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元台風21号、「爆弾低気圧」に

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(写真:アフロ)

まさにブーメランと言ったところでしょうか。一度日本から去った台風21号は、今度は低気圧となって帰ってきて、広い範囲に猛威をふるう見込みです。

低気圧と合体

元台風21号の過去・予想進路。衛星画像は28日。
元台風21号の過去・予想進路。衛星画像は28日。

台風21号から変わった温帯低気圧は、中国の南東部を移動しています。今日(1日)朝には朝鮮半島に到達。その後、中国東北部を東進している低気圧と合体し、北日本周辺で急速に発達する見込みです。1日朝の予想中心気圧は996hPaですが、24時間後の2日朝には40hPa以上も下がり、952hPaとなる見込みです。この時期に、日本付近でこれほど低気圧が発達することは、まずないことです。

日本への影響は

2日朝9時の予想図。気象庁。
2日朝9時の予想図。気象庁。

今日(1日)は全国的に風が強くなり、明日(2日)は、低気圧に近い北日本を中心に嵐となる見込みです。ここ数日の穏やかな陽気がウソのように、大荒れの天気となりそうです。

爆弾低気圧とは…

1991年パーフェクトストームの赤外画像。NOAA。
1991年パーフェクトストームの赤外画像。NOAA。

この急発達する低気圧は、「爆弾低気圧」と呼ばれます。気象の辞典などには、24時間で24hPa以上気圧が降下する低気圧(緯度60度)と定義されています。日本周辺だと18hPa以上です。南北両半球にできますが、特に北大西洋で発生することが多く、全世界では年間45~65個できると言われています。

一昔前に、ジョージ・クルーニー主演の「パーフェクトストーム」という、実話を元にした映画がありましたが、あの時船を襲った巨大な波の一因も爆弾低気圧です。

NHKでは爆弾低気圧とは言わない

2012年には流行語大賞にノミネートされたほど、今ではよく聞かれるようになった爆弾低気圧という用語ですが、実のところNHKでは使われていません。最近では、「いわゆる爆弾低気圧」だとか、カギ括弧などをつけて表示されることはあるようですが、民放のように一般的には使用していないのです。

現に、NHK気象・災害ハンドブックには、「爆弾低気圧は学術用語としては認知されていないので放送では使用しない」と書かれてあります。その代わりに、「急速に発達する低気圧」と表現されることが多いようです。

「爆弾低気圧」の始まりは?

ところで、「爆弾低気圧」の用語の起源は何でしょうか。それは、英語の”Weather Bomb (天気の爆弾)”や"Bomb Cyclone(爆弾低気圧)"などでしょう。

一説によると、日本で「爆弾低気圧」と言われるようになったのは、1990年に小倉義光氏が、これらの言葉を訳して紹介したのが始まりと言われています。

気象庁や、NHKの放送では使用されない用語ですが、世界気象機関やアメリカ・イギリスなどの気象局では一般的に用いられますので、世界では広く専門用語として受け入れられているようです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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