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東芝&ニュージーランド代表のリアム・メッサムは、何を誇っているのか。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
オールブラックスことニュージーランド代表としてプレーするメッサム。(写真:ロイター/アフロ)

今季も日本最高峰のラグビートップリーグでは、強豪国での代表経験が豊富な大物が数多くプレーしている。

その1人が東芝入り2シーズン目のリアム・メッサム。現在世界ランク1位のニュージーランド代表で42キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を獲得した32歳だ。

国際リーグのスーパーラグビーでは、東芝のリーチ マイケルもプレーするチーフスに在籍。身長188センチ、体重108キロのフランカーで、ボール争奪局面(ブレイクダウン)で相手の持つ球へ絡みつくなどし、味方守備を助けている。

リーグ戦における外国人枠のルール変更に伴い(本来あった2枠に加え、他国代表経験のない選手を対象にした特別枠が1つ付与)、今季は開幕から5試合連続で先発出場中である。

9月30日、本拠地である東京・府中の東芝グラウンドで単独取材に応じた。談話を通じ、「ラグビー王国」とされるニュージーランドのシステムや「オールブラックス」と呼ばれる同国代表の強さについても触れている。

以下、一問一答の一部(編集済み)。

――2年目のトップリーグ、ここまでいかがですか。ご自身はブレイクダウンでの働きで目立ちますが。

「これまでタフな試合もありました(取材時点で3勝1敗)。チームを徐々に構築しているところです。(出番の限られた)昨季はややフラストレーションもたまっていましたが、いまはいい状態で練習をしています。自分は、フィジカルに誇りを持っています。試合でどこまでフィジカルにできたかどうかが、自分の指針です」

―ブレイクダウンへの圧力で、効果的に相手の攻めを鈍らせる。どうすればそうできるのですか。

「練習でいいくせ付けをすることです。ただ、あれは最終的には個々のプレーで、内から湧き上がるもの(の発露)。人に説明できない部分があります! ブレイクダウンでアタックす(プレッシャーをかける)べきチャンスを、常に探していなければいけない。例えば、リーチ マイケルが入っているブレイクダウンでは(リーチ1人で十分にインパクトを与えているので)、アタックしません」

――リーチさん曰く、メッサム選手は「練習し過ぎ。皆、びっくりしています」とのことです。

「(冗談口調で)それは、他の皆が練習をしていないのではないですか!? ハハハハ! …身体を健康でフィットされた状態にすることで、高いレベルのプレーが継続できるんです」

――日本ラグビーのことはどう観ていますか。

「自分に合ったスタイルだと思っています。また、リーグ全体のパス、キャッチなどのスキルレベルが毎年、上がっている。スーパーラグビーでプレーできる選手も増えました」

――スーパーラグビーと言えば、2016年度から日本からサンウルブズが初参戦。選手の出場試合数が増えています。ニュージーランドのトップ選手は、この状態で何シーズンも過ごしていますね。

「選手が燃え尽きてしまわないよう、健康の管理は必要かもしれません。そして私の場合、1週間オフをもらったら、ラグビーのことは考えないようにします。オンセンでリラックスする! …(マオリ族の証としての)タトゥが入っているので、クラブハウスの『オンセン(浴室)』しか入れませんが!」

――ニュージーランド代表は、南半球の4か国代表によるラグビーチャンピオンシップでもここまで3戦全勝(取材時)。前年度までプレーしていたベテラン選手が抜けても、強いですね。

「鍵は、オールブラックスの文化です。若い選手もしばらく、そのオールブラックスのシステムのなかでプレーしてきましたしね。高校を出たら、ITMカップ(地域代表選手権)、スーパーラグビー…と、プロフェッショナルのような形でフルタイムプレーをします。(どちらがいいかどうかはさておき)日本では大学進学がファーストチョイスになるところ、ニュージーランドではラグビーがファーストです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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