Yahoo!ニュース

ジャパン合宿初日、山田章仁はパースでスーパーラグビー出場を目指す【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター

4年に1度あるワールドカップのイングランド大会を9月に控えるラグビー日本代表は、6日、宮崎での合宿を開始。大一番への本格的な準備を始めるが、南半球最高峰のスーパーラグビーでプレーする選手は各所属先での活動を続ける。

日本代表のウイングとして10キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を取得してきた山田章仁は、今季からオーストラリアのウェスタン・フォースに所属。スーパーラグビーデビューが叶わぬなか、「スタンダードを下げないように」と前向きであろうとする。

26日には公式ブログで結婚を発表。奇抜な走りや度重なる単独留学やアメリカンフットボール挑戦などで話題をさらってきた29歳が、現地からメッセージを届ける。

――19日にハワイで挙式後、いまは2人暮らしとのこと。結婚した実感、ありますか。

「うーん、都内にいるときはずっと一緒にはいたんで、特に何も変わってないんですけど」

――シーズン中に式を挙げたのは。

「スーパーラグビーを決める全然、前だったので。サポートしてもらいながら、いけたらいいかな、と」

――それにしても、スーパーラグビーへのチャレンジ、いかがですか。

「最初はチームになじむことと自分のコンディショニング(の調整)。なかなか試合に出られないのでその時間は十分にあって。スタンダード、モチベーションをを下げないようにしています、ねぇ」

――離日前に「皆の特色を把握する。それを邪魔しないで、かつ、存在感を出す」と話していましたね。チームメイトのプレーを認識し、そこへ自分の動きを適応させるサイクル。どんな様子ですか。

「(試合時のチームは)遠征が多いなか、僕は居残りメンバーになることが多くて。皆のプレーは試合で観てわかっているけど、自分のプレーを伝えるのは…。一緒に試合に出ないと伝え切れない部分もあるかな、とは思いますけどね」

――そんななか、コーチ陣とはどんな話を。

「毎週、どうやったら力になれるか、みたいなところは話し合ってます。(答えは)チームプレーをしっかりやっていけば、というところで。今週(取材時)からパースのクラブラグビーの選手権が始まった(各地域のクラブチームによるシーズン。スーパーラグビーのチームのベンチ外選手もしばし出場する)。パラマラ、っていうチームでやってます。基本はフォースのトレーニングに出るんですけど、クラブの練習にも行きながら、試合にも出ながらってところです。ここでゲームフィットネス(の高さ)と、できることをアピールして欲しいとも言われました。それに集中しながら、フォースともコミュニケーションを取る。その感じでやりたいです」

――クラブレベルでアピールしたいことは。

「ボールを前に運ぶ、トライを取り切る、ってことですね。それがいまのフォースには必要な感じがするので。しっかりトライを取りながら、アピールできたらと思うんですけど」

――1勝6敗と低迷するフォースを観て、そう感じると。

「そう、です、ねぇ。フォースはテリトリーゲームをするので、陣地を取ったらしっかりポイントを取る。とはいえ、何回か(トライの)チャンスはあるので」

――チームの雰囲気、いかがですか。

「規律を大事にしています。監督のマイク・フォーリーさんは、エディーさん(ジョーンズ/日本代表ヘッドコーチ)ともロビーさん(ディーンズ/国内所属先のパナソニックの監督)とも一緒にやったこともある方。そういう意味では、どっちが予習でどっちが復習かわからないですが、最終的に、行き着くところは(フォースもジャパンもパナソニックも)同じなんじゃないかなと。とにかく、コーチとしっかりコミュニケーションを取る。ただひたむきにやる…というのは、言葉の壁もあって伝わりにくい。エキストラのトレーニングをこっちからお願いしたりと、自分から率先して動いていかないと。これは、最初から心がけています。来る前から、わかっていたので。チームに行ったその日にもミーティングもさせてもらったし、時間は無駄にせずにここまで来れています」

――当事者の1人としてスーパーラグビーに触れ、思うことはありますか。

「日本(最高峰)のトップリーグのレベルが上がっているな、と。練習をしたりする感じでは、自分が試合に出れていないので声に大にしては言えないですけど、日本はスーパーラグビーと比べても遜色はないです。ただ国と言語が変わっただけのようなイメージ。例えば、(王者の)パナソニックの皆が英語を喋ったら、そこはスーパーラグビー? …みたいな感じもあります」

――練習の強度や個々のプレーの精度について、両者の隔たりはあまり感じない、と。

「そうですね」

――日本代表は4月から合宿です。合流時期は。

「これは何も聞いていないので、スーパーラグビーで1試合でも多く出ようとしています。エディーさんには『試合に出ないと意味がない』みたいなことを言ってくれている。もう、半分ぐらいシーズンが終わりましたけど」

――そのジャパンの主将、リーチ マイケルはチーフスのレギュラーとしてスーパーラグビーで躍動中です。予想、できましたか。

「出てましたね。トライ(3月28日のチーターズ戦、前半1分)も観ましたよ。頼もしいです」

――こうなることは予想していましたか。

「もちろん。さっきも言ったように、トップリーグのレベルは上がっている。代表のメンバーはもちろん、活躍できると思います」

――自身もその隊列に加わるべく、率先してコーチと連携を図る、と。

「そうですね。自分次第だと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事