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社会人クラブ日本一の和歌山箕島球友会 連覇に貢献したい!もと阪神・穴田選手

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
クラブ選手権1次予選の初戦、第2打席で逆転2ランを放った4番・穴田真規選手。

社会人野球チームを取り上げたドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』は、ついに最終回。現実の社会人野球は、7月に行われる都市対抗の出場チームが決まり、既に組み合わせも発表されました。もと阪神の選手たちが所属しているチームも本大会へ進出しています。近畿は第1代表が若竹竜士投手の三菱重工神戸、第4代表に梶原康司選手と橋本良平選手のパナソニック。また第2代表は阪神・榎田投手の弟である宏樹投手が所属の日本新薬です。第3代表は日本生命、第5代表は大阪ガスと、小虎が何度か対戦したチームばかりですね。

東海地区の第1代表は林啓介投手が入部した西濃運輸。OBの小豆畑選手は「第1代表なんてすごい」と大喜びでした。そして、ドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』に関心はないかと尋ねてみたら「欠かさず見ていますよ!」と即答。感想としては「まあ、ちょっとオーバーかなと思うところは確かに。でも廃部の危機は僕がいた時にもありましたからね」とのことです。今回の第1代表で都市対抗出場は大きな追い風になるでしょう。

野原将志選手が4番を打つ三菱重工長崎は残念ながら第3代表決定戦の2回戦で敗退。チームからは投手2人がJR九州の補強選手として本大会に出場することになりました。2009年に都市対抗野球、2010年に社会人野球日本選手権の出場があったものの、それ以降はなし。まもなく創部100周年という伝統あるチームにも、やはりクラブチーム移行の可能性など存続の危機があり「勝つしかない」と野原選手も言っています。来月行われる予選を突破して、日本選手権へ出場してください!

それから東京の第3代表になったセガサミーは今年から、もと近鉄や阪神で選手として、ソフトバンクでファームのコーチも務めた前田忠節さんがコーチをしています。第85回都市対抗野球大会は7月18日から東京ドームでの開催です。

クラブ選手権連覇に向けてスタート

さて都市対抗の本大会出場は逃した和歌山箕島球友会ですが、今度はクラブチームの日本一を決める全日本クラブ野球選手権大会の予選に挑んでいます。大阪・和歌山第1次予選は大阪府堺市の、みなと堺グリーンひろばで21日に開幕。これが本当にすごい広場で…子どもの野球大会やらサッカーの試合やら、あちこちで人が動いていました。

いつも鳴尾浜で小虎を応援してくださっているファンの皆様もキャンプ支度のような万全の装備で参戦。これは大正解ですね。スタンドはありませんので、ビニールシートより組立式の椅子は本当に助かりますよ。もし次の試合を観戦しようと思われている方はぜひ参考になさってください。また最寄駅(南海石津川)から歩くと1時間以上かかり、車でないと大変!近くにコンビニなどもありませんので、要注意です。

第39回全日本クラブ野球選手権大会

《大阪・和歌山第1次予選》21日

大阪HDベースボールクラブ-和歌山箕島球友会 (みなと堺)

大阪 100 030 10 = 5

箕島 002 001 36x =12

13時前から始まった初日2試合目の大阪HD戦、もと阪神の穴田真規選手は4番ショートで先発出場です。いつもの4番選手は出ておらず、そういえばスタメンの名前が今まで見たのとはちょっと違う?と思ったら、実は主力選手をベンチに置いていました。大阪HDとは昨年も1次予選の最初に戦って3回に9点、6回に10点など、32対0と7回コールド勝ち。今年は都市対抗の予選で15対1の7回コールド。そんなわけで戦力を落とした、というよりは西川忠宏監督いわく「控えの選手たちに経験を積ませて戦力にするため」あえて若手を起用したようです。

ところが山田投手の制球はままならず…1回にヒットと暴投、連続四球で無死満塁として犠飛で先取点を与えます。すぐに引っくり返すと思われた打線は意外と苦戦。それでも3回、四球と盗塁など1死二塁で穴田選手がレフトへ逆転2ラン!4番の仕事をしました。

21日は和歌山箕島球友会の4番として出場。2ランを含む3安打3打点の穴田選手です。
21日は和歌山箕島球友会の4番として出場。2ランを含む3安打3打点の穴田選手です。

と思ったら5回、守備の乱れに加えて3連打(タイムリー、エンタイトル二塁打の2点タイムリー)を浴びて山田投手が3失点。4対2と再逆転されます。一方、毎回走者を出して塁上を賑わせながら5回まで3安打のみと決定打を欠いていた箕島打線。そのせいでしょうか。5回が始まったころから急にベンチの動きは慌ただしくなり、ダッシュやストレッチをする選手、キャッチボールを始める選手がいました。「総替え」という言葉も聞こえてきたのをみると、どうやら主力投入の気配です。

5回裏に代打で2人、次の守備から5人、結局は穴田選手と5番の北選手以外が交代。直後の6回にまず1点返します。7回表は4連打を許して1点追加されましたが、そのあとは箕島打線の猛攻!7回は3番・荊木選手のタイムリーとボーク、内野ゴロで3点を取って逆転します。穴田選手は中前打でした。8回は2死二、三塁で荊木選手がライトへのエンタイトル二塁打を放って2点、穴田選手も中前タイムリーと盗塁、北選手は四球で、続く藤田選手が右前タイムリー。10対5となりました。

送球の間に2死二、三塁として山口選手が三塁線へ放った打球をサードがトンネル…これで2人還って12点目が入り、7点差。8回コールドゲームで箕島の勝利です。

いい当たりの2ラン!課題は次打席

西川監督は「神様が“油断したらいかん”と言ったのかも」と、思わぬ展開に苦笑い。もちろん油断したのではないでしょうけど、若い選手たちにもう少し踏ん張ってほしいという気持ちはあったはず。そういかなかったので入れ替えたと思われます。穴田選手も交代だった可能性はあったとか。「2ランを打った次の三振やね。1死三塁で内野が前進していたし、(走者は俊足の浦川選手で)転がせば1点入ったところ。どうしても自分が決めないと、と力が入ってしまったかな。内野ゴロでいいと思えば楽に振れて、それがホームランになることもあるわけだからね」

そのあとは2打席連続ヒットで「打席の前に呼んで“自分のポイントで打つことだけ考えろ”と言った。そしたら追い込まれてもセンター前(笑)。穴田には頑張って調子をつかんでいってほしい」と西川監督。期待を込めての言葉です。

穴田選手が目指すのは、まず西武ドーム。そこで優勝して日本選手権の京セラドームへ!
穴田選手が目指すのは、まず西武ドーム。そこで優勝して日本選手権の京セラドームへ!

穴田選手は「ホームランはカーブかスライダー。いい当たりやったですわあ~!」とまさに自画自賛。吹き出しましたよ。見に来たらホームランが出ているかも。「ほんまや、結構打ってますね」。次の三振は?「あれは…いろいろ考えすぎて」。2つフルスイングしてカウント2-2となったんですが、1発を狙ったのではなく「思いきり振ろうと思って。でも最後は当てにいった」ファウルチップがキャッチャーミットにおさまっての三振でした。

「3安打したのが一番うれしい」

それでも3安打3打点で、穴田選手は「それが一番うれしい!」とホッとしたような笑顔になります。「はよ西武ドームに行きたいです。本戦は西武ドームなんですよ。知らんかった?困るなあ」。はいはい、失礼しました。次は28日、みなと堺グリーンひろばで9時から大阪ウィング硬式野球クラブと対戦し、勝てば14時から決勝戦。これを制すると、敗者復活を勝ち抜いたチームと一緒に西近畿予選(大阪、和歌山、兵庫)へ進出するわけで、西武ドームはその先です。

なんたって和歌山箕島球友会はディフェンディングチャンピオンですから、ここで足踏みしているわけにいきません。とはいえケガや故障が相次ぐチーム事情で、エースの三宅悠投手をはじめ宮迫投手、黒川投手もまだ投げられず苦しい戦いが続きました。そろそろ復帰できそうですかね。西近畿予選にはエースが戻ってくるかも。それと4番でキャッチャーの水田選手が7回の守備中に肩を脱臼して交代しています。何度かあったとのことですが、問題なく戻ってこられますように。

以前も社会人野球同士の戦いはヤジが面白いと書いたんですが、この試合も大阪HD側のベンチはとてもユニークでした。なぜか味方の選手がバントを決められず難儀しているのに「下手やなあ!帰ってこい」とか。チームなりの愛情表現なのでしょうか?また4対2で大阪HDがリードしている際の攻撃中に聞こえたヤジというか、つぶやき。「なんや、この負けてる雰囲気は?日本一に勝ってるのに~」。確かに箕島が押している感は否めず、的を射た声に思わずウケてしまいました。すみません。

試合後のミーティング。奥に小さく見える西川監督の言葉を聞く穴田選手(右)です。
試合後のミーティング。奥に小さく見える西川監督の言葉を聞く穴田選手(右)です。

孫の一発に、走って帰りたいほど大喜び?のおじいちゃん

この日の試合は、穴田選手のご両親、おじいちゃん(穴田誠一郎さん・74歳)とおばあちゃん(美佐子さん・76歳)も来られていました。試合前におじいさんが「ホームラン打てよ」と、さらに「打ったら、おじいちゃんは走って帰る!」と約束。本当に打って「ほんまに走って帰らなあかんなあ」と言いながら、おじいちゃんは大喜び。もちろん車で帰宅されたのでご安心ください。

最後になりましたが、由宇で行われたウエスタン・広島-阪神戦の結果を書いておきます。成績のみですみません。3回に福留選手、5回に伊藤隼選手のホームランが出ていますね。6対6の8回に陽川選手がタイムリー三塁打を放って試合を決めたようです。なお22日は雨のため中止となりました。

《ウエスタン公式戦》6月21日

広島-阪神 15回戦 (由宇)

阪神 301 020 010 = 7

広島 012 003 000 = 6

◆バッテリー

【阪神】岩崎-西村-鶴-山本-○玉置(1勝3敗9S)-高宮-S小嶋(1勝4敗6S) / 日高-岡崎

【広島】今井(3回)-岩見(3回)-●河内(1敗)(1回0/3)-梅津(1回)-永川勝(1回) / 磯村

◆本塁打 福留1号ソロ(今井)、伊藤隼5号2ラン(岩見)、下水流3号2ラン(鶴)

◆三塁打 陽川

◆二塁打 鈴木将、伊藤隼、阪口

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]二:荒木  (5-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .292

2]遊:阪口  (4-2-0 / 0-0 / 1 / 0) .263

3]右:福留  (5-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .235

4]左:伊藤隼 (5-2-2 / 0-0 / 0 / 0) .266

5]捕:日高  (3-0-1 / 1-0 / 0 / 0) .224

〃打:黒瀬  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .242

〃投:高宮  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:小嶋  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

6]一:陽川  (2-1-1 / 0-2 / 0 / 0) .221

7]三:西田  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .228

8]中:横田  (2-0-0 / 2-2 / 0 / 0) .212

9]投:岩崎  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

〃投:西村  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打:高山  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .217

〃投:鶴   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

〃投:山本  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:玉置  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打捕:岡崎 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .268

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)

岩崎 3.1回 58球 (5-1-1 / 3-3 / 1.88)

西村 1.2回 15球 (0-1-0 / 0-0 / 6.23)

鶴  0.1回 9球 (3-0-0 / 3-3 / 3.32)

山本 0.2回 9球 (1-0-0 / 0-0 / 2.00)

玉置  1回 19球 (1-1-1 / 0-0 / 3.52)

高宮  1回 12球 (1-1-0 / 0-0 / 0.79)

小嶋  1回 13球 (1-0-0 / 0-0 / 4.26)

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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