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フェニックスリーグで山本投手が5回9奪三振!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
平田監督から「可能性が見えてきた」と絶賛される山本投手。

今月6日から宮崎県で開催されている、プロ野球秋季教育リーグ『みやざきフェニックスリーグ』。ようやく私も参戦、といっても4試合しか見られないのですが、きのう17日は生目の杜第二球場での楽天戦が行われました。11日のヤクルト戦(西都)に続き、プロ2度目の先発だった山本投手が素晴らしいピッチングを披露。玉置投手、小嶋投手も続いて8回まで毎回の14三振を、8番の小関選手を除く全員から奪う“奪三振ショー”です。

ちなみに阪神打線は北條選手以外の全員による10安打。北條選手も唯一の四球を選んでいるので全員出塁ということになります。

《フェニックスリーグ》10月17日

阪神-楽天  (生目第二)

楽天 000 000 000 = 0

阪神 000 000 21X = 3 

◆バッテリー

【阪神】山本-玉置-小嶋-二神 / 小豆畑

【楽天】横山(7回)-相沢(1回) / 小関

◆二塁打 三好、陽川、原口 

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:中谷  ( 4-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

2]左:柴田  ( 4-1-1 / 0-0 / 0 / 0 )

3]二:北條  ( 3-0-0 / 1-1 / 0 / 0 )

4]遊:陽川  ( 4-2-0 / 2-0 / 0 / 0 )

5]右:狩野  ( 4-1-0 / 0-0 / 0 / 0 )

6]三:原口  ( 4-1-1 / 1-0 / 0 / 0 )

7]一:一二三 ( 4-2-0 / 1-0 / 0 / 0 )

8]捕:小豆畑 ( 4-1-0 / 0-0 / 0 / 1 )

9]指:小宮山 ( 4-1-1 / 1-0 / 0 / 0 )

◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ

山本 5回 65球 ( 2-9-0 / 0-0 ) 144

玉置 2回 18球 ( 0-2-0 / 0-0 ) 142

小嶋 1回 18球 ( 0-3-0 / 0-0 ) 145

二神 1回 15球 ( 1-0-0 / 0-0 ) 142

4投手が4安打完封リレー

山本は1回、1死後に阿部と西田から連続三振を奪い、三者凡退の立ち上がり。2回も4番・内田を空振りで3球三振に仕留め、2死後に三好の左翼線二塁打を許しますが7番・中川はフォークで空振り三振!3回は先頭に小関に左前打、島井は遊ゴロエラー(陽川がポロリ)で無死一、二塁。続く榎本をバント失敗の捕邪飛に打ち取り、阿部は3球とも見逃しの三振、西田は空振り三振で2者残塁でした。

先発の山本投手。前回の反省を十分に生かした好投です。
先発の山本投手。前回の反省を十分に生かした好投です。
2イニングをパーフェクトに抑えた玉置投手。
2イニングをパーフェクトに抑えた玉置投手。

さらに4回と5回も三者凡退。これで5回まで毎回の、しかも4回以外に2つずつ奪った三振は計9個!ほとんどがストライク先行で、三塁に走者を進めることなく投げ終えた山本。6回からは玉置が、これまたビシッと2イニング続けて三者凡退!毎回三振も継続、7回までで11個奪っています。

打線は横山に対し、1回に柴田が一ゴロエラーで出るも盗塁失敗など3人で終了。2回は狩野の中前打、3回は中谷の左前打と走者を出しながら二塁を踏めない展開。4邪回はクリーンアップが三者凡退。5回は2死から小豆畑がレフトのエラーで二塁へ進みますが得点なし。6回も2死から北條が四球を選び、陽川の中前打で初めて一、二塁としたものの狩野が右飛。ここまで散発3安打で無得点。

終盤につながった打線

しかし7回、1死から一二三が内野安打(三遊間を抜けそうな当たりを飛び込んで捕った西田、素早く一塁へ送球するも一二三の足が勝ち)、続く小豆畑の右前打でエンドラン成功。一、三塁となって小宮山が左前タイムリー!なおも一、二塁で2死後に柴田の中前タイムリー!2対0としました。

小嶋投手は結果的に1イニング3奪三振でした。
小嶋投手は結果的に1イニング3奪三振でした。
ラストに登板した二神投手。1安打されるも無難に無失点。
ラストに登板した二神投手。1安打されるも無難に無失点。

8回は小嶋が登板して簡単に2死を取り、代打・下妻も空振三振、と思ったら振り逃げを狙った下妻を刺そうとした小豆畑が悪送球(記録は三振とエラー)。次の榎本も空振三振で、結局3つの三振を奪った小嶋。すべてフォークだそうです。

その裏の攻撃は、先頭の陽川が左翼線二塁打を放ち、1死後に原口の左翼線タイムリー二塁打で生還!続く一二三は技ありの右前打で一、三塁とチャンスを広げますが、原口は本塁憤死。小宮山も三振に倒れて1点止まりでした。9回は二神が2死後に内田の中前打を浴びたものの、最後は北川を二ゴロに打ちとって試合終了。楽天は3回以来、1時間半ぶりくらいのヒットだったわけですね。

可能性が見える、平田監督

平田監督は2度目の先発だった山本投手について「長いイニングを試してみているけど十分、合格点だよ。可能性が見えてきたよね。よかったやろ?フォークもうまく使っていたし、コントロールがもともといいから。外角の低め、いわゆる原点も磨いていかなあかんと言うてる。長いイニング放れることを見せておけば、来年は先発にトライする可能性も出てくる。社会人ではずっと先発してたし、逆に中継ぎの経験がなかった分、ことしは戸惑ったんだろう」と非常に楽しみな様子でした。

次も先発か?の問いに「もちろん!もっと長く見たいと思わせてくれた。きょうは65球?理想的だな」と言い、さらに久保投手コーチに確認して「次回は23日(韓国LG戦・生目第二)だよ」と“発表”。久保コーチは「フェニックスでは球数とイニングを多く投げさせて、何か今までと違ったところを見せてくれればと思っています。コントロールが良く、組み立てもできる。隠れた才能があると思うからね。フォーク、カーブ、スライダーといい感じに使えていたよ。カーブが有効やね」と話しています。

山本「三振は好きですねえ!」

投げ終えて充実感が漂う山本投手の話です。「前の時(11日)に2回まではいい感じだったのに3回から甘い球を打たれたので、きょうは1回1回、1人1人しっかり投げていこうと意識してやりました。この前はフォーク、フォーク、フォークと投げて完全に狙われて打たれたんです。でも久保コーチに『わかっていても、その球で勝負。打たれないところに投げるように』と言われた。きょうは裏をかいてインコースの真っすぐで勝負できたので、フォークが生きたというのもありますね」

最速は144キロでしたね。「調子もよかったし、ファームのシーズンが終わる頃に足の使い方を変えたこともあって。足がうまく使えていないとは思っていたんですけど、この機会に一から学ぼうと久保コーチやトレーナーさん、加藤さんに教わって練習したことが(結果に)つながっているのかもしれません」。前回に続く小豆畑選手とのコンビで「投げやすかった。きょうは前回使っていないカーブもうまく使ってくれたし」と言います。3回、阿部選手に投げた2球目の見逃しがカーブ?「そう、そうです!あれが生きましたね」。次の真っすぐで見逃し三振、お見事でした。

先発については「色々な球種を投げられるから楽しい。それに同じバッターと何度も対戦できると、見極められるってのが大きいですね」と、やりがいを感じているバリエーション豊富な左腕。「フォークも、2種類とまではいきませんがカウントを取るフォークもあるんですよ」とのこと。それにしても5回で9三振はすごい!「三振、好きです(笑)。もともとは見逃し三振が好きですけど、今はフォークを使っているので振ってくれた方がいいかな」。本当に楽しげに話します。次回、23日も期待しましょう。

一二三、スライダーを右へ

顎のラインがちょっと鋭角になってきた一二三選手。きのうはマルチヒットです。
顎のラインがちょっと鋭角になってきた一二三選手。きのうはマルチヒットです。

平田監督は、8回1死二塁でうまく逆方向へのヒットを打った一二三選手に「あれはもう、アベレージ3割5分くらいのバッターみたいな打ち方やなあ」と笑ったあと「一二三もちょっと変わってきつつあるかな。いいとこが出てきた。横田がシーズン後半に打って、危機感はあるだろう。きょうはファーストも守らせてるしね。7回の内野安打もよかったよ」と褒めました。確かに褒めたんですよ。ところが一二三選手の姿を見つけると…

「(記者が)よくなりましたねって、どこがや~!」と急に突っ込み始めます。まさにツンデレ?そのあと一二三選手に「監督、我々の前では褒めていたからね」と伝えたら「ほんまっすか?やったー」とニコニコ。この右前打は、苦手としていた右投手のスライダーを打ったもの。「練習の時から真っすぐだけやなくてスライダーも打て、と八木コーチに言われて。それで打てたと思います」。また内野安打は「全力疾走です!」と声を大にしていました。

久しぶりに会った一二三選手は、9月後半の頃に比べるとシルエットが別人のようです。あの時、遠征用スーツもユニホームも、ズボンが破れそうにパンパンだったんですが、少しゆとりを感じるくらい。何よりも顔の輪郭が違いますね。顎もスッキリです。「そうなんっすよ。僕、太っても痩せても顔にすぐ出るから」と一二三選手。体調を崩して休んでいる間、というより復帰した直後の膨張ぶりがウソみたいにシャープな慎太くんになっています。

『掛布31』のグラブでサードを守る

原口選手が掛布DCから期間限定で借りたグラブです。
原口選手が掛布DCから期間限定で借りたグラブです。

8回にタイムリー二塁打を放った原口選手。「最初の方は全然ダメだったでしょう?だから最後にもう一度回ってきてくれー!と祈っていて。打ててよかったです。練習でやってることが出せました」。2打席目の3球三振(空振り、空振り、見逃し)は珍しいですねえ。「アピールしないといけない人間が、あんなことしてちゃダメ!」と自分に腹を立てている様子でした。

試合後の練習が終わった時、掛布DCから渡されたグラブを手にしていたので聞いてみると「貸していただきました」とのこと。“掛布31”と書かれています。大事に持って、嬉しそうに眺めている原口選手に「ずっと使ってていいよ。OB戦の時に返してくれればいいから」と掛布DC。「はい!ありがとうございます」と返事をした原口選手に「OB戦っていつですか?」と聞かれました(笑)。大丈夫、11月なので、まだ先ですよ。

先発登板に備え、きのうの試合後にランニングをする島本投手。
先発登板に備え、きのうの試合後にランニングをする島本投手。

最後に、きょう18日はKIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎で対戦します。大虎に負けず、小虎も頑張りましょう!先発は14日に宮崎入りした島本投手。2年ぶりのフェニックスリーグ登板です。久保コーチの言葉で、すぐそばにいた本人に先発?と確認したら、無言で小さくうなずきました。久しぶりのマウンドに「とにかくアピールするしかないので」と言葉も少なめ。でも大きなチャンスです。ありったけの力を出して、投げ込んでください!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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