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10連敗は阻止!好投の岩崎を打線が援護《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合後に取材を受ける岩崎投手。次は1軍?と思わせる好投でした。

阪神はきのう29日から1軍が甲子園に戻ってきました。あいにくの雨まじりだったものの、序盤から打線爆発!腰痛で抹消された新井良選手に代わり今季初昇格した狩野選手が、即スタメンで2ランを含む3安打4打点の大活躍です。鳴尾浜でいつも応援してくださっている小虎ファンの皆様がどんなに喜んでいらっしゃるかと、私も5回くらいから試合後のインタビューを楽しみにしていました。録画準備を整えて。

それが9回、まさかの大雨で降雨コールド。5点返されたうえに無死満塁という大ピンチだったので、よしとすべきなんでしょうが…。お立ち台は?狩野選手の、きっと涙なしでは見られないであろうヒーローインタビューは?残念ながら無情の雨に流されてしまいました。でも機会はきっとありますね。

腰の痛みに耐えた長く苦しい日々もありました。暑い暑い鳴尾浜で若い選手と一緒に、いえそれ以上に、練習も試合も全力で取り組んだ狩野選手。そして若手選手をよく見てくれています。アウトコースの変化球が打てなくて悩む一二三選手にアドバイスを送ったり。試合前、黙々と外野芝生部分でダッシュを繰り返す狩野選手を見て、北條選手も倣いました。試合後に「若手の刺激になれば」と語ったそうですね。アニキのような狩野選手の活躍が、鳴尾浜の空気をまた少し変えるかもしれません。楽しみにしています。

では、きのう29日に行われたウエスタン・中日戦の結果です。連敗は9でストップ!ようやく、26日ぶりに公式戦で勝ちました。岩崎投手が6回67球という省エネ投球。2点は失ったものの、森田選手のタイムリー、陽川選手の2ラン、荒木選手の2点タイムリーと打線が効果的に加点しています。

《ウエスタン公式戦》8月29日

阪神-中日 22回戦 (鳴尾浜)

中日 000 020 000 = 2

阪神 100 203 00X = 6

◆バッテリー

【阪神】○岩崎(3勝2敗)-松田-玉置-小嶋 / 藤井-小宮山(7回~)

【中日】●岩田(3勝5敗)(6回)-メジャ(2回)-矢地(2回) / 桂

◆本塁打 陽川6号2ラン(岩田)

◆二塁打 桂 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:柴田  (4-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .250

2]二:荒木  (5-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .245

3]右:緒方  (2-0-0 / 0-2 / 0 / 0) .305

4]指:森田  (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .279

5]一:陽川  (4-1-2 / 2-0 / 0 / 0) .250

6]捕:藤井  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .364

〃捕:小宮山 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .176

7]遊:北條  (2-1-0 / 0-2 / 0 / 0) .240

8]三:西田  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .232

9]中:横田  (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0) .180

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩崎 6回 67球 (5-4-0 / 2-2 / 2.30) 139

松田 1回 13球 (0-2-0 / 0-0 / 5.87) 148

玉置 1回 16球 (0-2-0 / 0-0 / 2.70) 142

小嶋 1回 13球 (2-1-0 / 0-0 / 4.24) 141

打線が効果的に加点、投手陣は無四球!

まず1回、先頭の柴田が中前打して1死後に緒方の四球で一、二塁。4番・森田が放った打球をサードがはじき、回り込んだショートが捕って記録は内野安打となります。これで柴田が還り1点先取。2回と3回は三者凡退でしたが、4回に先頭の森田が中前打し、続く陽川がセンターバックスクリーンの下部にゴンッと当てる6号2ラン!3対0とリードを広げています。

先発の岩崎は1回、いきなり連続三振を奪うなど三者凡退の立ち上がり!2回は2死から堂上直に左前打されただけ。3回も三者凡退(内野ゴロ3つ)で、4回は古本に中前打されますが問題なし。しかし3対0となった直後の5回、堂上直の左前打に続いて桂に三塁線を破る二塁打を許し無死二、三塁と初のピンチ。田中は空振り三振で1死としたものの、9番・杉山に中前タイムリーを浴び2人を還してしまいました。1点差となり、でも6回は三者凡退で役割を終えた岩崎。

中日・2人目のメジャは5回を三者凡退、6回も簡単に2死を取ったあと突然ストライクが入らなくなります。北條が四球、西田は左前打、横田が四球で2死満塁。柴田も四球で押し出し。なおも2死満塁で荒木の右前タイムリーが出て2者生還!緒方も四球を選びますが、森田は三振で3者残塁。それでも、この回3点を加え6対2。なお7回は北條に四球のみで8回は三者凡退でした。

リリーフ陣は7回が松田で2奪三振の三者凡退。8回の玉置も三振を2つ奪って三者凡退。9回は小嶋が登板し、古本を空振り三振に切って取ったあと福田、堂上剛に連打されたものの、最後は堂上直を遊ゴロ併殺打に仕留めて試合終了です。

「テンポよくと単調は紙一重」と岩崎

いつものようにゆったりと引き揚げてきた岩崎投手は、いつものように穏やかな笑みを浮かべながらの取材対応。「最近できていなかった試合の中でのピッチングというものが、久々にできたかなと思います」。低めに球が来ていましたね?「技術的なことより今までの反省を生かして、より低めにボールがいくかってことですかね。その前に取り組んでいたことが出せました。フォームのバランスなどです」

5回以外は完璧な内容だったのでは?「そこまではテンポよくいけたのに、5回はちょっと単調になったというか…。“テンポよく”と“単調”は紙一重ですね。難しい。緩めたりとか、もっと自分で工夫していきたい。藤井さんにも言われました。打たれた球は高かった。甘かった。どんどん積極的にきていたので、そこは自分が引いてもよかったかなと」。この1イニングには反省しきりの岩崎投手。でも「全体的にはよかったと思います」と納得の笑顔でした。

1回の連続三振は真っすぐと変化球。球種は?と尋ねたら「…」。覚えていなかったようです。記者陣に「外のスライダー?」と言われて「外のスライダーです!」と素早く便乗。そこで思い出したのか「逆ダマですね(笑)。めっちゃ曲がりました、いい感じで」と続けます。逆ダマといえば5回、連打のあと田中選手から奪った三振も?「ボール要求だったので腕を振って投げたんです。逆ダマでしたけどボールになってよかった」とのこと。

久保投手コーチは「低いところにボールが集まっていた。藤井はさすがだなあ。あれこれボールを使わずにスッと終わらせる。ああいう選手がマスクをかぶった時に覚えたらいい。質問すれば勉強になる。『あそこはなぜ真っすぐなんですか?』とかね」と、ほぼ藤井捕手の話で終了です。

松田、変化球にも手応え

カメラから目を逸らすので、こっち向いてと言ったら…こんな真顔の松田投手。
カメラから目を逸らすので、こっち向いてと言ったら…こんな真顔の松田投手。

松田投手は先頭の堂上直選手の空振り三振がスライダー。桂選手の右飛はカーブ。そして代打・中田選手には4球すべて真っすぐで見逃し三振。最速は148で、前に鳴尾浜で152キロを出した時に比べて少し抑えたというか、落ち着いて丁寧にコントロールしている感じでした。そして何より変化球で空振りを取ったり、打ち取れたことが大きいのではないでしょうか。

「変化球は曲がりも出てきたし、コースに投げられたのでよかったです。ホームランとか打たれた前回の失敗を生かして、低いゾーンで勝負しようと思っていました」

26日と27日、由宇で今季初の連投も経験。2試合目も大丈夫だったと言います。それから中1日での登板ですが「投げていて張りとかなかったので問題ありません」と涼しい顔でした。また、この日の真っすぐはスピード以上に球威があったような。特に中田選手を空振りさせた148キロ、147キロ、145キロの直球がよかったと記者に言われて「よかったですか?ありがとうございます!」とニッコリ。中田選手は相当悔しがっていましたよ。

同じく2奪三振の玉置投手。最後は森越選手に9球粘られての見逃し三振で「これは狙いにいった三振じゃなくて、スライダーを打ち損してくれたらと。たまたま打ち取れましたが、いい内容ではなかったですね」とのこと。課題を聞かれ「やっぱり真っすぐじゃないですかね。それにコントロールが悪いイメージを持たれたくないんで。玉置に任せられると思ってもらうために、コントロールと真っすぐの球速にはこだわっていきたい」

小嶋投手は連打を許しながらも併殺打で無失点。「最後は真っすぐ。狙い通りです」と言いながら笑っていました。なるほど。

残り15試合で4発以上をぜひ!

4回に6号2ランを放った陽川選手は「いい感じでとらえたって感覚があります。真ん中、低めの真っすぐですね、多分」と振り返ります。バックスクリーン直撃弾は、前に“越えた”ことがあるので初めてじゃありません。今月17日のオリックス戦(佐藤薬品)以来の6号。目標の2ケタにあと4本ですが、残り15試合と聞き「難しいかなあ」と苦笑いしていました。いや、いけますよ。狙ってください。

と、そこへ北條選手が現れて「2の1ですよ」というようなことを言って去り、悔しがる陽川選手。どうやら打率を競い合っているみたいですね。きのうの試合が始まる前は陽川選手が.250、北條選手が.238でした。試合後の打率は陽川選手が4打数1安打で変わらず、北條選手は2四球を選んだため2打数1安打で.240となっています。これからどうなるのか注目しましょう。

右目下のケガもほぼ回復。この日は6号2ランを放った陽川選手です。
右目下のケガもほぼ回復。この日は6号2ランを放った陽川選手です。

なお陽川選手は23日の試合前、守備練習で打球を右目下に受けるケガをしていたんですが、26日から実戦復帰。きのうは腫れもほとんどなくなっていました。試合での怖さはなかった?「打席では別にないですけど、守備で怖いなと思いました。でも最初だけです」。プロ入り後もあったし、顔によく当たると言っていましたね。「顔はよくあるけど、目の付近に当たったのは初めて。頬とか顎とか。やっぱり口が一番キツイですね」。そうなの?目の方が大変でしょう?「口だと、食べる時に痛くて」…そこでしたか。

最後に、4回の打席で岩田投手から右前打した横田選手。「いい感じで打てました!久しぶりですよ~」と笑顔いっぱいです。24日の大阪商業大学戦で、ライトの緒方選手と打球を譲り合ってヒットにしてしまったことは「もうしません!大丈夫です」と“お見合い”終結宣言。よろしくお願いします。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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