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パナソニック&日本代表・田中史朗、ポーコックの凄味&サンウルブズ入り語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
今秋はミレニアムスタジアムでもプレー。(写真:アフロ)

ラグビー日本代表のスクラムハーフで国際リーグ・スーパーラグビー初の日本人選手でもある田中史朗が、12月17日、同リーグの日本チームであるサンウルブズ入りの理由などを明かした。

この日はパナソニックの一員として、国内最高峰のトップリーグ第12節に先発。リコーを45―17で下していた(東京・秩父宮ラグビー場)。ファンとの写真撮影などを終え、帰路に就く際に複数記者の取材に応じた。

身長166センチ、体重75キロと小柄な身体つきながら、相手の盲点を突く判断と負けん気で日本代表58キャップ(国際真剣勝負への出場数)を獲得。4年に1度のワールドカップは2011年のニュージーランド大会(3敗1分)、2015年のイングランド大会(3勝1敗)に出場している。

スーパーラグビーでは、昨季までの4シーズンはジェイミー・ジョセフヘッドコーチ、トニー・ブラウンアシスタントコーチとともにハイランダーズで戦ってきた。2人は2016年秋から日本代表にも入閣。フィロ・ティアティアヘッドコーチ率いるサンウルブズは、その日本代表と連関性を強化するとされる。なおブラウンは現役時代、三洋電機(パナソニックの前身)で田中とともにプレーしている。

取材では、12月にパナソニック入りしたオーストラリア代表65キャップのデービッド・ポーコックについても語った。

以下、一問一答の一部(編集箇所あり)。

――サンウルブズと契約した理由は。

「ジェイミーとブラウニー(ジョセフとブラウン)、田邉(淳アシスタントコーチ)の思い、ですかね。もし僕が2019年のメンバーに選ばれなくても、ハイランダーズで積んできた経験を日本の選手に落とし込めれば、その落とした経験によって皆がレベルアップできる。また、ジェイミー、ブラウニー、田邉さんの思いを日本の人に伝えたいなと思います」

―― 一部報道では、フランスのクラブからのオファーもあったとされます。

「みたいですね。僕は詳しく聞いていないんですけど…。僕が(サンウルブズに)入らなければ他の代表の9番(スクラムハーフ)がサンウルブズの試合に出られるという点はありますけど、僕はいま代表の試合にも出してもらっていますし、僕自身のチャレンジという思いもある。(日程上、古巣の)ハイランダーズの試合ができるというのも、理由にはありました」

――具体的に、何を伝えたいか。

「意識、ですね。色んな外国人選手にも聞いているんですけど、日本はプロスポーツではないので、意識が低い選手が多い。この間の代表(11月に欧州遠征)ではそんなことはなかったのですけど…。この意識が各選手に伝わって、その選手の各所属チームにも広がっていけば、日本代表もレベルアップします。プロ化という可能性も出てくるかもしれない。サンウルブズには堀江(翔太、日本代表キャプテン)もいるんで安心はしていますけど、全員を堀江が観られるわけではないので」

――サンウルブズ自体が、発足2年目と若いチーム。

「プロとしてのチームを作っていきたい。それだけです。ジャパンでは、フィジー代表戦では日本だなというのが出てしまったんですけど(善戦したウェールズ代表戦の次のゲームで、惜敗した)、これからはそんなことがないように、常に100パーセントの力を出せるチームを作っていきたい。色んなコーチの力を借りて、自分たちでチームを作っていけるようにしたいです」

――きょうの試合の感想を伺います。改めてポーコック選手、いかがですか。

「凄いとしか言いようがないです。コミュニケーションもしっかりと取ってくれますし、本当に凄いですね。きょうは何本か(担当レフリーに)流されましたけど、ジャッカル(ポーコックの得意とする、密集の球へ絡むプレー)で10本くらい相手のノット・リリース・ザ・ボール(攻撃側が倒れたまま球を手離さない反則)を取っていたと思います。(攻撃では)ずっとボールを持っておいてくれますし、ペナルティーもしない」

――パナソニックでは最近、若いリーダーがゲームキャプテンを務めています。第11節では新人の坂手淳史選手、このリコー戦では布巻峻介選手…。

「2019年に向けていいことだと思います。ヌノは代表にも入っていますし、年齢的にもいい(現在24歳)。ジャパンではいま、ジェイミーやブラウニーの考えで僕たち(堀江や田中)がリーダーをやっています。ただ、(当該の選手は)皆、すでにリーダーシップを持てている。それを若い選手にも持たせ、全員がリーダーシップを持てば、それが2019年にも繋がっていく」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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