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トゥーロン五郎丸歩にパナソニックも参戦。「ブリスベン・グローバル・テンズ」って何?【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
写真はトゥーロンへ移籍した際の五郎丸。各国の猛者とぶつかる。(写真:ロイター/アフロ)

オーストラリアはブリスベンの印象は、天気の良さだ。オープンカフェへのテラスには、白く主張の強い光が注いでいた。スーパーラグビー(国際リーグ)のサンウルブズ対レッズ取材のために滞在した2016年5月21日までの数日間、空は夕方まで水色がかった群青だった。

南半球なので、季節は日本と真逆である。夏真っ盛りの2017年2月11、12日、新しいラグビーの祭典が始まる。「ブリスベン・グローバル・テンズ」だ。

「テンズ」とは10人制のラグビーのことだ。

コンタクトで魅せるフォワードが5人、ランやパスを繰り返すバックスが5人で編成される。グラウンドの広さは「セブンズ(7人制、フォワード3人、バックス4人)」や「ユニオン(15人制、フォワード8人、バックス7人)」と同じで、試合時間は10分ハーフの計20分で、ハーフタイムは5分となる。

オリンピック種目である「セブンズ」のような「1日に複数試合が観られる」「人数が少ない分、個人技が多く観られる」といった面白みもあれば、ワールドカップなどで観られる「ユニオン」に似たスクラム、肉弾戦の迫力も担保される。

「テンズ」は1960年代にマレーシアで考えられたフォーマットと言われ、以降、東南アジアを中心に草の根的に発展。今回から始まった「ブリスベン・グローバル・テンズ」は、大会そのものの規模を拡張。各国の強豪チームが集まり、インターナショナルレベルのスポーツエンターテイメントを目指す。

参加チームは計14チーム。オーストラリアとニュージーランドからスーパーラグビーに参加する10チームに、南アフリカのブルーブルズ(スーパーラグビーのブルズを下支えする組織)、サモア代表、日本の五郎丸歩が所属するフランス・トップ14のトゥーロン、日本のパナソニックだ。

スーパーラグビーの開幕前とあって、各チームは若手や控え選手を軸にチームを作っている。もっともシドニーのワラターズからはオーストラリア代表フルバックのイズラエル・フォラウ、パナソニックにもいたウイングのタンゲレ・ナイヤラボロらが参加。昨季のスーパーラグビー王者であるニュージーランドのハリケーンズでは、ネヘ・ミルナースカッダー、コーリー・ジェーンといったニュージーランド代表経験のあるウイングが揃う。

日本のパナソニックも、興味深いスコッドを編んだ。

日本およびオーストラリアで代表経験のある坂手淳史(フッカー)、川俣直樹(プロップ)、ヒーナン ダニエル(ロック)、谷田部洸太郎(ロック)、ベリック・バーンズ(スタンドオフ)、林泰基(センター)、山田章仁(ウイング)、北川智規(ウイング)、児玉健太郎(ウイング)らに加え、大学生トップリーガーとして話題を集めた筑波大学4年の山沢拓也(スタンドオフ)も参画する。今季の山沢は、トライ&エラーを繰り返すなか、しなやかなモーションからのラン、パス、キックをチームのフォーマットに馴染ませてきた。シーズンを締めくくる日本選手権では、サントリーに敗れたものの自陣ゴール前からキックとチェイスだけで得点機を作るなど非凡さを覗かせた。

さらに、来季から加入する新人選手もプレー。1人が松田力也(スタンドオフ)。大学選手権8連覇を果たした帝京大学の副キャプテンで、6月には日本代表入りも果たした万能騎士だ。

そしてもう1人は小山大輝(スクラムハーフ)。大東文化大学時代の年代別代表入り経験はないものの、世代随一の才能と謳われる。本格的にラグビーを始めていなかった中学時代、地元・北海道のラグビースクール選抜のセレクションに合格。芦別高校3年時に南北海道大会1回戦敗退も、予め有力候補だった選手に競り勝ち高校日本代表入り…。密集脇をえぐるサイドアタックを長所に、漫画の主人公のようなキャリアを積んできている。インターナショナルレベルの競合にあって、どう存在感を示すかに注目が集まる。

2日間で28試合が組まれる一大イベント。スポーツ専門チャンネルの「J SPORTS」でも中継される。受像機の向こう側からでも楽しまれたい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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