Yahoo!ニュース

阪神の安芸キャンプ組、初の練習試合で「全員よかった!」と平田監督

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

6打点を挙げた3番から6番の4選手

まず3番の北條選手です。3回の左中間タイムリー三塁打のみならず、9回にも右中間へ二塁打。「1打席目は(バットが)ボールの下に入って三振したので、次は上から叩く意識で打ちにいった。高めだから振り上げようとしたら空振りになっていたと思う。いい感触でした」。掛布DCは8回で引き揚げたので二塁打は見ていませんが、それでも絶賛。「掛布さんのおかげです」。ひげダンス効果?と聞かれてニヤリ。そして「三塁打はしんどかったです」と笑っていました。“ひげダンス”の件はまた改めて書きます。

3ランを放った5番の岡崎選手は「軸で打つことを言われていて、練習していることが出せました」とコメント。かと思ったら「その前の甘い球がファウルになってしまった」と反省も。せっかくのホームランですが「どこまで飛んでいるか、落ち際が見えなくてわからなかった」とか。3回を無安打無失点だった藤原投手には「悪い時はボールが先行するので、甘くてもいいから思いきり腕を振っていこうと伝えた」そうです。ナイスリード!

岡崎選手に続いてソロ、6番の原口選手は「練習でやってきたことで結果が出たので、これでよかったんだなと思いました。あとの打席でも打てればよかったんですけど。(直前で)ピッチャーが変わってくれて、いったん落ち着けました」と話しています。

ヒットはなかったものの押し出しを含む2四球を選び、掛布DCから「4番の四球」と褒め言葉をもらった一二三選手。「見送り方が自分でもよかったと思います。前だったら足が動いていました。1年のスタートとしてはよかったけど、次は結果を意識してやりたい」

ヒットはなくても、しっかり振ったルーキーズ

フル出場したルーキーの陽川選手は、初実戦に「アマチュアと違って1球1球集中していかないと打てない。打球が上がったりしてしまうのを実感しました。疲れました」と言います。とはいえ「緊張は最初だけ。全部通して楽しかったです!」と笑顔も。2回のエラーは「自分でも硬かったと思います」とのこと。なおファーストを守る際は坂選手のミットを借りたそうです。

同じくルーキーの横田選手は4回の守備から出場。「緊張はしていました。思ったより(出番は)早かったですが、準備はできていた」。打席で余裕があるように見えたけど?「ボールは見えていました。真っすぐも変化球も関係なく思いきり振るだけと思って。1本打ちたかったんですけど…」。守備もセンターとライトで無難にこなしながら「怖かった」そうですよ(笑い)。監督は落ち着いていたと。「ほんとですか?嬉しいです!」。急に顔が明るくなりました。

2回の守備で2死一塁の場面、田代選手の打球は一、二塁間を抜けるような勢い。それをファーストの阪口選手が横っ飛びでナイスキャッチ!さらにそのまま一塁へ“ヘッドスライディング”を見せアウトにしました。ベンチへ戻る泥だらけの阪口選手にスタンドから大きな拍手。本人に試合後、ただニコニコ笑っていただけですが、風岡守備走塁コーチは「気持ちの入ったナイスプレー!」と称賛の言葉です。

藤原、小嶋はさすがの投球

続いて投手5人プラス1人のコメントをご紹介します。先発した藤原投手は「(9日のシートバッティングの内容が悪く)取り返したいという思いだけ。ヘッドやGMの前で空回りして、自分のやってきたことを見てもらえなかったので、実戦で取り返せてよかった」とホッとした様子。なるほど、その気持ちが前に出たピッチングでした。

三振はツーシーム?「チェンジアップが1つで、他は真っすぐです。動いていただけですね。真っすぐが動いてもボールにならず、ゾーンにいっているうちはいい。去年のフェニックスリーグでは自分の間合いで投げられていなかった。きょうは(岡崎)太一さんがうまくリードして、いい間合いを取ってくれた。秋に比べると、やっていることが出せたので、きょうの試合はよかった」と藤原投手。

小嶋投手は「0に抑えられたのでよかったです。本当はもっと変化球で空振りを取ったり、アウトを取ったりしたかったんですけどね。ケガしてから初めての試合で不安はあったけど、問題なく腕が振れてよかった」と振り返りました。ルーキーの森選手について「構えた時に雰囲気がある。あれで高校生かと思った。いいバッターですね」とのこと。

若手3人も初実戦で収穫あり

次は伊藤和投手。平田監督が「見違えるほどいい」と絶賛だったと伝えると、苦笑いしながら「その通りです。去年はいきなり二塁打されると、そこからガタガタになった。ことしはそのあと粘れるようになりました」と。真っすぐのスピードも増して、この日は最速が145キロ。「今は真っすぐの調子がいいので、自信を持って投げられるのが一番。きょうはストライク先行でいけていたのでよかったです」。育成契約という立場になり「結果も内容も必要。早く支配下登録されるよう、アピールしていきます」と力を込めました。

田面投手は「去年は試合でも抜け球があったり、変化球に頼ったりするピッチングになっていましたが、きょうは打たれてもいいやと思って投げたし、四球がなかったことがよかったです」と言います。真っすぐとカットボールが半々だったそうで「次はカウントを有利に追い込んでから真っすぐを投げたい」と話していました。監督が打たれてもいいと。「そう言ってもらえるのは今のうちだと思うので、ガンガン投げ込んでいきます」

後ろを締めた島本投手に聞くと「きょうのピッチング自体はよかったと思うんですけど、四球を1つ出してしまって…あの1つがムダですね。ホームランとか打たれなかったですが、印象はよくないですね」と、まず反省点から。そして「あとはキャンプで取り組んできたことができたのでよかった。変化球で、空振りを取ったりファウルさせたり」と収穫も挙げました。9回に藤沢選手から奪った空振り三振は「スライダーです。2イニング目の方がよかったです」と笑顔。

プラス1人というのは、玉置投手のことです。8回くらいから投球練習場でビシビシ投げていたので9回に登板すると思っていたけど、何かあった時に備えての帯同だったようです。それにしても力のこもったピッチングで。「はい。そりゃもう、キレッキレでしたわ!」。見たかったですよねえ。

「次の試合に使いたい子ばかりで困る」

最後に平田監督の総評を書いておきます。「北條は成長してるな。1本だけじゃなく、右中間への二塁打にしてもコースに逆らわずに打った。去年1年間を思うと成長のあとが見える。新人はいい経験したと思うよ。横田は負けないという強い気持ちが見えた。落ち着いてるやん、守備も。陽川もいいもん見せてくれている。エラーは関係ない。練習すればいいこと。2人とも積極的にスイングしていた。そう簡単にはいかんからね」

「若い子が全員アピールしてくれて、次の試合に使いたい子ばっかり。困ったもんや。また使ってみたくなるよな。きょう結果が出た選手、出なかった選手はあるけど、内容的にはみんなよかった。宜野座に何かあれば、なんぼでもおる」

という監督の言葉に続けるのは残念ですが、白仁田投手が11日に安芸へ行ったとか。指の具合が良くないみたいですね。6日に右ひじ関節形成術を受けた久保田投手も再び安芸へ。そして12日には小嶋投手と岩貞投手が沖縄へ移動しています。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事