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改めて、教師も危ないからLINEを使わないように!って、そんなバカな?

森井昌克神戸大学大学院工学研究科 特命教授・名誉教授

平成25年度に教え子らへのわいせつ行為により懲戒や訓告などの処分を受けた公立学校の教員は205人(前年度186人)に上り、昭和52年度の調査開始以降最多となったことが30日、文部科学省の調査で分かった。処分者が200人を超えたのは初。文科省によると、スマートフォン向け無料通信アプリ「LINE」などを悪用するケースが増えたことが主な要因とみられる。体罰による処分も3953人(同2253人)で倍増した。

出典:わいせつ行為で処分の教員最多 LINE悪用急増、禁止の自治体も【産經新聞】

先にも、「原則として生徒とのLINEを禁止する」というニュースが流れ、次のような記事を投稿しました。

LINE等のSNSは事実上広く浸透しており、スマホや携帯を持っている高校生のほぼ全員といって良いぐらい利用しています。緊急の連絡や広報の 意味での連絡では最適な情報通信手段であり、情報共有を行うための有効な道具でもあります。LINEを使う事と生徒と私的な関係を持つ事とはまっ たく別です。幼児に対してではなく、教師にまで「ナイフの類は危ないから使用禁止」というのではあまりにも情けなくはないでしょうか。

出典:教師も危ないからLINEを使わないように!?【Yahooニュース!個人ブログ】

LINEを悪用しての教員のわいせつ行為が急増している事は事実でしょう。しかしLINEが悪いわけでは決してありません。LINEの問題ではなく、教員の人格の問題であって、特に新人教員には研修の段階で指導を強化すべきです。LINEは単なる道具です。わいせつ行為を行う教員は他の手段を利用して児童生徒に接触していく事でしょう。

LINEは使い方によって教員と児童生徒との距離を極めて縮める可能性があるのです。それが悪用につながるということで禁止するのではなく、上手に利用することを推奨し、教員も認識を新たにすれば、児童生徒を指導する最良のツール(道具)になるはずです。

児童生徒に対してもLINE等のSNSや、広くスマホの利用を禁止する事に異議を唱えてきました。その最大の理由は社会に出れば必須の道具になるからです。教員も先陣をきって使いこなす事を身をもって教えなければなりません。

神戸大学大学院工学研究科 特命教授・名誉教授

1989年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程通信工学専攻修了、工学博士。同年、京都工芸繊維大学助手、愛媛大学助教授を経て、1995年徳島大学工学部教授、2005年神戸大学大学院工学研究科教授。情報セキュリティ大学院大学客員教授。情報通信工学、特にサイバーセキュリティ、インターネット、情報理論、暗号理論等の研究、教育に従事。加えて、インターネットの文化的社会的側面についての研究、社会活動にも従事。内閣府等各種政府系委員会の座長、委員を歴任。2018年情報化促進貢献個人表彰経済産業大臣賞受賞。 2019年総務省情報通信功績賞受賞。2020年情報セキュリティ文化賞受賞。電子情報通信学会フェロー。

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