる18日夜の予想(GSMガイダンス)
コンピュータによる18日夜の予想(GSMガイダンス)

雨と雪の境目は北関東の山沿いで、東京を含め平地では、ほとんどが雨の区域に予想されています。

あれっ?予報が違いますね。

これはどういうことかというと、スパコンの予想結果をもとに、最終的に予報官の手で修正されたのが気象庁の天気分布予報です。

一番上の東京の時系列予報もスパコンの結果をもとに予報官が修正した予報です。

通常、皆さんは、この「修正された予報」を見聞きしているわけです。

精度の向上した9代目となるスパコンでも、南岸低気圧による雪予想は、最も苦手とする分野。

スパコンは南岸低気圧時の気温予想の精度が悪く、「雨雪判別が苦手」なのです。

今年の成人の日の大雪時も、スパコンは雨の予想を出していました。

特に、東京都心や横浜は、雨と雪の境界線に位置することが多く、より難易度が高まります。

日頃はスパコンにかなりの信頼をおいているのに、「雨雪判別」に関しては、直前の予想でも、その計算結果の信頼度が低い…

ですから我々気象予報士は、南岸低気圧による首都圏の雪予報に、毎度、必ず、悩まされるというわけです。

今回もスパコンが雨を予想しているということは、それだけ気温が雪を降らせるのに微妙だというと…

予報が非常に難しいパターンです。。。

スパコン予想をもとに人が修正した予報(18日午後から19日)をまとめると

◆北関東と、東京多摩地方、神奈川西部は雪の可能性が高く、平地でも19日にかけて積雪の可能性

◆栃木県や群馬県は平地でも交通障害が発生するような大雪になるおそれも

◆都心と横浜は、18日午後の降り始めは雨で、18日夜にかけて雪やみぞれに変わる

◆都心周辺は積もる可能性は低い ◆23区西部は19日朝にかけてうっすらと積もる可能性あり。

ただし、気温が少しでも低下すると、都心周辺でも19日朝にうっすら雪化粧の可能性があるので注意。

◆千葉は雨の可能性が高い

◆19日日中は平地では雨に変わる

◆南岸低気圧だけでなく、日本海の寒冷低気圧の影響もあり、雪や雨が19日夜まで長引く

今回は、今年の成人の日のような「爆弾低気圧」ではないので、広範囲で大雪になることはない予想です。

でも、今季初の雪で、交通機関など対応が慣れてないかもしれません。

特に、19日朝の通勤通学の時間帯は要注意。時間と心に余裕をもって対応してくださいませ。

「お願い」

雪の予報は、上記の理由で予報が難しく、降水が始まってから修正されることがありますので、最新の予報をチェックするようお願い致します。

気象庁 「大雪に関する関東甲信地方気象情報」http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/103_index.html

気象庁 時系列予報http://www.jma.go.jp/jp/jikei/

首都圏の雪予報で知っておいていただきたいことhttp://bylines.news.yahoo.co.jp/masudamasaaki/20131217-00030726/

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

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