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不思議な”輪っか雲”のでき方

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
宇都宮市・視聴者提供
宇都宮市・視聴者提供

一昨日(17日)、群馬県や栃木県内で「輪っか雲」とよばれる雲が撮影され、ネット上などで話題になっています。上掲の写真は、視聴者の方から提供されたものです。(15時45分ごろ、宇都宮付近)

私は職業柄、こうした不思議な雲もよく見たりしますが、この雲は初めて見た種類のもので、どうやって出来たのかよく分かりませんでした。そこで撮影場所に近い、群馬県・前橋地方気象台に問い合わせたところ、謎が氷解しました。

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TBS・CGセンター作成
TBS・CGセンター作成

教えていただいたのは、大森俊哉予報官。大森予報官によると、これは浅間山の山岳波によって出来る吊るし雲で、そもそも穴が空いて見えるのが錯覚で、この雲自体は球体であるとのことでした。つまり、穴に見える部分は水蒸気量の多いところで、雲が分厚くなって暗く見えているのです。

また、雲の穴(本当は穴ではない)から吹き出すように見えている白い帯は、上空のジェット気流によってできる巻雲で、氷の粒で出来ています。

大森予報官によると、吊るし雲自体は珍しくないが、太陽高度と相まって、巻雲が合わさって現れるのは、見たことがないとの事でした。

不思議と思うことでも、答えを聞くと「なーんだ」と反応しがちですが私は逆に、この雲を見て、即座に「吊るし雲」と看破した大森予報官の技量に感心してしまいました。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

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