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狩野、高山2ラン!田上3盗塁!中堅も若手もサバイバル必至の練習試合

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

23日の高知県安芸市営球場も前日同様のポカポカ陽気。キャンプ中の選手たちも、のびのびと動けているように見えます。四国銀行との練習試合は、前日の高陽戦と所要時間は変わらないのですが、両軍合わせて四球が1個だけだったせいかスムーズに感じました。

《安芸キャンプ練習試合》 23日

阪神-四国銀行(安芸)

四銀 001 000 200 = 3

阪神 300 200 110 = 7

※特別ルールにより9回裏まで

◆バッテリー

【阪神】吉見-西村-高宮-島本/岡崎-原口(6回~)-小豆畑(8回~)

【四銀】小野哲(4回)-政岡(2回)-亀岡(3回)/尾崎

◆本塁打

【阪神】狩野2ラン(1回)、高山2ラン(4回)

◆二塁打 

【阪神】原口(9回)

【四銀】菊池(5回)、山中(7回)、小林(8回)

◆打撃(打数-安打-打点/三振-四死球/盗塁/失策)

1]二三: 坂   ( 2-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃打指捕指: 原口( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

2]遊二: 北條  ( 5-2-1 / 1-0 / 1 / 1 )

3]三: 関本   ( 2-1-1 / 0-0 / 0 / 0 )

〃二遊: 荒木  ( 2-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

4]左: 一二三  ( 4-0-0 / 2-0 / 0 / 0 )

5]右: 狩野   ( 2-2-2 / 0-0 / 0 / 0 )

〃走右: 田上  ( 2-1-0 / 0-0 / 3 / 0 )

6]指: 高山   ( 2-1-2 / 0-0 / 0 / 0 )

〃三一: 阪口  ( 2-1-1 / 0-0 / 0 / 0 )

7]捕: 岡崎   ( 2-2-0 / 0-0 / 0 / 0 )

〃指捕: 小豆畑 ( 2-0-0 / 1-0 / 0 / 0 )

8]中: 横田   ( 4-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

9]一三: 陽川  ( 4-0-0 / 0-0 / 0 / 0 )

◆投手(安打-三振-四死球/失点-自責)最速

吉見 3回 46球 ( 3-3-1 / 1-1 ) 134キロ

西村 2回 31球 ( 3-2-0 / 0-0 ) 135キロ

高宮 2回 36球 ( 4-3-0 / 2-1 ) 139キロ

島本 2回 27球 ( 1-1-0 / 0-0 ) 143キロ

1回は坂、北條、関本の3連打でまず1点。左前タイムリーの関本は二塁でタッチアウトとなり、一二三の空振り三振で2死三塁。続く狩野がレフトへ2ラン。4回には狩野が中前打し、代走の田上が初球で盗塁成功。次の高山は左中間への2ランで5点目が入ります。そして7回、先頭の横田が右前打を放ち、そのあと2死二塁として北條が右前タイムリー。8回は内野安打で出た田上が二盗、三盗と立て続けに決めて1死三塁、途中出場の阪口が右前タイムリー。ただし阪口は直後にけん制死…落ち込んでいました。

一方、先発の吉見は3回に2安打で2死一、三塁としてタイムリーを浴びます。次いで西村は4回2死からヒットを許したものの、けん制でアウト。5回も2死から連打で一、三塁、ここで岡崎が盗塁を刺してチェンジ。3人目の高宮は6回、ヒットで出した先頭打者を、この回からマスクをかぶる原口が盗塁阻止。ところが7回は連打で無死一、二塁として三ゴロの間に1点。さらにヒットで1死一、二塁となり遊ゴロ併殺かと思いきや、セカンドに変わったばかりの北條が一塁転送で悪送球…もう1点返されました。最後は島本が8回の先頭にいきなり二塁打。でもここでスイッチオン?残り6人をビシッと抑えています。

掛布DC「安芸組の力が試せる機会を」

試合後の掛布DCの談話からご紹介します。まず狩野選手について「下半身を意識してやっていたが、それが無意識にできるようになったと自分から言ってきた。2、3日前かな。下半身の形はできてきているから上体を意識して打ってもいいんじゃないかなと。彼はどちらかというと“ゆる球”の方が合っていて、速い球はファウルになる。その対応のために足を工夫した」と、だから速い球を待てると言います。

「左投手に対して狩野のバットは絶対にチームを助ける。3月あたまのオープン戦(高知でのプレシーズンマッチ)で、狩野、一二三、北條あたりも形ができつつあるから、上で一度どういう野球をやるのか経験するといい。いい状態の時に上でチャンスを与えてあげてほしいね。上で試して、それで落ちてきたとしても、経験は次のファームの試合で生きてくる。安芸組の力を試す機会、与えてあげてほしい」

プレシーズンマッチに推薦できる選手として、先の3人以外にも「荒木がいいんだよね」と掛布DC。そして「関本、日高、坂あたりは、上げる日にちも頭にあると和田監督が言っていた。監督の頭の中にない戦力も試してほしい。荒木、おもしろいんだよね。高山ももう一回使わにゃいかんしな。結構いい選手がいるということだよね」と話しました。

この日はノーヒットに終わった4番の一二三選手には「相当悔しがっていたねえ。試合後の特打は良くなかったよ。(自分に対して)怒っていたから。それも成長。打つ、打たないよりも見逃す形が一二三も北條もよくなっている。北條の方がちょっと変わりつつあるのかな」とのこと。これでまた一二三選手が発奮するのでしょう、きっと。

一二三、北條 反省と成長の日々

その通り、一二三選手は体幹トレーニングを終えたあと突然「リストをばちばちに追い込んできます!」と宣言して再びウエートルームへ。しばらくして戻ってくると「成果をみてください」と前腕を出すので、触ったらカッチカチ!びっくりしました。ただし、やる前がどういう状態なのかわからないので、また確認しておきます。「きょうはトップの位置が作れませんでした。力んだとかではない」と反省。掛布DCの話を聞き「オープン戦はやっぱり出たいですね」と意欲を見せています。

2安打1打点の北條選手。1打席目のヒットは「ボールが続いて3-1になって、開かないように意識した」そうです。9回は2死二塁で2-1から空振り三振。悔しかった?「はい。追い込まれたら右方向を意識しろと八木コーチに言われていたので。7回のタイムリーは追い込まれてライト前に打てたのでよかったですけど」。調子はいい?「きょうは形的に悪くなかった。ヒットを打っている時はいい形なので、しっかりそれを意識していきたい」

勝利に貢献した高山、狩野、田上

高山選手は「変化球だったと思う。よく伸びた?風でしょう。普通ですよ。でも結果が出るってのはいいことですね。1打席目も変な当たりではなかったし。ああいう打球がいっているのは気分悪くないですね」と、まずまずといった表情。

狩野選手は「強く振れるように、真っすぐに負けないように、体が早く反応できるようにやっています。あとはプロのピッチャーでどうか、というのが課題。ホームランは真っすぐです。一二三がその前にカーブで三振したので変化球も頭にあったが、しっかり打てた。次の打席(中前打)は真っすぐ1本でいきました。いい感じで、打席で考えられている」と振り返ります。

掛布DCの、プレシーズンマッチ推薦の件は「そういうふうに言ってもらうのは嬉しい。あとは僕らがどう結果を出すか。呼ばれることがあれば、ファームで1人1人頑張っているというのを見せないと。DCや監督が期待しているわけだから、頑張らないと」と狩野選手。名前の出た選手を代表して、とも言えるコメントを聞かせてくれました。

それと、狩野選手の代走で途中出場ながら3盗塁を成功させた田上選手。前日にも決めていて「きのうは完全に盗めた、いや“盗めすぎた”ので、きょうは若干遅めに走った。そのタイミングでもいけるか、試したかったんです。結果的にセーフになったので、余裕というか幅ができました」とのこと。これで練習試合5試合で7盗塁です。「やっぱりレギュラーを目指してやりますが、そこは求められる部分でもあると思うので。1軍に行ったら、ああいう走ってほしい時に走れるようにしたい」

原口選手、阪口選手の“ダブル・グッチ”の話は、日を改めてご紹介します。

無失点の西村、島本

最後に投手2人のコメントです。ことし初実戦だった西村投手は「腕は振れていたので、あとはしっかり精度を上げていきたい。カウントを悪くしたり、ファウル取ろうとした球を前に飛ばされたりしていたから、そういう細かいコントロールなどを含め、やることはたくさんある。ただ腕が振れていたという部分では、僕自身もよかったと思います」とのこと。

島本投手は、代わりっぱなに浴びた二塁打をひたすら悔しがっていましたね。「真っすぐです。いいとこいって次の球が真ん中…。残念。反省。だいぶ反省です」。でも次の4番打者はチェンジアップで左飛、唯一の左打者からはフォークで空振り三振など6人を完ぺきに抑えたでしょう?「そのあとはOKですけど、出てきて先頭に打たれたら中継ぎとしてはダメ。失点する確率が高くなる」。昨年のリベンジ、オープン戦で結果を残すために反省点を1つ1つクリアしていかなくてはなりませんね。

安芸キャンプでの練習試合は、25日の高知ファイティングドッグス戦(安芸)を残すのみとなりました。安芸も宜野座も、若手選手にとってはサバイバルの毎日です。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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