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アマナキ・レレイ・マフィは「勝ちたいじゃなく勝つ」。久々の日本代表勝利に…。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真はアルゼンチン代表戦時。右のマルジーン・イラウアとともに攻防戦で身体を張る。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表が11月12日、ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ就任後初の白星を挙げた。この日は敵地トビリシ・ミルヘイキスタジアムで、ジョージア代表を28-22と制した。わずか6点リードで迎えたノーサイド直前も自陣ゴール前を攻めたてられたが、ナンバーエイトのアマナキ・レレイ・マフィが相手をタッチラインの外へ押し出すなどし(直後に自陣ボールラインアウトからしばし球を継続)、辛くも逃げきった。

5日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれた現体制下の初戦では、昨秋のワールドカップイングランド大会で4強入りしたアルゼンチン代表に20―54と大敗。捲土重来を期すこの日、アウェイゲームを制した。

前半はスクラムやラインアウトモールで圧倒され、反則を繰り返した。もっとも1対1でのぶつかり合いでは応戦。ジョセフヘッドコーチは、後に組織防御の向上を称えた。

後半も力業による猛攻を許した。17 分に決められたフルバックのメラブ・クビリカシビリのペナルティーゴールなどで、一時は13―22とリードを広げられた。しかし19分、23分と連続攻撃によるトライで25―22と再逆転に成功した。終了間際の34分には、スタンドオフの田村優が激しいブーイングのなかでペナルティーゴールを決めた。

昨秋のワールドカップイングランド大会でも活躍したマフィは、この日、ナンバーエイトとして先発フル出場。身長189センチ、体重112キロのサイズと腕力を活かし、しばし自陣ゴール前で相手のトライを防いだ。パワー勝負にこだわる相手に対し、真っ向勝負した。

序盤こそモール周辺でペナルティーを重ねたが、「ワンチームで次の仕事へ」と気持ちを切り替えていたという。

以下、試合後の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――試合終了間際のタックル。相手を右タッチラインへ引きずり出し、ピンチを防ぎました。

「もう、とりあえずボールを止めるように、と。自分の身体が(比喩表現として)死ぬぐらいに…。自分の肩がどうなるかはわからないけど、最後のタックルで、トライセーブ…それしかない、と。でも…。(笑いながら)痛かったのにレフリーが『続けて』と。それ、おかしいやろ!」

――相手の強いフォワードと戦って。

「もちろん、多分、このチームにとって一番フィジカルな試合になったと思っている。僕たちは小さい身体で、もっと低くタックルできる。スクラムでは、俺は一番後ろやったけど、(前方の)ロックとプロップが俺の上に…。でも、皆、頑張りました。きょうの試合は、80、90パーセントくらいはずっとディフェンスしていた感じです」

――前半に反則を取られ続けた時は。

「ワンチームで、次の仕事へ…と。早くリカバーして、次の仕事をやり直す、と」

――勝って、嬉しかったですか。

「朝、フォワードが集まった時に僕が言ったのは『勝ちたいじゃなくて、マストで勝つ』と。例えば『明日、勝ちたいね』というのには、負けるかもしれない、ということも含まれている。違う。『勝つ、勝つ』と…。勝ってよかったです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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