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トランプ大統領就任式の天気は「雨で暖かい」

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(写真:ロイター/アフロ)

就任式は雨

いよいよ現地時間20日に迫ったアメリカ新大統領の就任式。米気象庁によると、就任式が行われるワシントンDCの天気は雨で、降水確率は80%。特に、トランプ氏の演説の始まる昼頃に、雨の可能性が高いようです。

トランプ氏といえば、先日、雨の中傘をささずに歩くオバマ大統領とは対照的に、自慢のヘアスタイルを守ってか、一人傘をさしている姿が一部で話題になりました。当日はどのような対応になるのか気になるところです。

緑の部分で雨予想が出ている。NOAA
緑の部分で雨予想が出ている。NOAA

一方で、セレモニー参加者は、セキュリティ上の問題から、傘の持ち込みが禁止されており、レインコートが必須となるでしょう。

ただ気温は高めで、この時期の平均気温より7℃も高い、9.5℃まで上がる予想です。12月前半並みの比較的暖かな天気となるでしょう。なお、史上最も暖かかった就任式は1981年1月20日のレーガン大統領の式典で、この時は13℃まで上がりました。

悪天に見舞われた過去の就任式

変革の嵐は、天気にも影響するのでしょうか。これまでの米大統領就任式は、度々悪天や低温に見舞われています。

例えば1909年3月タフト大統領の就任式は、暴風雪のため室内で行われました。しかしパレードは予定通り行われることになったため、6千人が夜を徹して、道路に積もった58,000トンの雪を除雪したと伝えられています。

また1937年に行われたルーズベルト大統領の就任式の時には、記録的な豪雨が降って、パレード中、車内が水浸しになりました。

中でも最も悲惨だったのが、1841年3月に行われたハリソン大統領の就任式です。その日は寒風吹きすさぶ厳しい天気であったにも関わらず、大統領はコートも手袋もせずに、屋外で1時間40分も演説を続けました。これが原因で風邪をこじらせ肺炎を発症し、就任式から1カ月後に帰らぬ人となりました。ハリソン大統領は、アメリカ史上最も短命な大統領として記録されています。

トランプ氏の就任式は日本時間21日未明に行われます。すでに議員が不参加を表明するなど波乱含みの様相を呈していますが、この雨が参加者の足にも影響するかもしれません。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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