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東海地方から西日本で梅雨入りという予報 梅雨入り後は連日雨ではない

饒村曜気象予報士
雨傘(写真:アフロ)

気象庁では、6月4日午前中に九州、四国、中国地方で「梅雨入りしたと見られる」という予報を発表し、午後には、近畿、東海地方が「梅雨入りしたと見られる」という予報を発表しました。

九州南部地方は平年より4日遅かったのですが、九州北部と四国地方は1日、中国と近畿地方は3日、東海地方は4日、平年より早い梅雨入りです。

関東地方も6月5日午前に、平年より2日遅い梅雨入りとなりました。

(5日に追記)

梅雨入りは、その日から雨が続く雨季入りとは違い、翌日が晴れということがよくあります。

週間天気予報をみても、梅雨入りした地方が、梅雨入りの日から雨が連続するという予報にはなっていません。曇や雨が多くなるという予報です。

図1 週間天気予報予報(6月4日12時発表、気象庁HPより)
図1 週間天気予報予報(6月4日12時発表、気象庁HPより)

梅雨入りは予報

気象庁では、梅雨のない北海道を除いた日本を12の地域(沖縄、奄美、九州南部、九州北部、四国、中国、近畿、北陸、東海、関東甲信、東北南部、東北北部)に分け、気象予測をもとに「○○日頃梅雨入り(明け)したと見られます」という速報を発表しています。そして、梅雨の季節が過ぎてから、春から夏にかけての実際の天候経過を考慮した検討をし、9月の初めに梅雨入りと梅雨明けを統計値として確定しています。

速報と統計値は異なり、例えば、2009年の梅雨入りは、九州から東北地方の統計値は6月2日から4日ですが、速報では9日から11日です。

図2 梅雨入りの説明図(速報において、7日が梅雨入りの場合)
図2 梅雨入りの説明図(速報において、7日が梅雨入りの場合)

図2の説明用の図では、7日が梅雨入りです。翌8日が晴れであることを重視すると9日が、また4日から6日の曇りを重視すれば2日が、それぞれ梅雨入りということになります。このように、梅雨入りは観測しているだけではわからない、あくまで予報です。

特定しないこともある梅雨入りと梅雨明け

梅雨入りがはっきりしないと、梅雨入りを特定しません。

統計資料が整備されている昭和26年以降では、昭和38年だけ、四国地方と近畿地方について梅雨入りを特定していません。

梅雨明けもはっきりしないと、梅雨明けを特定しないこともあります。

梅雨明けは、夏を迎えるという意味があることから、秋の気配が表われてくる頃とされる立秋(8月8日頃)を過ぎると日の特定はしません。このため、梅雨明けを特定しないことは、それほど珍しくはなく、梅雨明けが遅い北日本ほど梅雨明けを特定しない年が多くなります。そして、近年増加傾向にあります。

図2の出典:饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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