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松田遼馬投手が真夏の紅白戦で復帰登板! 阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
5ヶ月ぶりの実戦登板を終え、ホッとした表情の松田投手。堪えても笑みがこぼれそう?

阪神ファームは23日も鳴尾浜で紅白戦を行いました。秋山投手と歳内投手が先発、建山投手や加藤投手も投げ、最後に右ヒジ痛から復帰の松田投手が登板。紅白戦だけに打っても抑えても複雑なんですが、松田投手の時だけはスタンドのお客様みんなが同じ心境だったかもしれません。いきなり146キロが出て「おお~」と声が上がり、最後の三振で大きな拍手。

マウンドの松田投手はとても楽しそうで、ピョンピョン跳ねるような仕草です。いや、前日にボールボーイ役をしている時からもう嬉しさが溢れ出ている感じでしたもんね。

《紅白戦》7月23日 (鳴尾浜)

紅組 012 100 2 =6

白組 000 030 0 =3  ※7回まで

◆バッテリー

【紅】歳内-白仁田-小嶋-松田 / 小宮山-清水(5回~)

【白】秋山-建山-加藤-岩本 / 岡崎-小豆畑(5回~)

◆本塁打 紅:清水2ラン(秋山)、日高ソロ(建山)

◆二塁打 紅:小宮山、白:横田、原口

◆打撃(打-安-点/三振-四死球/盗塁/失策)

【紅組】※打者10人

1] 左:柴田   ( 4-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

2] 遊:阪口   ( 4-0-0 / 2-0 / 0 / 0 )

3] 右:緒方   ( 3-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

4] 一:森田   ( 2-1-0 / 0-1 / 0 / 0 )

5] 指:日高   ( 2-1-1 / 0-1 / 0 / 0 )

6] 二:北條   ( 3-2-0 / 1-0 / 0 / 0 )

7] 三:西田   ( 3-1-1 / 1-0 / 1 / 0 )

8] 捕指:小宮山 ( 3-1-0 / 1-0 / 0 / 0 )

9] 中:田上   ( 2-1-0 / 0-1 / 1 / 0 )

10] 指捕:清水  ( 3-2-3 / 0-0 / 0 / 0 )

【白組】※打者10人

1] 中:横田   ( 4-2-2 / 2-0 / 1 / 0 )

2] 二:黒瀬   ( 4-1-0 / 1-0 / 1 / 0 )

3] 左指:狩野  ( 1-0-0 / 0-2 / 0 / 0 )

4] 遊:陽川   ( 2-0-1 / 2-0 / 0 / 0 )

5] 指左:高山  ( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

6] 一:中谷   ( 3-2-0 / 0-0 / 0 / 0 )

7] 右:一二三  ( 3-0-0 / 2-0 / 0 / 0 )

8] 捕指:岡崎  ( 3-2-0 / 0-0 / 0 / 0 )

9] 三:原口   ( 3-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

10] 指捕:小豆畑 ( 2-0-0 / 0-1 / 0 / 1 )

◆投手(安打-三振-四死球/失点) 最速キロ

【紅組】

歳内  3回 14人 66球 ( 4-4-1 / 0 ) 144

白仁田 2回 11人 41球 ( 3-1-2 / 3 ) 143

小嶋  1回 4人 22球 ( 2-1-0 / 0 ) 146

松田  1回 3人 9球 ( 0-1-0 / 0 ) 146

【白組】

秋山  3回 13人 50球 ( 4-3-2 / 3 ) 146

建山  1回 4人 15球 ( 2-1-0 / 1 ) 138

加藤  1回 3人 9球 ( 0-0-0 / 0 ) 136

岩本  2回 12人 61球 ( 5-3-1 / 2 ) 142

2本塁打などで紅組が打ち勝つ

まず紅組の攻撃です。白組・秋山の前に1回は三者凡退でしたが、2回は森田が四球を選び、1死後に北條の右前打で一、二塁として西田が中前タイムリー。なおも1死一、三塁で西田が盗塁を決めるも北條は牽制死、小宮山の三振で1点止まり。2回は先頭の田上が四球、続く清水は秋山の真っすぐをレフトへ2ラン!次の柴田はショート内野安打で出ますが盗塁失敗、それでも3対0とリードを広げました。

4回は建山から日高がソロホームラン!左前打で出た北條は、また岡崎に盗塁を刺され、西田はチェンジアップで空振り三振で無得点。5回は加藤に対し、三者凡退です。4人目で登板した岩本に対し、6回は2死から緒方と森田の連打。緒方は三塁まで走り、ぎりぎりセーフとなり、その間に森田も二塁へ。黒瀬がタッチするもセーフ、2死二、三塁となり、日高が四球で満塁と攻めながら北條の空振り三振で無得点。

躍動感あふれるピッチングで、ファンの皆さんを沸かせた松田投手
躍動感あふれるピッチングで、ファンの皆さんを沸かせた松田投手

しかし7回、1死から小宮山が右翼線二塁打を放ち、田上のバントが一塁線をコロコロ。ファースト中谷は見送りますがフェアゾーンから出ず!内野安打となって一、三塁。田上の盗塁とキャッチャー小豆畑の悪送球で小宮山は生還し、田上も三塁へ。続く清水の右前タイムリーでもう1点追加。という内容で、紅組は11安打6得点です。

変わって、後攻の白組。1回は先頭の横田が、紅組先発の歳内から右翼線二塁打を放つも後が続かず。2回も高山と中谷の連打で無死一、二塁と攻めましたが、後続を3人で片づけられて得点なし。3回は2死から黒瀬のショート内野安打と盗塁、暴投、狩野の四球で一、三塁としたものの4番・陽川が2打席連続三振…。4回は白仁田に三者凡退と得点できず。

ところが2イニング目に入った白仁田に対して5回、岡崎の右前打に続き原口が左翼線二塁打、小豆畑の四球で無死満塁と大きなチャンスを迎えます。ここで横田がピッチャー返しの打球を放ち、白仁田の前でバウンドが変わってセンター前へ!2人を還すタイムリーとなりました。小豆畑も三塁へ、横田の盗塁と1死後に狩野が四球を選んでまた満塁。久保コーチがマウンドの白仁田に声をかけ、次の陽川は右犠飛。この回3点を返しています。

でも6回は小嶋に対して、中谷の中前打(清水が盗塁阻止)と岡崎の中前打があったものの得点には至らず。そして7回、待ちに待った松田が登板しました。全球を書いておきます。( )の数字は球速です。まず小豆畑は1ストライク(146)の2球目を打って右邪飛(146)。横田はカーブでストライク(111)、ファウル、ボール(どちらも146)で4球目のスライダー(132)に空振り三振。黒瀬がスライダーでストライク(134)、ボール(146)からの3球目、最後は真っすぐ(146)を打って三飛!三者凡退で試合終了。白組は9安打3点です。

「ケガした時間は帰って来ない。でも新しい発見があった」

マウンドでの、ちょっと落ち着きのない感じは変わらず、可愛い遼馬くんです。
マウンドでの、ちょっと落ち着きのない感じは変わらず、可愛い遼馬くんです。

2月18日以来となる実戦マウンドに立った松田投手。いきなり146キロと球速も出ていましたね。「それよりもフォアボールを出さなかったのがよかった。初めてのわりに、いい感じで投げられたと思います。初実戦なのでバッターの出方を見たりしました。フォアボールだけは出したくなかったんです。思ったよりは指にかかっていたかなと。まだ紅白戦なので。これから反復練習をしていきたい」

変化球は?「きょうはカーブとスライダーを投げました。スライダーは曲がらないのもあったり、カーブも1球しか投げていませんけど」。怖さは?「なかったです。ブルペンでも投げてきたので、しっかり腕も振れていましたし」。そこへ長いリハビリを支えてくれた仲野トレーナーが、取材される姿を嬉しそうに見ながら通りかかったので「仲野さんのおかげです!」と松田投手。仲野トレーナーの目がますます細くなったのは言うまでもありません。

5ヶ月間を振り返り「リハビリは長かったですが、トレーニングを積んできたし、自分でもきっちりやってきたつもりです。ケガした時間は帰って来ない。ケガをして、じん帯もいろいろあって、でも前腕のトレーニングなどを教えてもらって、新しい発見もありました」と、そういう遼馬くんは急に大人びて見えました。

平田監督は「きょうは1イニング投げられたということ。とりあえずは。フリー打撃やシートに比べて、紅白戦では違う意味で力が入るだろうし、あすがどうかというところ。1つ段階をクリアした。146キロ出た?ブルペンでも、それくらい投げてるから。次は27日くらいにシート打撃で投げるんじゃないかな。それ以降はまだ。まあ1つ1つよ」と話しています。

ようやく始まった遼馬の“第一歩”

「よかったですね。いい出だし」とは久保投手コーチ。「でもようやく始まったというか、今で10段階の2くらい。故障者リストから出ていないので、きょうはまだトレーナー預かりだからね。2月からじっくり時間をかけて慎重にやって、ここまで来た。その中の第一歩」。投げ終わったあと、どんな話を?「悪くなると横降りになる。インステップしてしまって。だからできるだけ投げ下ろすようにと言った。カーブがきょうはよかったね」

清水選手は「遼馬、よかったですよ。しっかり指にかかっていたし、持っている球種もフォーク以外は投げたし。真っすぐで打ち取れていましたね。順調じゃないですか」と、試合で球を受けた感想を述べました。もう1人、カーブと真っすぐ2球、最後はスライダーで空振り三振と全球種を体感した横田選手にも聞いてみたところ「スライダーは…曲がってました!真っすぐはキレを感じたし、重かったです」と非常に素直なコメント。

なお2ランを含む2安打3打点と気を吐いた清水選手ですが、バッティングに関しては「公式戦で打てるように練習します」、マスクをかぶってすぐの5回に3失点したため「点を取られないように頑張ります」という、ひとことずつです。

阪口選手のユニホームは、いつも真っ黒!この気持ちがみんなに伝わってきます。
阪口選手のユニホームは、いつも真っ黒!この気持ちがみんなに伝わってきます。

26日と27日は新潟県三条市での中日戦で、遠征メンバーはほぼ決まっていたものの“当落線上”にいる野手何人かが、この紅白戦2試合の結果次第だったそうですね。22日にホームラン、23日は二塁打を打ち、サードで果敢な守備も見せた原口選手は「よっしゃ!勝ち取った」と珍しく気合いを前面に出していました。この遠征、どうしても行きたかったみたいですよ。きっと新潟でも打ってくれるでしょう。

また、試合の途中からユニホームを泥だらけにしていた阪口選手も参加します。22日の最後、掛布DCに押し出される形でベンチを出て、平田監督から追加打席をもらったものの「打てんかった!」と悔しがっていました。23日も紅組で唯一ノーヒット。「遠征行けるかなあ…」とシュンとしていたので、よかったですね。どろんこ哲っちゃん、アピールチャンス!なお島本投手は今回、残念ながら残留です。

他の選手にほとんど話が聞けなかったので、平田監督の話を書いておきます。まず秋山投手について「(1軍から)中西コーチが見に来てて、いいピッチングをしなきゃいけないところなんだけど。スピードもあったし、悪くはないんだけどなあ」と複雑な表情でした。歳内投手には「きょうは配球を課題にやらせてたんだよ。フォークとスライダーの使い方を小宮山と考えながらやるようにと言っていた。追い込んでからフォークだけじゃないというとこをね。きょうはいい勉強できただろう」とのことでした。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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