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サンウルブズ・田邉淳アタックコーチ、ハリケーンズ戦に見た「経験不足」とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
狼の群れ。ジャージィも刷新。(写真:アフロ)

国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズは2月25日、本拠地の東京・秩父宮ラグビー場で発足2シーズン目の開幕節に挑み、前年度王者のハリケーンズに17―83と大敗した。

立ち上がりこそ鋭い防御を繰り出したサンウルブズだったが、次第に飛び出すタックラーの背後に大きなパスをつながれ、5、7分と立て続けにトライされる。以後、攻め込むさなかのインターセプトなどからもスコアを許し、クラブ創設以来2番目に多い失点を喫した。

攻めてはこの日初陣を迎えたスタンドオフの田村煕が防御の裏へ再三、ショートパントを発動。ここからいくつかのチャンスを作ったが、攻め込んでの攻守逆転は失点にも繋がった。

この日の収穫と反省は。スーパーラグビーでの指導者にあっては日本人第一号となる、田邉淳アタックコーチが語った。

以下、取材エリアでの一問一答(編集箇所あり)。

――2月1日に始動し、先発の司令塔団はこの日デビューの若手選手。臨機応変に戦い方を変えろ、というのは難しいですか。

「キックで十二分にチャンスを作れていたし、そこはよかった。ハリケーンズは我々について先週の試合(18日におこなった壮行試合)しか観ないと思ったので(その日にしていなかった短いキックを多用した)。ただ、いつキャリーするかという判断はなかなかできなかった。そういうメッセージは出していたのですが…我々スタッフ陣のミスかな、と。キック、その次はキャリー…。といった布石を打つべきなんですが、ずっとキックでした。きょうのメンバーは半分くらいがスーパーラグビーデビュー。リーダーというリーダーがいなかったかな、と。(敵陣で自軍ボールを)取ってからどちらへアタックするかは、もっと煮詰めていかないといけない」

――敵陣22メートルエリアに入ってから、スコアを決めきれないところもあった。

「我々にとってもったいないところはありましたね。きょうはラインアウトよりスクラムの方が優勢だった。その指示を、もっと上(コーチャーズボックス)から出せればよかったかなという反省がありました」

後半10分ごろ。敵陣の深い位置で相手の反則を奪うも、ラインアウト獲得のために蹴ったペナルティーキックをゴールエリアの向こう側へ飛ばしてしまった。結果、ボールは相手に渡った。

「あそこはど真ん中だったから、スクラムにしてもよかったかなと。ここに経験不足が出たかな、と」

――防御に関して。

「皆で上がる(相手との間合いを詰める)、というのが大事。我々はフィジカルでもないし、そこでプレッシャーをかけないと走られる一方です。自信がない選手が何人かいて、止まってしまっていた。そこはすぐ修正できるかな、と」

3月4日、準ホームのシンガポール・ナショナルスタジアムでキングスと対戦。前年度はサンウルブズが1勝1分13敗だったのに対し、キングスは2勝13敗だった。両者の直接対決は昨年の4月2日にあった。南アフリカはポートエリザベスのネルソン・マンデラ・ベイ・スタジアムでの第6節で、キングスが33-28と勝利しているが…。

普段の練習計画立案などでチームを支える田邉コーチは、こう展望した。

――キングス戦。リベンジの時でもあります。

「去年も思ったのですが、遠征の時の方がぐっと(戦術などが)浸透するんです。少人数で同じ屋根の下で過ごして、すぐにミーティングができ、グラウンドもジムも(ホテルに)近いので。キングス戦は、我々にとってチャンスと思っている。戦略上は、(会場の気温が)9度から30度に変わることをうまく使いたいと思います。そこを逆手にとれるようなプランを出したい」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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