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ヤマハとの全勝対決制したサントリー・沢木敬介監督。「価値を出すために…」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
入社2年目の流。陣地獲得のキックも冴えた(写真は第3節リコー戦時)。(写真:アフロスポーツ)

日本最高峰であるラグビートップリーグの第13節8戦中7戦が12月24日、各地であり、静岡・ヤマハスタジアムでおこなわれたヤマハとサントリーとの全勝対決は、サントリーが41―27で白星を獲得。総勝ち点を60とし、単独首位に躍り出た。ヤマハは3差で2位につける。

サントリーは前半12分までに0-10とビハインドを背負うも、15分、ヤマハが得意とするスクラムで攻守逆転。ここからの展開でウイングの中つる(雨冠に隹と鳥)隆彰がトライを奪うなどし、7―10と迫った。

以後、自陣からの連続攻撃を機能させ、スタンドオフの小野晃征のランをきっかけに32、40分と加点。21―17と勝ち越してハーフタイムを迎えた。

サントリーは序盤から、ヤマハのダブルタックルと肉弾戦でのファイトを警戒。自軍ボールをキープする際に分厚いサポートを重ね、接点で勝負をかけるヤマハの選手を巻き込んだり、反則を誘ったりした。その流れで後半9分に小野がペナルティーゴールを決め、12分にはプロップの石原慎太郎が守備網を突き破るなどし、31―17とリードを広げた。

終盤はヤマハが反撃も、サントリーはラインアウトでの防御と堅守で耐え、逃げ切った。

試合後、沢木敬介新監督とスクラムハーフの流大新キャプテンが公式会見に出席。指揮官は時にジョークを交えながら、淡々と選手を褒めた。

以下、一問一答の一部。

沢木監督

「好調なヤマハさんに勝つことができて、チームとして自信になった。ディフェンス、コンタクトエリアを含め、お互いのカラーが出たレベルの高い試合だったと思います。まだあと2試合、残っています。きょうの勝利の価値を出すためにも、また来週から残りの2試合を勝てるように準備していきたいと思います」

流キャプテン

「チャレンジャーとして向かっていくだけでした。この勝ちをしっかりと自信にしてしっかりと向かっていきたい。アウェーでしたが、サントリーファンも凄く声援をくれて、それを含め、このスタジアムでいいラグビーができてよかったと思います」

――スクラムの評価。

沢木監督

「もっと行けたと思いました。ただ、ヤマハさんに対して最初のスクラムでウチのプロップ陣、フォワード8人がまとまって、ターンオーバーを取れた。それはヤマハさんのダメージにも繋がった。まとまりを持って組めたと思います。後半は色んな兼ね合いもあって上手くコントロールできなかったけど、悪くはないです」

――右プロップで先発の須藤元気選手、フルバックの塚本健太選手について。

沢木監督

「須藤については、後ろにハタケ(日本代表の右プロップである畠山健介、この日はリザーブスタート)がいる。ハタケは色んな状況に対応できる。須藤は、純粋に、強いんですよ。あの体形を観たらわかると思うんですけど(身長173センチ、体重110キロ)、その純粋な強さでヤマハの一番の武器であるスクラムへ対抗するように、と。塚本はもともと能力の高い選手。ここにきてやっと自信を持ったプレー、チームの勝利に貢献できるプレーができてきた」

――塚本選手が再三、相手のハイパントを捕球していました。

沢木監督

「あれくらいは捕ってもらわないと。練習で何千本も捕っているので!」

――フランカーのジョージ・スミス(元オーストラリア代表)選手、司令塔の小野選手について。

沢木監督

「ジョージはオーストラリア代表の経験もあるし、スティーブン(・ドナルド、インサイドセンター)もいい仕事をしてくれたと思います。小野はもう…今年は、調子いいです! 少し細かく考えすぎることもある選手ですけど、今年はシンプルな考えでゲームを理解して、自分たちの良さを引き出すようなゲームコントロールをできていると思います」

――バックスの連続攻撃について。

流キャプテン

「外側にスペースがあったので、そこを速く攻める意識はしました。フォワードフェーズをこだわるより、バックスにスペースが空いていると思ったので、そこに速く回す、と」

――攻撃時の肉弾戦について。

沢木監督

「ヤマハさんはボールにファイトしてくるチーム。自分たちでできることは、(その接点の)オフサイドラインを明確にするぐらいの精度でブレイクダウン(接点)を支配する、と。ただ、その精度が少し落ちてしまいうと、(ボール保持者が)絡まれるケースもあった。(苦しんだ局面なども通し)自分たちの感覚、スタンダードを引き上げてくれる、そういう試合でした」

――ディフェンスについて。

流キャプテン

「僕らのプライドであるハードワークだけ、です。そこで上回らないとヤマハにはパワーがある。タックルして、起きて、動く。そのプライドが良かったと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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