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顎は折るな? パナソニック・ロビー・ディーンズ監督、日本代表合宿への要望。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
今季も胴上げ監督になるか?(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

日本最高峰のラグビートップリーグで3連覇中のパナソニックが、10月8日、NECとの第6節を51―26で勝利。4勝目を挙げた。かつてオーストラリア代表を率いたロビー・ディーンズ監督がチームの状況、さらには9日から始まる日本代表合宿について話した。

この日、マン・オブ・ザ・マッチを獲得したのは、筑波大学4年生ながらパナソニックでプレーする山沢拓也。6月の日本代表で主将を務めた堀江翔太は2試合連続で控えに回り、後半33分から出場した。

以下、会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

ディーンズ

「NECのようなディフェンスのいいチームからこれだけ点数を取れたことは、結果としてはよかったと思います。スクラムもよかったですし、山沢もいい土台があるなかでいいプレーをした」

――山沢選手は4戦ぶりの先発でした。

「彼にはまず、このレベルでのプレーに慣れてもらう必要があります。このレベルを練習、試合を通して経験してゆく。ここのところチームから離れてよかったのは、ベリック・バーンズ(元オーストラリア代表スタンドオフで、前節まで3戦連続で先発)のプレーを外から観察できたことだと思います。これで、学びを得た。また、彼はたくさんのゲームプランを吸収しなければならなかった。それを全部自分のものにしないと、(このチームのなかでは)彼の良さは出ない。今週に向け、そのホームワークをやってきた。それが今回のプレーに繋がった」

――他のルーキーについて。

「平野(翔平、プロップ)はスクラムでよくやってくれました。藤田(慶和、ウイング)も、ミスはありましたが自分からプレーに関わってのこと。努力した結果のミスは、問題視しません」

――3トライ差以上をつけて得られるボーナスポイントは、獲得できなかった。特に、突き放しにかかった終盤の失点が痛かった。

「ディフェンスが少しボールを追いかけ過ぎたところはあったと思います。ボーナスポイントという概念が邪魔をしたかな、と。ボーナスポイントを取るのにはトライが必要ですが、その前に必要な仕事を考えなければ。(得点直後のキックオフを失ったことを指し)まずはボールの再獲得が必要でした」

――本来であれば休ませたかった堀江選手をグラウンドに出した意図は。

「ボーナスポイントが欲しかったので。その効果は、すぐに出ました(交代直後に鋭いパスでトライを演出しかけた。結果はスローフォワードの反則)。彼を出すことで、新しい火花が散ってくれると思いましたが、時間が足りませんでした。NECが最後(後半39分)にトライをしなければ(ボーナスポイントが取れたので)、今日の勝因は堀江だと言っていたでしょう」

――9~11日、ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチの率いる日本代表がキャンプをおこないます。トップリーグのチームの監督として、どんな協力を。

「(笑いながら)エディー(・ジョーンズ元ヘッドコーチ、現在はイングランド代表を率いている)の時のような(過酷な)キャンプにならないことを望みます。彼はイングランド代表のキャンプで柔道家を呼び、選手があごや足の骨を折ったようです! ジェイミーがエディーのようにやらないと、自信を持って言うことができます。

代表への協力は、今現在もしています。将来を担う選手が成長するようマネージメントしている。また、先ほどの堀江のように、代表の中心選手をフレッシュな状態でプレーできるようにして送り出す…。最近、(日本代表のアタックコーチとなるトニー・)ブラウンもパナソニックを指導してくれました。きっと、パナソニックの田邉淳コーチもサンウルブズ(国際リーグ・スーパーラグビーの日本チーム)へ行く、かも、知れない。その意味では、ジャパンのプログラムとパナソニックのそれは協力体制にあります」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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