「日本で雪の南限は」と考えるほどの寒気の南下
今冬最強という強い寒気が南下しており、日本列島が冷え込んでいます。
沖縄本島のあす24日(日)の最低気温の予報は10度ですが(図1)、沖縄本島より気温が1~2度低い沖縄県の久米島では、9度になるという予報です。
日本での雪の南限
日本での雪の南限は、観測記録がある範囲では、北緯26.3度の久米島です。
強い寒気が南下した昭和52年(1977年)2月17日のことです。北海道南部の上空約5000メートルではー42度の寒気が入っていました。富士山頂でも気温がー32.5度まで下がっています。
久米島では、短時間ですが霙(みぞれ)が降っています。霙は、雨に雪が混じったものですが、雪であることには変わりがありません。久米島の最低気温は6.7度、最小湿度は42%と乾いていました。
空気が乾いていると、雪の表面で氷の一部が水蒸気に変わりかわりやすくなり、そのことによって雪の表面が冷やされますので、雪が溶けにくくなり、気温が比較的高くても雪のまま降ることがあります。
昭和52年は、強い寒気が南下して全国的に大雪となり、101名が亡くなるなど大きな被害が発生しています(「五二豪雪」と呼ばれています)。
沖縄本島で雪が降ったことがある
沖縄本島で雪の観測記録はありませんが、近代的な気象観測が始まる以前には、雪が降ったという記述があります。例えば、琉球王国の正史である「球陽」には、安永3年1月28日(1774年3月10日)には、霧に似た細かい雨に混じって雪が降ったという記述があります。
久米島の緯度が北緯26.3度、那覇の緯度が北緯26.2度ですので、日本の雪の南限は北緯26度ということができそうです。今回の寒気は、昭和52年ほどではなく、沖縄県で雪が交じるところまではゆかないと思いますが、「雪の南限は」と考えるくらいの寒気です。
雪が降らないのに積雪があることもある
霰(あられ)は、雲の中で雪の結晶や微小な水滴が次々に衝突して凍りつき、大きさが数センチメートルになったものです。このため、雪よりは融けにくいので、南の地方では、雪は降らなくても霰が降ることがあります。
気象統計では、積雪の深さとしては、雪や霰が地面に積もった時の深さを測ることになっていますので、雪が降っていなくても、霰が降って積もれば積雪となります。
今回の寒気は、那覇の週間天気予報で週の後半では気温が高くなることからわかるように、長続きするものではありません。しかし、40年に1度と言われるくらい非常に強いものです。明日、明後日は西高東低の気圧配置が強まり、特に西日本を中心に等圧線の間隔が狭くなって強い風と大雪に警戒が必要です。