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日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ、ワールドカップ候補選手発表(後半)【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
「(本番への)準備は4月から始まっている。直前に何かを…というものはありません」

ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は6月29日、都内で会見。4年に1度のワールドカップ(イングランド・9月)に向けた第3次候補メンバー(詳細下記)を発表し、今後の指針も明らかにした(前半はこちら)。

6月26日まで宮崎で合宿を張っていた日本代表は、7月6日からキャンプを再開。12日からの北米遠征中はパシフィック・ネーションズカップでカナダ代表、アメリカ代表、フィジー代表と順に戦う(その後は同大会の順位決定戦もあり)。ワールドカップでは予選プールで南アフリカ代表、スコットランド代表、サモア代表、アメリカ代表とぶつかる。

以下、ジョーンズHCによる公式会見の様子。

――スーパーラグビーでの日本代表選手(スクラムハーフ田中史朗、ナンバーエイト リーチ マイケルキャプテン、プロップ稲垣啓太、ウイング山田章仁、フランカー ツイ ヘンドリック、センター/ウイング松島幸太郎)のパフォーマンスについて。

「1人しか(スーパーラグビーの公式戦で)プレーしていません。ただ(チーフス野レギュラーになった)リーチは大きく成長しました。しっかりした練習と気持ちで試合に取り組んでいます。彼のディフェンスの質が変わりました。よりよい判断をしていました。効果的なロータックル、ジャッカルのタイミング…。非常に感銘を受けました。フミ(田中)はプレーしていませんので、コンディションが把握しづらい。ヘンディー(ツイ)は20~30分くらい。ボールキャリーができることはわかりました。他の選手は、スーパーラグビープレーできるほどは良くなかったということですね。けれども、いい態度を持ち帰ってくれれば。いい選手になるにはどれだけの準備をすればいいか、と。今朝、山田に会いました。彼は、そこがわかっています。いい選手になるにはどれだけ努力を重ねないといけないか、と。日本はいい環境です。才能を活かせれば、すぐにトップになれる。ただ世界では、才能があるのがスタートライン。そこからハードワークをしなければ」

――そのスーパーラグビー組は、最初は国内で調整します。

「ヴィクター・マットフィールド(南アフリカ代表)と会う機会がありました。キンちゃんよりも1歳上(38歳)で、ブルズ(スーパーラグビー)のスターティングでプレーしました。ただ、1週間のオフの後に南アフリカ代表の合宿へ参加しています。なので、個々の選手たちのコンディション次第です。彼らのフィジカル面は問題ない。ただ精神面はどうか。問題はそこです。ディーン・ベントン(スポットコーチ)が彼らの面倒を見ます。世界トップのS&Cコーチ。もちろん、最初の1週間、我々と一緒に過ごしている時はディーンと色々と話しながら進めます。ただ、ディーンがトップの知識をもったうえで面倒を見ます。1人ひとりを、試合が出来る状態にまで仕上げる。例えば、リーチが疲れていたら、疲れていないようにさせるのが仕事です。選手が必要なものを提供したいと思っています」

――改めて、メンバー選考について。

「現状とこれまでのパフォーマンス、全ての組み合わせで決めます。例えば松島。いい選手なのは明らかです。ハードワークして、スピードも上がり、体重は増えた。ただ、ワラタスでプレーしていない。ハル(スタンドオフ立川理道。昨春、ブランビーズへ留学も試合出場なし)は現在の状態に戻るまでに12ヶ月かかりました。松島、稲垣、山田もですが、彼らがそういう状態になっていたとしたら、ワールドカップに出るのが難しくなるかもしれません。その意味での状態も、見ます。彼らは高校まで1番手で、大学でも最初に食事を提供されていたと思います」

――フッカー堀江翔太副キャプテンなど、メンバー入りが見込める怪我人の回復具合は。

「それぞれを個々で見ています。三上(正貴・プロップ)は先週、トレーニングに参加していません。ワールドカップに向けて、そういったこともしていきます」

――センターのティム・ベネット選手への評価。

「ギリギリのところの選手でしょう。スコッドの下の方のスポットを取ろうと頑張ってます。ボールを持った時に力強いランナーになり、力強いタックルもできます。あとは、強いチームと対戦した時にどんな対処するか。その点は、山中(亮平、スタンドオフ、センター)も同じです」

――大怪我からの復帰を目指すナンバーエイト、アマナキ・レレイ・マフィについて。

「次のステージは多方面へのランができるかどうかということ。この先は不明です」

――リーチ マイケル選手がチーフスと契約しました。

「代表とはまったく関係はありません。彼が来年どうしようが、今年には関係はないでしょう。これからは、スーパーラグビー(来季から発足される日本拠点のチームと見られる。このチームでジョーンズヘッドコーチはディレクター・オブ・ラグビーを務める予定)の質問は受け付けません。会見では、代表のヘッドコーチとして話します」

以下、発表されたメンバー一覧。

【FW:21名】

・畠山 健介 (サントリーサンゴリアス/63キャップ)

・山下 裕史 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/39キャップ)

・平島 久照 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/38キャップ)

・三上 正貴 (東芝ブレイブルーパス/26キャップ)

・垣永真之介 (サントリーサンゴリアス/3キャップ )

・稲垣 啓太 (パナソニック ワイルドナイツ/2キャップ ※)

・木津 武士 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/33キャップ)

・堀江 翔太 (パナソニック ワイルドナイツ/32キャップ)

・湯原 祐希 (東芝ブレイブルーパス/20キャップ)

・大野  均 (東芝ブレイブルーパス/87キャップ)

・伊藤 鐘史 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/32キャップ)

・真壁 伸弥 (サントリーサンゴリアス/29キャップ)

・宇佐美和彦 (キヤノンイーグルス/3キャップ)

・トンプソン ルーク (近鉄ライナーズ/53キャップ)

・アイブス ジャスティン(キヤノンイーグルス/27キャップ)

・ツイ ヘンドリック(サントリーサンゴリアス/27キャップ ※)

・マイケル・ブロードハースト (リコーブラックラムズ/16キャップ) 

・ヘイデン・ホップグッド (―/7キャップ)

・村田 毅 (NECグリーンロケッツ/3キャップ)

・ホラニ龍コリニアシ (パナソニック ワイルドナイツ/39キャップ)

・リーチ マイケル (東芝ブレイブルーパス/38キャップ ※)

【BK:16名】

・田中 史朗 (パナソニック ワイルドナイツ/44キャップ ※1)

・日和佐 篤 (サントリーサンゴリアス/41キャップ)

・内田 啓介 (パナソニック ワイルドナイツ/10キャップ)

・立川 理道 (クボタスピアーズ/32キャップ)

・田村  優 (NECグリーンロケッツ/30キャップ)

・小野 晃征 (サントリーサンゴリアス/24キャップ)

・山中 亮平 (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/3キャップ)

・クレイグ・ウィング (神戸製鋼コベルコスティーラーズ/7キャップ ※2)

・ティム・ベネット (キヤノンイーグルス/―)

・カーン・ヘスケス (宗像サニックスブルース/6キャップ)

・松島幸太朗 (サントリーサンゴリアス/6キャップ)

・廣瀬 俊朗 (東芝ブレイブルーパス/26キャップ)

・山田 章仁(パナソニック ワイルドナイツ/11キャップ)

・藤田 慶和 (早稲田大学 4年/22キャップ)

・福岡 堅樹 (筑波大学 4年/13キャップ)

・五郎丸 歩 (ヤマハ発動機ジュビロ/47キャップ)

<負傷選手>

・アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス/2キャップ ※3)

・マレ・サウ (ヤマハ発動機ジュビロ/20キャップ ※4)

※  7月13〜18日に宮崎にて別メニュー調整予定。北米遠征への合流日未定

※1 合流日未定

※2 7月8日合流予定。7月13〜18日別メニュー調整、北米遠征への合流日未定

※3 7月6〜18日に宮崎にて別メニュー調整予定

※4 不参加

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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