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フィリピン首都で竜巻発生 被害家屋200軒以上も

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
首都マニラの竜巻被害の様子。(写真:ロイター/アフロ)

14日(日)午後、フィリピン・首都マニラの沿岸の町で竜巻が発生しました。竜巻は人口密集地帯を15分ほど移動し、少なくとも200棟が損壊、1人が怪我をした模様です。

白い大きな竜巻が、湾から陸に移動している様子が動画に収められています。

フィリピン北部では、竜巻以外にも週末から続く激しいモンスーンの雨の影響で、大規模な洪水が発生しており、これまでのところ、5名が死亡、数千人が避難しています。

フィリピンの竜巻

マニラなど、建物の影響で風が乱れやすい都市では、竜巻は比較的珍しいと言えます。

しかし、フィリピン全体では、しばしば竜巻が発生しています。大抵のものは小規模で、短命なものが多いのですが、時に死者を出すようなスケールのものもできることがあります。

例えば、1990年6月に南部で起きた竜巻では30人が死亡、1994年には、同じく南部で死者行方不明者13名に及ぶ被害が出ています。

オレンジの箇所は、竜巻が発生しやすい場所。NOAA
オレンジの箇所は、竜巻が発生しやすい場所。NOAA

予想できなかった竜巻

フィリピンでは竜巻が発生するものの、その予報精度は極めて低いのが現状です。それは、気象当局の人材と予算不足が原因のようです。今あるレーダーでは、国の80パーセントしかカバーできておらず、また、予報官の人数も非常に少ないといいます。

将来竜巻の被害が増大すると予想されていることから、竜巻の研究が急務となっています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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