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縁に導かれてたどり着いた“なかじぃ”

中西正男芸能記者
”なかじぃ”でブレイク中の中川貴志

吉本新喜劇で、今、脚光を浴びているのが“なかじぃ”としてブレイク中の中川貴志さん(40)。昨年から行われている座長公演は毎回満席になる盛況ぶり。現在、大阪・なんばグランド花月で上演中の「THE舶来寄席2016」の中でも、座長的な役割を務める新喜劇公演に挑んでいます。芸歴20年。漫才コンビ「ランディーズ」として活動し、芸人ユニット「WEST SIDE」としてアイドル的な人気もゲット。その後、吉本新喜劇に入り、おじいさん役で注目を集めるなど、まさに多岐にわたる芸能生活ですが「いろいろやらせてもらったがゆえに、人のいろいろな顔を見せてもらえた20年でもありました」と言葉に力を込めました。

ルックスと声がピッタリ

ホンマに、何がきっかけになるか、分からんもんですよね。

“なかじぃ”をやり始めたのは、今から4年ほど前のこと。たまたま、たくさんおじいさんが出てくる新喜劇の芝居があったんです。

その中のおじいさんの1人が僕だったんですけど、特にピックアップされるような役ではなくて、あくまでも“その他大勢”的な扱いで。ただ、僕、元から声がしゃがれていてガスガスの声質なんで(笑)、おじいさんのルックスと声がピッタリ合ったんですよね。座長さんやスタッフさんからも「えらい、ハマってるやん!!」と言ってもらって、「中川のおじいさん役がおもしろい」みたいな話になったんです。

その話を聞いて、今は座長になったすっちーが、僕をおじいさん役としてどんどん使ってくれたんです。当時はまだ座長になる前で、試験的にリーダーを務めていた時期だったんですけど、そんな大事な中でも僕にしっかりと場を与えてくれて。そこで一気に定着したという流れでした。

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ホンマに縁のある関係

すっちーとは昔から付き合いが深くて、吉本興業のすぐ近くにマンションを共同で借りて、一緒に暮らしてもいますし(笑)。互いに、家庭はあるんですけど、そこがいつしかメインの家みたいになってしまって。ホンマに縁のある人間だなと思ってます。ここに「チュートリアル」の徳井(義実)も加えた3人で、若い頃からよく遊んでます。ずーっとこの3人で「ぎおん三羽ガラス」(京都・よしもと祇園花月、次回は29日)というイベントも定期開催してますしね。刺激ももらいますし、ホンマに縁に恵まれた人生やなと思います。

「ランディーズ」としてデビューをして、番組企画で大道芸を取得しながら世界中をまわるというチャレンジもさせていただき、さらにそこから「WEST SIDE」というユニットも組ませてもらいました。「WEST SIDE」がもう15年前になりますか。「ロザン」「キングコング」と一緒にやってたんですけど、確かに、その時は、若い女の子からワーキャー言うてもらいました(笑)。ま、今では、見る影もありませんけど…。

一番しんどい時期に…

ただ「WEST SIDE」が終わったあたり、29歳、30歳くらいが一番しんどい時期でもあったんです。とにかく仕事がない。相方はNHKドラマ「中学生日記」に先生役として出たり頑張っているけれども、僕だけやることがない。しかも、そこで結婚もした。

毎日、毎日、悪いことばっかり考えるし、それでまた余計にしんどくなるし…。そんな中で、ホンマにありがたい言葉をくれたのが漫才コンビ「メッセンジャー」のあいはらさんだったんです。あいはらさんが経験されてきたことと、僕の流れが非常に似ていると。

「自分も(吉本興業の劇場)『心斎橋筋2丁目劇場』で仕事をもらって、そこから、29歳の時に、仕事が全部なくなってしまった。一方、相方の黒田(有)にはどんどん仕事が来る。ホンマにしんどかった。辞めることももちろん考えた。でも、その中で気づいたのが、何もマイナスにはなっていないということ。ゼロになっただけやと。だから、お前も、ここからやで」

そう言われて、やっと悪いスパイラルが止まったと言いますか。「そうか、ゼロになっただけか。ということは、また上がることを考えたらエエんや」と前向きになれたと言いますか…。心にスーッと言葉が染み入ったんです。

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たくさん、人を見せてもらった

芸人として、エエことも、大変なことも経験させてもらいましたけど、大変な状況になったら、一気に態度が変わるオトナもいる。ホンマのホンマに…。逆に、そこで手を差し伸べてくれる人もいる。いろいろなことをさせてもらった分、たくさん、人を見せてもらった20年でもありました。

今回「舶来寄席」の中でやる新喜劇で、久々に若い頃やっていた“火のついたたいまつを口の中で消す”という大道芸をさせてもらっているんです。「舶来寄席」が世界中のスゴイ技を持つパフォーマーが集うという舞台なので、ま、レベルは全然違いますが、僕も、ちょこっとさせてもらうことになりまして…。

20代前半の頃の自分は、まさか、40歳になって、おじいさんの姿をしながら、新喜劇の舞台で火を消してるとは夢にも思ってないでしょうけど(笑)、人生というのは、なかなかおもしろいもんやなと思います。

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■中川貴志(なかがわ・たかし)

1975年7月4日生まれ。大阪府貝塚市出身。高校時代は大阪の名門校、大体大浪商で野球部に所属。大阪NSC15期生。95年4月、高井俊彦とお笑いコンビ「ランディーズ」結成。99年には朝日放送「なりたぁ〜い!」で、世界中を旅して大道芸を身に付ける企画にチャレンジし、話題を呼ぶ。その後、関西テレビ「紳助の人間マンダラ」で「ロザン」「キングコング」と芸人ユニット「WEST SIDE」を結成し、アイドル的な人気を得る。「ランディーズ」としてABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、NHK上方漫才コンテスト最優秀賞などを受賞。2007年、高井とともに吉本新喜劇に入団。新喜劇では、しつこい老人キャラ“なかじぃ”としてブレイク中。現在、大阪・なんばグランド花月で開催中の「THE舶来寄席2016」(6月5日まで。5月15日、22日、29日、31日、6月3日は休演)で、5月16日から18日まで、中川が座長的な役割を務める新喜劇が上演される。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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